休職・復職にムリなく対応
2021年8月25日 更新 / 2019年8月28日 公開

人事の皆さんは、不調者対応で休職と有給をどう使い分けていますか?

人事の皆さんは、不調者対応で休職と有給をどう使い分けていますか?

産業衛生や人事の仕事に携わっていると、体調を崩した従業員が休職に入るケースに直面することがあります。こういったケースで従業員をスムーズに健康な状態に回復させられるよう配慮したいものです。そこでよく問題になるのが、「休職と有給」の関係です。
人事や産業衛生スタッフ(産業医、保健師)としてどのように休職と有給を使い分けているのか見てみましょう。

休職と有給の違いとは?

一般的に休職制度とは、病気やケガ、メンタル失調など何らかの理由で体調を崩した従業員をすぐに解雇するのではなく、「会社が定めた期間中、療養することで働ける状態を目指し労働契約を継続させるための制度」のことを言います。
意外と知られていませんが、休職は法律上必須の制度ではありません。会社側が福利厚生の一環や解雇猶予措置として定めているのです。そのため全ての会社が休職制度を持っているわけではありません。

法的には私傷病で「休職」となる場合、原則として会社は給料を支払う必要はありません。そうなると休職者の経済面が気になりますが、心配はいりません。なぜなら、休職者は所属している健康保険組合から「傷病手当金」といわれる金銭的な援助を受けられるため、会社が給与を支払わなくても無報酬とはならないのです。また、休職中給与を一部支給している会社も少なくはありませんし、GLTD(団体長期障害所得補償保険)のような保険に加入している会社もありますので、自社の制度について確認しておきましょう。

一方、有給とは「年次有給休暇」のことをいいます。年次有給休暇とは、一定期間勤続した全労働者に対して、身体および精神的に休養するために与えられる休暇のことです。年次有給休暇は取得しても賃金が減額されない、つまり「有給」の休暇です。年次有給休暇は、労働者が使用したい時期に与えなければならないと労働基準法で定められています。

休職の代わりに有給は使えるか?

日本の企業で多く見られるのが、本来「私傷病休職」の代わりに有給からまずは消化させるようなやり方です。外国の企業だとsick leaves とannual paid leavesとは明確に使い分けをしており、私傷病休職を有給で代用しようとすれば、HR(人事部)も従業員も嫌な顔をします。

日本の多くの企業においては、有給を消化できず翌年に繰越をすることで最大20日間の権利を得るわけですが、私傷病で休まざるを得ない場合、有給から使うように人事部から言われることがあります。これ自体問題はないのですが、以下のように考えてみましょう。

  • 私傷病の回復期間が明確かつ2週間以内と予想されるもの:有給
  • 私傷病の回復が不明確、2週間以上が予想されるもの:休職

最近の傾向として、早めにメンタル不調を含めて私傷病による休職を伝えることが多くなったために、早く回復し、早い期間で復職に至るケースが増えてきています。1つの目安は2週間ではないでしょうか。メンタル不調などは、症状にムラがあり、波があるのが一般的です。おおよそ2週間で良いときもあれば、悪いときもあり2週間での状況を休むことで明確になるのは、次のアクションが起こしやすくなります。
従って2週間以内であれば有給を使って『判断する状況をつかむ』という意味ではとても効果的です。また従業員にとっても休職はとっても大きなことになります。従って有給で不調が戻る可能性があるのであれば、有給から使いたいといった声は多くいます。

お役立ち資料"働き方改革の新しい義務『健康情報管理規定』"をダウンロードする
お役立ち資料"働き方改革の新しい義務『健康情報管理規定』"をダウンロードする

休職と有給で人事・産業保健師が気をつけるポイントとは…?

1. 休職と有給取得に関する運用ルールを決める

あくまでも私傷病における対応として、2週間を目安に有給と休職を伝えましたが、「2週間」としなければならないことはありません。3日間でも1週間でも良いわけです。自社の私傷病において問題となりやすい対象となる私傷病を考え、産業医とどの程度の期間で判断が出来るのか相談しながら期間を定めると良いでしょう。

その場合は、就業規則に載せる必要は全くありませんが、就業規則にひもづく健康規則・規定等に明文化しておくと良いでしょう。そのことを踏まえて、休むことが必要な従業員への説明文書にもなり、従業員も納得して有給や休職の決心が付きやすいからです。

