おはようございます、Carelyエバンジェリストの小川です。2023年10月度のCarelyアップデート情報をお届けしますね。今月はビッグな新機能が登場しましたので、利用例を含めてご紹介します。※ 本記事に掲載する画像は開発中のものを含みます。自在な条件指定ができる「ハイリスク者抽出」従来、Carely健康管理クラウドでは産業保健スタッフによる面談(面接指導)に関わる機能を多数ご用意していきました。なぜ面談を重視しているのか?企業における健康づくりでは、ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチという2つの考え方があります。これはどちらか一方を採用するものではなく、企業ごとの事業特性や従業員の属性によって組み合わせる考え方です。しかし企業の優先課題は圧倒的にハイリスクアプローチです。なぜなら労働安全衛生法をはじめとした健康管理の関連法令は、企業に対して「明らかにハイリスクな従業員に対して適切な措置をとること」を義務にしているからです。特にハイリスクな従業員に対する措置として、産業医・保健師・看護師が実施するべき業務には必ずと行っていいほど面談が関係してきます。たとえば、健康診断により就業制限の必要性を判断する場合、過重労働者への業務状況を判断する場合、休職者の復職可否を判断する場合など。そのため、Carely健康管理クラウドでは面談に関する機能を充実化していました。新機能では、より広範囲なハイリスク者を発見しやすくなります。しかし、産業保健スタッフとの面談が必要なほど高いレベルのハイリスク者に対してのアプローチばかりを続けていても、なかなか予防効果は発揮できません。事実、現場実務としてはより広範囲なハイリスク者を対象として様々な措置・取り組みを推進しています。そこで活用いただけるのが今回の新機能「ハイリスク者抽出」です。「ハイリスク者を様々な条件で抽出する」これまでは一定の判定基準(=面談基準)を超えた従業員を抽出するにとどまっていましたが、これからは数値を入力して抽出できます。例えば、上記の画像にある通り糖尿病リスクを判定するための条件として、性別:男性腹囲 ≧ 85cm空腹時血糖 ≧ 100mg/dl または、中性脂肪 ≧ 150mg/dlという条件指定が可能です。これよりも高い基準(対象者を広くする)で抽出したり、反対に低い基準(よりハイリスクに絞る)企業もあると思いますが、数値部分を書き換えれば自社独自の基準で抽出することが可能です。経年変化を、部署や勤続年数ごとに追いかけるこのようなハイリスク者の抽出は、基本的には最新の情報のみで抽出されることが多いでしょう。しかし健康リスクというのは年単位での変化があるものだとすると、単年でのリスク評価では不足していると言えます。とはいえ、単年でのハイリスク抽出だけでも手間がかかることを複数年度にわたって追いかけることは作業工数があまりに膨大になってしまいます。その課題も新機能「ハイリスク者抽出」で解決「ハイリスク者を過去分を含めて抽出する」指定した抽出条件に当てはまる従業員を、最新年度の結果だけではなく、過去に記録された健康データも含めて抽出できます。もちろんCarelyを導入する以前の健康データも、システム内にデータ移管することで抽出可能です。ご覧のように経年変化を追いかけることで、企業全体として特定の健康リスクを抱える従業員が増えたのか、減ったのかが可視化されます。加えて、健康データの閲覧権限を有する産業保健スタッフであれば、企業全体をさらに区切って以下のセグメントごとの経年変化も追いかけられます。部署別年代別勤続年数別役職別機能としてはシンプル、だけど使い方は工夫次第で多様に広がる「ハイリスク者抽出」。本記事の続きでは具体的な使い方・利用シーンを3つほどご紹介いたします。▼ Carely健康管理クラウドの体験版をご希望の方は以下からお問い合わせください。https://www.carely.jp/form/consultationシーン1. 保健指導の優先順位付け現在(2023年10月)段階では、以下の項目を抽出条件として利用できます。抽出条件は順次拡大していきますので楽しみにお待ち下さい。従業員情報の性別健康診断の法定内項目健康診断の法定外項目(データとして存在する項目)健康診断の問診項目まずは健康診断に関する抽出条件を整備しましたので、保健指導の優先順位付けや従業員への連絡に関連する業務の効率化が期待できます。抽出条件に合致した従業員の一覧です。この画面内から所属する事業場や、現在の就業ステータス(制限中・休職中など)をさらに絞り込むことで、どの事業場から保健指導を実施していけば効率よくハイリスク者をカバーできるかを検討できます。また、同じ画面内で面談候補として管理したり、一斉配信メールを送信することも可能です。保健指導の関連業務に関しては、産業保健師・看護師からの要望が多く、面談と並んで業務効率化が求められていました。しかし保健指導の条件設定は企業によって多様であるため、カスタマイズのないクラウド型システムでは解決することが難しい課題でもありました。