衛生委員会を有効活用
2021年8月25日 更新 / 2021年5月28日 公開

衛生委員会とは?設置が必要な理由と罰則を正しく理解しよう。

「職場環境への配慮が足りない」「従業員にストレスがかかっている」といった状況を軽視していると、休職者や労災の発生に繋がるリスクがあります。

健康で安全に働ける職場を創るために、日本の法律では衛生委員会によって話し合い、改善していくことを会社の義務としています。

本記事では、衛生委員会を設置する目的や設置基準、会議の開催頻度や会議内容について、初めて衛生員会を開催する人事・総務の方のために解説します。衛生委員会を設置していなかった場合の罰則についても触れているので、管理職や人事担当の方はぜひ参考にしてください。

衛生委員会とは

衛生委員会とは、従業員の健康や、職場環境などについて管理者と労働者が話し合う会議体のことです。

衛生委員会を設置する目的は「従業員の健康を害さない職場環境を創ること」。会社の衛生委員会を適切に機能させることで、会社や従業員にプラスとなる職場環境の改善を見込めます。

また、会社が設置する衛生委員会には3種類あり、それぞれ次のメンバーで構成するよう定められています(労働安全衛生法第18条第2項から第4項)。

衛生委員会の種類と構成員

議長は総括安全衛生管理者(いなければ総務部や人事部の統括を行なう人)を1名、事業側から指名します。

議長以外の衛生委員会メンバーも事業側の推薦により指名できますが、会社に労働組合がある場合は、労働組合の推薦により指名する必要があります。なお、議長1名を除き、構成員の人数に規定はありません。議決を通して会議を円滑に進められるよう、全体の人数が奇数となるように構成することをオススメします。

構成メンバーそれぞれをどのように選出するかについては以下の記事を参考にしてください。

衛生委員会を設置しないといけない事業所

安全委員会の設置が指定されている業種

衛生委員会は、労働安全衛生法第18条により、一定の基準に当てはまる事業所で設置することが義務づけられています。

衛生委員会を設置する一定の基準とは、常時働く従業員が50人以上の会社や営業所(全業種)です。また特定の業種においては、常時働く従業員が50人以上もしくは100人以上で安全委員会(安全衛生委員会)を設置する必要があります。

安全委員会の設置が指定されている業種について以下にまとめておきました。ご覧の通り、オフィス勤務だけでなくいわゆる現場作業や危険業務が伴う業種において、安全委員会の設置が義務付けられていることがわかります。

従業員50人以上で安全委員会の設置が必要となる8業種

  1. 林業
  2. 鉱業
  3. 建設業
  4. 製造業の一部の業種(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)
  5. 運送業の一部の業種(道路貨物運送業、港湾運送業)
  6. 自動車整備業
  7. 機械修理業
  8. 清掃業

従業員100人以上で安全委員会の設置が必要となる12業種

  1. 上記4を除く製造業
  2. 上記5を除く運送業
  3. 電気業
  4. ガス業
  5. 熱供給業
  6. 水道業
  7. 通信業
  8. 各種商品卸売業・小売業
  9. 家具・建具・じゅう器等卸売業・小売業
  10. 燃料小売業
  11. 旅館業
  12. ゴルフ場業

50人以上の職場で併せて行なうべきこと

企業には従業員規模が大きくなるにつれて、労務管理・安全衛生管理のための義務が増えていきます。特にひとつの事業場で50人以上になった場合には、衛生委員会の設置だけでなく他の業務も新たにはじめる必要があります。

業務主な業務内容
産業医の選任会社の規模に応じて、産業医(職場環境や従業員の健康を管理する医師)を選任
衛生管理者の選任衛生管理者資格(国家資格)を持つ社員を選任
職場巡視の実施産業医(衛生管理者)による職場巡視を毎月実施
ストレスチェックの実施産業医または保健師によるストレスチェックを年1回実施
ストレスチェックによる
高ストレス者対応
高ストレス者の産業医面談を実施
(実施には本人の希望が必要)
健康診断の実施医療機関での健康診断を年1回実施
(深夜業労働者等は6ヶ月に1回実施)
健康診断の結果報告所轄の労働基準監督署へ健康診断の結果を記載した報告書を提出
衛生委員会の設置以外に実施するべき業務

