会社に健康診断結果が届いた後の3つの流れとは?保管期間についても解説!

2021年3月2日 更新 / 2021年3月2日 公開
健康診断の効率化

「会社に健康診断の結果が届いたら、何をすればいいの?」
「健康診断の結果は、どのタイミングで労基署に報告すべき?」
と思うことはありませんか。

健康診断の結果は、法律(労働基準法第109条)により会社での保管が義務付けられています。健康診断の種類にもよりますが、最低でも5年は保管が必要です。

しかし健康診断結果が届いたあと保管するだけでなく、すべきことがいくつかあります。そこで今回は、「会社に健康診断の結果が届いたあと何をすればいいの?」といった疑問についてお答えしつつ、人事・総務担当者が健康診断の実施に備えるための情報をお伝えします。

記事の後半で「コピーと原本どちらを保管すれば良いの?」といった疑問についても回答しているので、最後までご一読ください。

なお健康診断結果は、保管期間を過ぎたら廃棄しても良いとは限りません。なぜなら過去の健康診断の結果がないと、産業医の判断ができないこともあるからです。

余計に場所を取らせず業務効率化も実現したいなら、ペーパレス化がおすすめです。詳細については、以下をご一読ください。

会社に健康診断の結果が届いたあと何をすればいいの?3つの流れで解説!

会社に健康診断が届いたあとやるべきことは、次の3つ。

  • 【ステップ1】健康診断結果を従業員に通知する
  • 【ステップ2】産業医と連携して事後措置を行う
  • 【ステップ3】労働基準監督署に定期健康診断結果報告書を提出する

1つずつ詳しく見ていきましょう。

【ステップ1】健康診断結果を従業員に通知する

健康診断結果が会社に届いたら、従業員(受診した本人)に結果を通知する必要があります。なぜなら、労働安全衛生法第66条で以下のように定められているからです。

第六十六条の六  事業者は、第六十六条第一項から第四項までの規定により行う健康診断を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該健康診断の結果を通知しなければならない。

労働安全衛生法 第7章 健康の保持増進のための措置(第64条-第71条)|安全衛生情報センター

しかし健康診断結果の取り扱いには、十分に注意しなければなりません。なぜなら健康診断結果は個人情報であり、誰でも結果を閲覧できるわけではないからです。

  • 産業医
  • 保健スタッフ
  • 企業の専任者

など閲覧できる人を限定し、安全衛生委員会で労使間の合意の上、就業規則等で定めておきましょう。詳細については、以下の資料が参考となります。

参考:「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」(厚生労働省) 

また労働安全衛生規則 第51条の4により、「遅滞なく結果を通知すること」とされています。そのため、可能な限り早く結果を通知することが重要です。

過去に健診結果の通知遅れにより、「雇用者に慰謝料330万を支払った事例」もあります。このときは、以下のように「1カ月以内に通知すべきだった」と裁判所が判断していたようです。

法人側は労働契約に基づき、女性に対し健康診断を行ったのであるから、結果は適切な時期に知らせる義務を負っていたというべきである。法人側は遅くとも健診の1カ月後である3月18日までに女性に健診結果を通知する義務があったというべきで、同時点が過ぎたことから債務不履行責任を生じたというべきである。

健診通知の遅れ、雇用者に慰謝料330万|医療維新 – m3.comの医療コラム

上記はあくまでも例であり、仮に1カ月以内に通知していても問題にならないとは限りません。そのため、可能な限り早く通知するのが望ましいでしょう。通知が遅れる理由がある場合でも、事前に労基署などに相談しておくのがおすすめです。

また、従業員の自宅に健康診断結果が届いた場合も、コピーなどをお願いして会社に届けてもらうようにしましょう。

従業員への通知が終わり次第、産業医と連携して事後措置を行う流れとなります。詳しく見ていきましょう。

【ステップ2】産業医と連携して事後措置を行う

事後措置とは、

  • 健康診断の結果(過去の結果を含む)
  • 月の労働時間
  • ストレスチェックの結果

などを踏まえて異常と判断した労働者に、健康を維持しつつ働けるようにするための措置のこと。

具体的に言うと、次のような業務があります。

  1. 診断区分の判定(異常者の特定)
  2. 産業医へ意見聴取(産業医面談などで、従業員にヒアリング)
  3. 安全衛生委員会などで審議(対応方針を相談の上、決定する)