「ハイリスク者抽出」の登場により、Carely健康管理クラウドを導入後もこれまでと同様の運用フローで保健指導を実施していただき、かつ効率化を実現できるようになりました。▼ Carely健康管理クラウドの体験版をご希望の方は以下からお問い合わせください。https://www.carely.jp/form/consultationシーン2. 健康経営の課題発見2014年に健康経営銘柄がスタートし、2023年は10年目の節目を迎えています。10年前を振り返ると、当時の健康経営はあくまでもプロセス評価が重視されていました。つまり「会社としてどんな施策を実行したか?」の観点が強かったのです。しかし、2020年あたりから「会社としてどんな健康課題に対して施策を実行したか?」とワンランク上の取り組みが求められています。「これから健康経営を本格化しよう!」と推進する企業において、まず最初にぶつかるハードルは自社の健康課題を発見することです。そんなときにハイリスク者抽出のセグメント別経年変化が活用できます。健康経営における課題発見とは、「誰が健康課題を抱えているのか?」という個人の発見ではなく、「どこの職場に健康課題の原因が潜んでいるのか?」という観点が必要になります。たとえば、「テレワークへの移行が進んだこの3年間で従業員の肥満傾向が進んだ」という実感があるとしましょう。ここで肥満傾向が高い従業員は誰なのか?を調べることも確かに必要ではありますが、肥満傾向が高い部署はどこなのか?を調べることも、課題発見に向けて大切なアプローチです。本当にテレワークが原因なのか、部署ごとのテレワークの実施率と比較してみる。テレワークではなく、業務の忙しさや人員削減が影響してないか検証してみる。テレワークが浸透していても、肥満度が変わらない部署との違いを探ってみる。このような課題発見のアプローチは、医学的知見とその企業での働き方を熟知している産業保健師・看護師だからこそ価値が発揮できる領域です。これまではエクセルを統計ソフトを使ったデータ集計が必要な領域でしたが、(簡易的ではありますが)Carely健康管理クラウドではセグメント別経年変化をカンタンに可視化できるようになっています。▼ Carely健康管理クラウドの体験版をご希望の方は以下からお問い合わせください。https://www.carely.jp/form/consultationシーン3. 産業保健スタッフ介入による成果計測最後に紹介する利用シーンは、今後の機能拡充によって実現できる予定です。新機能「ハイリスク者抽出」では自在な条件指定ができることはすでにご紹介しました。この条件指定する対象は、健康診断結果やストレスチェック結果などの健康データに限ったものではありません。たとえば、禁煙施策を推進している企業においては、禁煙に向けた活動(Eラーニングや保健指導など)によって従業員の健康状態にどれほどの成果があったのかを計測したいはずです。そこで、ハイリスク者の抽出条件として(措置郡)喫煙習慣あり、かつ保健指導の対象リスクあり、かつ保健指導を実施済み(対照群)喫煙習慣あり、かつ保健指導の対象リスクあり、かつ保健指導の未実施このように産業保健スタッフによる介入の有無を設定すれば、介入効果の有無を経年変化によって把握することも可能になります。※ シーン3については2023年10月時点の構想であり、実現をお約束するものではありません。健康づくりのノウハウを企業間でシェアできる新機能ご覧頂いたように、Carely健康管理クラウドの「ハイリスク者抽出」はシンプルな機能ではありながら、その使い方は工夫次第で多様に広がる性質を持っています。十分な産業保健体制が整備され、熟練の産業保健スタッフと人事部門が連携し、先進的な健康経営に取り組まれている企業においては、ハイリスク者抽出を存分に使いこなしていただける新機能です。一方で、産業保健スタッフの配置が不十分な中小企業や、健康経営どころから法令遵守のための業務だけで手一杯になっている健康管理担当者にとっては、ハイリスク者抽出を使いこなすためのハードルが高いかもしれません。前者のような先進的企業において発見された、ハイリスク者の抽出条件やその対象者に対する健康増進施策、職場環境に潜む課題発見の仮説、このような使い方のノウハウについても、後者のような中小企業が取り扱いやすいようにCarelyでは情報発信・情報共有できる場を整えてまいります。これまで企業の健康づくりはどうしても企業内に閉じた活動でした。しかし、Carely導入企業においては「ハイリスク者抽出」という共通言語が生まれたことで、その活用ノウハウをシェア(共有し合う)ことが可能な未来がまた一歩近づいてきました。すでにCarelyを導入中の企業、あるいはご検討中の企業においては、「使いこなせるかな…」と不安になるかもしれませんが、ぜひ一度この新たな機能を体験してみてください。きっと喜んでいただけるとお約束いたします。▼ Carely健康管理クラウドの体験版をご希望の方は以下からお問い合わせください。https://www.carely.jp/form/consultation