健康管理の最新常識
2022年7月7日 更新 / 2021年11月11日 公開

女性産業医のリアルなキャリアとライフ 第3回「産業医のやりがいと苦労」

女性産業医ライフ。第3回「産業医のやりがいと苦労」

現役女性産業医のリアルなキャリアとライフを
川島恵美先生と穂積桜先生に全3回にわたってお話いただきます。
聞き手はiCARE代表取締役CEO 山田洋太。
第3回は「産業医のやりがいと苦労」がテーマです。

産業医を経験することでバックグランドに厚みがでた

山田
山田
今回で最終回です。お二人が産業医をしていて感じた「やりがいと苦労」を聞かせていたきたいと思います。
お二人とも、産業医になってみていかがでしたか?
川島先生
川島先生
産業医になったばかりの時は座学で学んでいたこととのギャップを感じたことがあります。「実際に現場に出てやることって違うんだな…」って。ただそういったギャップって誰だって社会にでたら当たり前のように感じますよね。
山田
山田
産業医になる選択はどのようにされましたか?
川島先生
川島先生
私は高校生の頃から産業医になりたかったですから(笑)。産業医科大学に入学してからは総合内科の家庭医、産婦人科にも魅せられました。そのため産業医になった今でも地域医療、総合診療、家庭医などに興味もあります。
穂積先生
穂積先生
今、気づきましたが私たちって「総合診療や家庭医がバックグラウンド」って共通項があったんですね!私は東京医療センターにストレート入局だったので、診科にいきなり行ってもよかったんですよ。
山田
山田
当時は臨床研修がまだ義務化じゃありませんでしたよね。
穂積先生
穂積先生
医局に3年目、4年目は内科・救急の臨床研修をさせて欲しいと交渉しました。良い経験ができました。振り返ると公衆衛生・家庭医療・総合診療とかって、産業医と通ずるものがあります。
川島先生
川島先生
確かにそうですね。
山田
山田
穂積先生は臨床畑がメインだった。それがライフイベントをきっかけ産業医になりましたよね。産業医になって臨床との違いは感じましたか?
穂積先生
穂積先生
病院の中だけにいると見えない世界に気づくことができました。バックグランドは精神科ですが、産業医を経験することで厚みが出せたと思います。あとは企業毎に色合いが違うのが凄く面白いです。毎日、ちょっと違う景色を見たいって欲が満たされました。
山田
山田
なるほど。多動性ですね。
穂積先生
穂積先生
多動な自覚のある方はぜひ産業医に(笑)。そういえば産業医って旅行好きな人多いですよね。
山田
山田
確かに「今日北海道なんです」とかね。
穂積先生
穂積先生
色々な拠点で産業医をされてる方いらっしゃいますよね。あとは2017年に会社としてお仕事を受けるようにしてからも色々と変わりました。
山田
山田
法人化したってことですよね。
穂積先生
穂積先生
そうですね。経済的なメリットもすごいですね。例えばスキルアップの書籍を経費で落とせたり。知らない世界も見れるようになったのも面白いです。自分で選択をしたうえで、自分の人生を設計するみたいなものが産業医のやりがいというか、面白さがあります。

人の人生に触れる仕事

山田
山田
川島先生が産業医になって感じられたやりがいを聞かせてください。
川島先生
川島先生
「ここが良かった」ってすぐ忘れちゃうんですよ(笑)。後悔ばっかり残って。
山田
山田
そこを何とか(笑)。
川島先生
川島先生
社員さんが退職される際、律儀な方ですと挨拶に来てくれて「あの時は◯◯でしたね」って話をするのは産業医としてやりがいを感じました。

あとは「もう辞めそうかな…?」と思っていた若い社員さんに「辞めるのも1つだけど、もうちょっと元気になってから辞めようか」って話をしたら良い結果を生み出せたのも印象的でした。その後、結婚/出産もされて頑張って働き続けている姿を見れたのはやりがいを感じます。
山田
山田
臨床だと病気になってる状態しか見れてないじゃないですか。
でも産業医ってその人の人生に触れてる気がしますよね。

人事のシグナルを敏感に汲み取る

山田
山田
「こういう人が産業医に向いてる!」ってありますか?
穂積先生
穂積先生
産業医にも2タイプいると思っていて。エンターテイナーのような「劇場型」と、人事労務の人たちと共同して良い落としどころをつけていくみたいな「黒子型」。私は完全に後者なんですけど。

人事の方と共同作業をするという意味では黒子型のほうが向いてると思います。人事の方って優しいのでこちらに落ち度があっても面と向かって注意したりは絶対ないと思うんです。でも減点は裏では厳しくされていると思っています。「黒子型」なら人事の方からのシグナルを敏感に汲み取れると思います。「こういうことやると減点されるだろうからやめておこう」みたいな。

これから産業医を目指している方に

山田
山田
なるほど。ありがとうございます。最後にこれから産業医を目指している方にメッセージをお願いします。
穂積先生
穂積先生
私は嘱託で産業医をやってきている立場から思うのが、やっぱり1人でやってるとつまらないし、行き詰まっちゃうことが多いです。なので一緒に勉強できたり困った時に聞けたりできるところに属せると良いと思います。そうすると10倍くらい楽しくなると思ってます。
山田
山田
なるほど、ありがとうございます。じゃあ川島先生、最後、大トリでお願いします。
川島先生
川島先生
産業医を志される方は様々なバックグランドがあると思います。稼ぎたいとか、ワークバランスを取りたいとか目的は様々だと思います。産業医になりたいと思った目的を忘れずに、進むべき道を間違えないようにするのが大事です。

後、ネットワークを作れば自分の理想像に近いモデルケースの産業医を紹介してもらえることもあると思います。
山田
山田
本日はありがとうございました。

執筆・監修

  • 穂積桜
    このテーマを話した人
    穂積桜
  • さんぽむら
    この記事を書いた人
    さんぽむら
    さんぽむらは、「産業看護職の価値を高める」コミュニティ。
    スキルアップやキャリアにまつわるお役立ち情報を発信しています。