診断区分の判定では、

  • 健康診断の結果(異常なし、要検査など)
  • 会社で決めた基準値を超えた検査項目
  • 長時間労働などの勤務状況

などを考慮し、安全に働く上で問題がないか判定します。この結果、問題がある(有所見)と判断された場合は「産業医面談」などで意見聴取する流れです。

その上で安全衛生委員会で対応方針を審議して決定し、以下のような対応を決めます。

  • 対象者の残業規制
  • 対象者の業務調整
  • 対象者の配置転換
  • 就業規則等の変更

事後措置の詳細については、以下をご一読ください。

事後措置で有所見数などがわかったら、定期健康診断結果報告書の提出する流れとなります。詳しく見ていきましょう。

【ステップ3】労働基準監督署に定期健康診断結果報告書を提出する

定期健康診断結果報告書とは、

  • 健康診断を受診した人の数
  • 従業員数
  • 有所見者(異常が見つかった人)

などをまとめた報告書のこと。50人を超える事業場となった場合は、定期健康診断結果報告書を労働基準監督署に提出する義務があります。

具体的に言うと、労働安全衛生法52条により以下のように定められています。

第五十二条   常時五十人以上の労働者を使用する事業者は、第四十四条、第四十五条又は第四十八条の健康診断(定期のものに限る。)を行なつたときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書様式第六号(表面)(裏面)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

労働安全衛生規則 第1編 第6章 健康の保持増進のための措置|安全衛生情報センター

とはいえ、「いきなり定期健康診断結果報告書と言われても、どうやって書けばいいの?」と思った方もいるでしょう。

  • 定期健康診断結果報告書の書き方
  • 在籍労働者数や有所見者数などをすばやく数える方法

などについては、以下でまとめているのでご一読ください。

まとめると、

  • 健康診断結果を従業員に通知する
  • 産業医と連携して事後措置を行う
  • 労働基準監督署に定期健康診断結果報告書を提出する

の以上の3つが、会社に健康診断の結果が届いたあとやるべきことでした。

ただ、実際に健康診断結果を受領すると、細かい点でいくつか疑問が出て来ることも。詳しく見ていきましょう。

健康診断の結果に関してよくある3つの質問

健康診断の結果に関してよくある質問は、次の3つ。

  1. 健康診断の結果は、どのぐらい保管が必要?
  2. 健康診断の結果は、コピーと原本どちらを会社で保管すべき?
  3. 再検査が必要となった場合、会社で費用を負担すべき?

受領後に悩まず業務を進めるために、1つずつ詳しく見ていきましょう。

【質問1】健康診断の結果は、どのぐらい保管が必要?

健康診断結果の保管期間は、一般健康診断であれば5年です。特殊健康診断の場合は、以下のように7年、30年などのケースもあります。

健康診断の名称記録の保存年数
じん肺健康診断7年
鉛健康診断5年
四アルキル鉛健康診断5年
有機溶剤等健康診断5年
特定化学物質健康診断5年(物資によっては30年)
高気圧業務健康診断5年
電離放射線健康診断30年
緊急時電離放射線健康診断30年
除染等電離放射線健康診断30年
石綿健康診断30年

ただ、健康診断の結果の保存が5年となっている場合でも、過去の結果を破棄すると問題になってしまうことも。たとえば、次のようなケースです。

■5年の保管期間が経って廃棄し、問題となるケース
5年の保管が終わったため、従業員の健康診断の結果を破棄

10年働いている従業員が、病気にかかってしまった

病気の原因が企業にあるか判断するために、産業医が過去の健康診断の結果を見たい

最新のものしかなく、具体的な判断を下せない
(5年前の結果を見ないと判断できない)

このケースでは、「会社で過去の履歴を保存していなかったこと」で産業医が判定しづらいことも。仮に従業員が病気になってしまったときに、会社側の責任を問われる可能性があります。そのため、特別な理由がない限りは、全ての健康診断結果を残しておくことが望ましいでしょう。

ただ、仮に残していたとしても、過去の健康診断の結果を探すために書庫を探していては時間がかかってしまいます。スムーズに就業判定を進めるなら、健康診断の結果を含めたペーパレス化が重要です。

以下で効率化できる業務の例などを含めて詳しく解説しているので、ご一読ください。

【質問2】健康診断の結果は、コピーと原本どちらを会社で保管すべき?

