知らないと損!エクセルを活用した健康診断結果の集計業務効率化3ステップ

産業看護職の仕事は従業員の健康相談から健康診断の準備/集計、面談調整など多岐にわたります。特に健康診断は毎年実施する必要があるため「集計が簡単にできたら楽なのに…」と感じている方も多いのではないでしょうか?そこで健康診断の集計を効率化できるエクセルの活用方法を紹介します。
なぜ業務効率化が必要か?
なぜ、業務効率化が必要かを考えたことはありますか?例えば…
・1日に対応できる業務の幅や量を増やしたい
・ルーティン業務をもっと早く終わらせたい
・もっと従業員のケアや職場環境の改善に時間をかけたい など
仕事に対して「もっと改善したい…」という気持ちがあるのではないでしょうか。
その気持ちを実現するために必要になるのが「時間」です。
作業を効率化することによって「時間」を生み出し、業務改善が可能になります。
エクセルの基本用語
健康診断の集計に行く前に、エクセルの基本用語について説明します。
列:縦列(A,B,C,,,,)
行:横列(1,2,3,,,,)
セル:マス目(A1,C7:D9,etc…) と呼びます。

エクセルで関数を使う際は、範囲を指定することが多いです。以下のように表します。
(例)
C7 → C列目の7行目のマスのこと
A3:A → A3セル以降のA列すべて
健康診断結果の集計~3ステップ~
健康診断の集計は次のような流れで行います。
ステップ1 データ加工
まずデータを扱いやすい形にします。ここで使うものは「=セル指定」と「VLOOKUP関数」になります。「=セル指定」はそのセルに指定した情報を反映し、コピーできるイメージです。「VLOOKUP関数」は、指定した範囲の先頭列を縦方向に検索し、検索条件に一致したデータを検索して取り出すことができる関数です。
エクセルの画面を実際に見てください。

元のデータには社員番号、性別、生年月日、年齢、身長、体重、BMIが入力されています。
今回はこのデータからBMIをもとに肥満か否かを判定、集計していきます。
①=セル指定
=A3 と入力して下に引っぱると社員番号が自動で入力されていきます。これはオートフィルと呼ばれる機能です。
②VLOOKUP関数
VLOOKUP(検索キー,範囲,番号,[並び替え済み])という順で入力すると、
=VLOOKUP($A9,’ローデータ貼付’!$B:$AY,19,FALSE)のようになります。
これは「ローデータ貼付シートB:AYの中から、A9セルの行の、左から19個目のセルを表示していください」という命令になります。
※検索キー は社員番号を表しています。ここは必ず左端のデータにしましょう。
※”FALSE” は検索キーと範囲の情報が完全に一致しているときに表示するものです。似たような検索キーではヒットしないようになります。
※“$” はその関数を固定しオートフィル機能で範囲がずれてしまうことを防ぎます。絶対参照と言い、これは使うことが多いです!!
※‘ローデータ貼付’ はエクセル内の別シートを選択していることを表します。同じシート内で作業する場合はいりません。
1つこの式を入力したら、下に引っぱっていくとオートフィル機能で他のセルにも同条件での検索結果が表示されます。
ステップ2 結果判定
データが有所見か否かを判定します。ここでは『IF/IFS関数』を使います。条件を指定し、「条件に一致したらAを、一致しない場合はBを」というように判定してくれる関数です。今回はBMI25未満の人を標準判定とし、BMI25以上の人は肥満判定をする命令を出していきます。
IF関数
=IF(論理式,真,偽)の順で入力します。
=IF(セル>=25.0,”肥満”,”標準”)
と表すと、「選択したセルのデータ(BMI)が25以上なら肥満、そうでなければ標準と表示してください」という命令になります。
下に引っ張っていくと、オートフィル機能で自動的に判定がされていきます。
※“”(ダブルクォーテーション)は、数字とアルファベット以外の文字を認識させたいときに使います。エクセルは数字とアルファベット以外は認識できないので、肥満のような文字で認識させたいときには、“肥満” のようにダブルクォーテーションで囲う必要があります。
※>= は以上という意味です。反対に<=だと以下という意味になります。
エクセル画面で表示すると

のようになります。B行のBMIデータが25以上のものには肥満と表示されています。
ステップ3 集計
最後のステップです。指定した条件に当てはまるデータの数を数えたり、平均値を出しましょう。ここで使うものはCOUNTIF/COUNTIFS関数やAVERAGE関数です。ここで使うCOUNTIF関数、COUNTIFS関数ともに検索条件を満たすデータ数を数える関数です。検索条件が1つのときはCOUNTIF関数を、検索条件が複数ありすべてを満たすデータを数えたい場合はCOUNTIFS関数を使います。
COUNTIFS関数
=COUNTIFS(条件範囲1,検索条件1,条件範囲2,検索条件2,…)のように表します。
例えば
=COUNTIFS(’判定シート’!$Q$6:$Q,”D”,’判定シート‘!$C$6:$C,”男”)
と表すと、判定シートのQ列でD区分 かつ C列で男のデータを数えてくださいという命令になります。
肥満か否かを導いたので、肥満の数を数えていきましょう。
=COUNTIF(C23:C32,”肥満”)
肥満かつ男の人を導きたいときは
=VLOOKUP(A24,$A$3:$G$13,2,FALSE)
=COUNTIFS(C23:C32,”肥満”,D23:D32,”男”)
他に全体のBMIの平均を求めたいときは
=AVERAGE(B23:B32)
これらのように関数をうまく使うことで集計や平均値の計算を簡単に行うことができます。
まとめ
エクセルを使いこなすことができれば、業務効率は上がります。まずは、色々挑戦してみてエクセルを使うことに慣れていくことが重要です。「これはエクセルでできる…?」と感じた業務に対しては、理想状態をイメージして検索しましょう。
例) 関数 複数条件 足し算
のように検索するとSUMIF関数がヒットしますし、ネット上で誰かが丁寧に解説してくれている場合もあります。気になったら「エクセル 関数 〇〇(したいこと)」で検索しましょう。
もしもっとエクセルについて学びたいという方はセミナー紹介サイト「ストリートアカデミー(ストアカ)」、動画だと「Udemy」や「Schoo」で講義に参加してみるのもよろしいでしょう。