最適な休職期間を企業はどのように決めるか?

2019.9.3 更新 / 2019.9.3 公開
休職・復職にムリなく対応
最適な休職期間には2つのポイント

うつ病をはじめとするメンタルヘルス疾患は年々増加傾向にあり、メンタルヘルス不調者の休職は、人事や産業衛生スタッフにとって避けて通れない問題となっています。休職の施行や、手続きを行う上で重要になってくるのが、休職を継続できる期間です。企業ではどのように休職期間を決めているのか、休職者や企業にとって最適な休職期間はどれくらいか、押さえておくべきポイントを解説していきます。

休職期間は企業が決めていいのか

現在、休職に関して法律で定められた決まりはありません。休職に関する規程の決定は企業に委ねられているため、施行の有無や期間も企業が決定してよいのです。休職の規程設定は、任意規定であるため、詳細まで定めていない企業も多くあります。しかし就業規則に休職の詳細を定めていないと、休職者が発生したときにトラブルの原因となります。企業の就業規則を確認し、規程が十分でない場合は補足をしましょう。

休職可能な期間を勤続年数によって変える企業もあれば、勤続年数に関わらず休職期間は一定としている企業もあります。企業規模や業態、平均勤続年数は企業によってさまざまであるため、実際に施行しやすい制度を設けるようにしましょう。

最適な休職期間には2つのポイントがある

新たに休職期間を設ける場合、どのくらいにするのがよいでしょうか。
これは「休職者の病状回復度」と「企業の負担度」という2つのポイントから考える必要があります。

ポイント1:病状回復に合わせた休職期間にする

休職者の病状回復の観点から休職期間を考えていきます。
従業員は、がんなど身体の不調やメンタルヘルス不調により業務が遂行できない状態になった場合、療養に入ります。療養して状態を回復することで、復職を目指す制度が休職です。そのため病状が回復して働ける状態になるまでを、休職期間として設ける必要があります。

難しいのが、がんなど身体の不調になった人とメンタルヘルス不調の人では、療養期間も復職基準も大きく変わってくることです。身体の不調の場合は、加療後病状が回復して日常生活に支障がなくなれば、復職できることが多いです。しかしメンタルヘルス不調の場合は、日常生活が送れるようになった後、就業が可能な状態かを見極め必要があります

メンタルヘルス不調の場合、復職ができるかどうかの見極めは、生活リズムがポイントになります。特に睡眠の状況が良いために起床時間が一定であることや起床時の疲労が取れているのかを基準にしましょう。疲れが取れている状態を0、全く疲れが取れなくて起き上がれないのを10にした場合、0〜1が望ましいです。疲労度が5以上はまず復職は厳しいといえるでしょう。

休職者は、働きたいという気持ちや経済面の理由から、早く復職したいと訴えるケースがあります。しかし病状回復が不十分なのに復職に同意してしまうと、仕事に身体や気持ちがついていかず、再休職のリスクとなります。従前の職務を行える健康状態なのかを見極め、休職期間を設けることが必要です。

ポイント2:企業の負担だけが上がる休職期間はやめよう

従業員にとって休職制度があることは、いざというとき助けてもらえる安心感につながります。最適な休職期間があることで、一定の確率で就労ができなくなる場合のセーフティネットになるからです。同じように復職のできる社内環境を作ることで、本人だけでなく周囲の従業員にとっての安心感は絶大なものになります。

一方で、休職期間が長過ぎることでの弊害も多く存在します。

  • 従業員のキャリア形成への影響
  • 就業意欲性の欠如
  • 組織内の不平等感による不満発生
  • 企業側の経済的負担

特に長期間の休職は、従業員にとって就業意欲がより欠如していき、長期化したり繰り返す休職復職の場合は、本人のキャリアそのものへの影響も強く発生してしまいます。また明確なルールや規定のない状況の中で、休職期間をある特定の従業員だけに適応した場合、なぜ自分の場合はこの期間であの人の場合は長いのだといった不平等感の醸成にもつながります。
だからこそバランスのとれた最適な休職期間が必要なのです。なお、休職についてより知識を深めたい場合は、労働政策研究・研修機構の「労働問題Q&A」が参考になります。

実際どれくらいの休職期間が現実的かを考えていきましょう。

最適な休職期間には2つのポイントがある

休職期間は傷病手当金を参考に

就業規則で定める休職期間は、中小企業では6カ月程度、大企業では1〜2年程度です。これは、中小企業と大企業では、一人の休職が企業に与える影響が変わってくるため、期間の差が生じます。
元々、大企業では休職期間を3年に設定するところも多くありました。 その理由は、「結核」が戦後間もなく従業員を働けなくさせる病気だったからです。結核の治療は当時数年かかるのが一般的だったのです。その名残りは、公的機関での休職期間に残っています。
ところが、現在長期休職に至る病気の多くは、「腰痛」と「メンタルヘルス」であるため、病気の特性に合わせた休職期間を考える必要があります。
腰痛もメンタルヘルスも療養で必要とする期間は、最低3カ月、多くて1年6カ月が妥当と思われます。当然、多くの人がこの期間内に療養ができるということであって、該当しない従業員の方も発生します。

また別の観点から最適な休職期間を考えてみましょう。参考になるのが傷病手当金を受け取る期間です。休職中、企業が社会保険料を支払う必要があるように、休職者本人も社会保険料の一部を支払う必要があり、これ念頭に休職可能な期間を、傷病手当金を受け取れる最大期間である1年6カ月と設定する企業もあります。

中には休職期間内において傷病手当金で標準月額報酬の2/3に上乗せして給与の一部を支払う企業や就労不能保険(GLTD等)を組み合わせて休職期間の従業員の経済的なサポートもしている企業もあります。企業規模や方針に合わせて、休職制度をどの程度手厚くするのか検討しましょう。

傷病手当金に関しては病気やケガで長期休職。もらえる手当は?をご覧ください。

さいごに

労働人口が減り、労働力を確保することが困難な時代だからこそこのような休職制度を最適に設計することは、従業員の退職を減らす力になりえます。誰でも病気になる可能性があるわけです。その可能性がある限り、さまざまな人事の施策が不可欠となっています。
企業に合わせて最適な休職期間を設計し、休職復職制度全体を明確にしていくことで企業の成長力に寄与されていくものとなります。

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