なお、従業員数が50人に満たない職場でも上記のような業務を通じて従業員の安全と健康を守ることは必要です。そのため衛生委員会同様に従業員の意見を聴くための場を設ける規定もあります(労働安全衛生規則第23条の2)。

50人という基準はあくまで事業場単位(支社や店舗など)ですので、仮に1,000人を超える大企業であっても少人数の事業所ばかりなので衛生委員会の設置義務がないこともあります。その場合でも、何らかの会議体を設けておく必要があるということです。

衛生委員会ではどのようなことを話す?

管理者・労働者から必要なメンバーを集めた衛生委員会は月に1回以上開催することが義務とされています(労働安全衛生規則23条)。

衛生委員会で話す内容について法律上指定されていませんが、厚生労働省では主要な検討事項をリーフレットに例示しています。分かりやすく書き直したものをご紹介します。

  1. 健康情報管理規程など健康管理に必要な規程を作成・制定する
  2. 年間の衛生計画を立てたり、PDCAを回す
  3. 産業医による衛生講話など、衛生教育を実施する
  4. 健康診断やストレスチェックの実施状況を報告・共有する
  5. 長時間労働や労災の発生状況を報告・共有する
  6. 職場巡視の報告や助言指導への対応

産業医による衛生講話のテーマ

多くの企業では、上記のような定型的な報告・共有事項だけでなく時期やトレンドに合わせて身近なトピックを衛生講話に取り上げます。衛生講話によって従業員自身の健康意識を高めたり、職場環境を自発的に改善する体制を築くことが目的です。

衛生委員会で取り上げられる定番トピック(議題例)

衛生員会の議事録と周知義務

衛生委員会に関連する義務は設置と実施だけではありません。毎月実施した際は、議事録を3年間保管し、従業員がいつでも閲覧できるように掲示・周知する義務もあるのです。
会議内容は、会議の都度、以下いずれかの方法で従業員へ周知しましょう。

  • 職場の見やすい場所へ常時掲示する
  • 会議内容を記載した書類を従業員へ配布する
  • 録画や録音したデータを従業員が常時確認できるようにする

衛生委員会を設置しないとどうなる?

衛生委員会を設置しなければならない事業場において、衛生委員会を設置しなかった場合、50万円以下の罰則となります。

また、衛生委員会を設置しても月1回の会議を実施できていないなど、衛生委員会が正しく機能していない場合は、労働基準監督署から是正勧告が行なわれる可能性があります。

会議の遅延や議事録の非保管などに具体的な罰則はありませんが、是正勧告後、改善が見られないような場合は違法行為とみなされ、指導対象となることもあるでしょう。

2019年には、衛生管理者の設置が不十分だったことから書類送検された事案もあります。労働安全衛生法に基づく衛生管理が実施できているか、社内の衛生管理体制を見直しましょう。

まとめ

衛生委員会は、職場の衛生や安全を守り、従業員の健康を害さない職場環境を創るために設置・実施します。

実は会議体を設置するよりも、毎月実施して運用し続けることが難しい健康管理業務のひとつです。多くの企業で形骸化してしまっているのですが、反対に上手に活用することで人事担当や衛生管理者の業務負担を大きく軽減できる業務でもあります。

議題や報告内容を取りまとめたり、職場の改善点を審議できるようにするために必要な実務ノウハウについては、続きとして以下の記事にまとめておきました。

「毎月衛生委員会やってるけど意味あるのかな?」とお悩みの担当者の方は参考にしてみてください。それでは。

執筆・監修

  • Carely編集部
    この記事を書いた人
    Carely編集部
    「働くひとの健康を世界中に創る」を存在意義(パーパス)に掲げ、日々企業の現場で従業員の健康を守る担当者向けに、実務ノウハウを伝える。Carely編集部の中の人はマーケティング部所属。

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