結論から言うと、コピーでも問題ありません。さらに言うと、コピーして紙で残すのではなく、「電子データ」として記録を残すことも可能です。

具体的にいうと、厚生労働省の「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令について」にて、電子データでの記録についてまとめられています。

ただ、以前までは医師の押印が必要でした。そのため「医師が押印した健康診断の結果を、電子化する」といった手間のかかるものでしたが、2020年の8月28日の厚生労働省の発表により「医師の押印が不要」となっています。

参考:健康診断個人票や結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります。|山口労働局

つまり、2021年2月27日時点では、

  • 健康診断を実施した医者の名前
  • 産業医の先生の名前

さえ書いていれば、電子データの保存のみで押印も必要ありません。たとえば健康管理システム『Carely』では、以下のように健康診断の結果をデータ管理できます。

このように、健康診断の結果は電子データ化、つまりペーパレス化が進められています。詳細については、以下をご一読ください。

【質問3】再検査が必要となった場合、会社で費用を負担すべき?

再検査が必要になった場合の費用は、原則、個人負担です。産業医の指示で再検査が必要になった場合は、会社負担となるケースもあります。

再検査の例を含めて、健康診断費用の負担は状況によって対応が分かれるため注意が必要です。以下で詳しくまとめているので、ご一読ください。

また費用については、受診費用だけでなく「人的コスト」も考慮しなければなりません。なぜなら法律で、

  • 年に1回の定期健康診断の受診させること
  • 健康診断の受診から、3カ月以内に医師の意見聴取(産業医面談)を行うこと
  • 健康診断結果報告書の提出すること

などが定められており、業務効率化をはからなければ法律で定められた期日までに間に合わなくなってしまう可能性があるからです。

健康診断の業務負荷を抑えるには、「ペーパレス化」が効果的です。その理由について詳しく見ていきましょう。

健康診断後の業務は負荷がかかる!工数を下げるコツは「ペーパレス化」

ペーパレス化で実現できる健康診断業務の効率化について、健康管理システム『Carely』を例に見てみましょう。

Carelyで解決できる、健康診断の業務効率化例

・【例1】健康診断結果をデータで保管し、書類整理などの業務が減る
 →健康診断結果のコピーや、保管にかかる業務負荷を軽減!
・【例2】受診者数 + 有所見者を、システムが自動でまとめてくれる
 →健康診断結果を1枚ずつ確認し、異常者を調べる時間を大幅に削減できる!
 →定期健康診断結果報告書に必要なデータを確認しやすく、業務負荷を軽減!
・【例3】産業医面談に使う資料も、画面ですぐ確認できる
 →産業医面談のために別途資料を探したり、準備したりする必要がない!

他にも、ペーパレス化によって実現できることはとても多いです。以下で詳しくまとめているので、ご一読ください。

まとめ:法令順守には、健康診断結果の保管だけでなく事後措置の効率化が重要

今回は、「会社に健康診断の結果が届いたあと何をすればいいの?」といった疑問についてお答えしました。最後に、解説した中で重要な点をまとめます。

  • 会社に健康診断が届いたあとやるべきことは、次の3つ
    • 1.健康診断結果を従業員に通知する
    • 2.産業医と連携して事後措置を行う
    • 3.労働基準監督署に定期健康診断結果報告書を提出する
  • 健康診断結果の保管について
    • 一般健康診断の場合は、最低でも5年
    • 特定健康診断の場合は、7年や30年のケースも
    • 保管期限に限らず、全ての記録を保管しておくのが望ましい
    • コピー、原本、データなど、保管方法は自由
  • 再検査が必要になった場合の費用負担について
    • 原則、個人負担
    • 産業医の判断で再検査が必要と判断した場合は、会社負担することも
  • 健康診断の業務負荷を抑える鍵は、「ペーパレス化」

健康診断は、結果を受領して終わりではありません。お伝えしたように、結果の通知、事後措置、労基署への報告などの業務があります。

これらの業務はすぐに終わるものではなく、時間がかかるもの。ただ、法律で期日が定められているため遅れるわけにもいきません。

この時重要となるのが、「ペーパレス化」です。ペーパレス化は業務負荷を抑えられるのはもちろん、法律で定められた期日を守る上で効果の高い施策です。以下で詳しくご紹介しているので、ご一読ください。

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