2. 有給や休職期間の残りをすぐに出せるようにおく

繰越の有給期間がどのくらいなのか、休職期間が通算なのか、前回どのくらい使ったのかといったことはとても大切な情報である一方、すぐに出せないと何となくで判断をしてしまいます。有給が残り3日しかない中で、私傷病の判断をすることは難しいのが一般的です。従って、従業員の「休める期間」を常に出せるようにしておくことは重要です。
多くの企業は、人事システムの中でこれらすぐに出せるようにしているかと思います。それを現場でも使えるように整理しておきましょう。

3. 有給でなく休職であれば過ごし方やお金について説明しましょう

休職者にとって、体調だけではなく金銭面は心配事の1つです。扶養者がいればなおさらです。休職になっても、健康保険組合から傷病手当金が支給されることや、受給のための手続きについてしっかりと説明しましょう。またもし体調が戻らない場合には、有給から休職にスムーズに移行させること可能性についても触れておきましょう。
休職中は必ず通院することや、2〜4週に1度会社から連絡をすることなどを事前に伝えておきましょう。休職直後は連絡取らないほうがいいのですが、元気になってきた2カ月目くらいからは、会社から定期的に連絡をすることで復職率が高まると言われています。
また、中には休業中に旅行に行った写真をSNSにアップしたりする人もでてきます。旅行に行く際には事前に連絡すること、休職中には同僚等への配慮が必要であることからSNSにアップすることがないようになど事前に連絡しておきましょう。また、休職の目的、連絡先、復職判断の基準、リワークプログラムの案内、生活記録表の書き方と提出方法などを伝えておくことで復職に向けたトラブルが少なくなります。

休職者が発生した場合の事例についてはこちらの記事を参照してください。
若手エンジニアが休職? 休職者発生時の対応方法を学ぶ【保健師サロン】

さいごに

企業として、従業員の健康を害してはならない。しかし同時に、現場レベルでは本人を休ませることに苦慮することは多々あります。その際に、有給という手法をどう活かすのか、逆に休職をすることでどうしっかりと休ませるのかということを念頭に対応するのがよいでしょう。

執筆・監修

  • Carely編集部
    この記事を書いた人
    Carely編集部
    「働くひとの健康を世界中に創る」を存在意義(パーパス)に掲げ、日々企業の現場で従業員の健康を守る担当者向けに、実務ノウハウを伝える。Carely編集部の中の人はマーケティング部所属。

お役立ち資料

  1. 健康経営優良法人の攻略ガイド〜調査票の健康管理編〜
    健康経営優良法人取得に向けて、調査票作成という観点で押さえておくことが望ましいポイントをお伝えします。
    健康経営
    資料をダウンロードする
  2. Carelyの活用で健康経営優良法人を攻略する
    認定企業数が増え続けている健康経営優良法人。 変化の激しい現代では、コロナウイルスへの対応項目やSDGsへの取り組み項目など、新しい項目が続々と追加されています。 そんな中、毎年取得し続けなければいけない健康経営優良法人にプレッシャーを感じていませんか? 今回は、健康管理システム「Carely」を使って、健康経営優良法人を効率的に取得する方法をお伝えします。
    健康診断
    資料をダウンロードする
  3. 第8回健康経営サミット – 録画配信 –
    本セミナーでは実際の健康経営度調査をもとに、 項目変更の背景理由、中長期視点で抑えるべきポイントについて解説します。
    健康経営
    資料をダウンロードする
  4. 第7回健康経営サミット – 録画配信 –
    今回の健康経営サミットでは、人事通算歴13年、現在は人事コンサルタントとして活躍する金丸 美紀子氏をゲストにお迎えし、
    組織がいま取り組むべき健康経営について学びます。
    健康経営
    資料をダウンロードする
  5. Carelyサービス資料
    健康管理システムCarelyの大企業向けサービス資料です。 Carelyは産業保健スタッフや人事労務の実務担当者の方が抱える、健康診断、ストレスチェック、過重労働等の健康データを一元管理し、効率的に実施する仕組みづくりをサポートします。
    健康管理システム
    資料をダウンロードする
  6. 第6回 健康経営サミット – 録画配信
    本セミナーは、株式会社サイボウズ、株式会社iCAREの共催で行います。
    健康経営
    資料をダウンロードする
  7. 定期健康診断の事後措置ガイドブック 冊子版(PDF)
    健康診断の義務は、実施よりも"事後措置"の方が重要です。業務効率化を図りながら、ミス・モレのない実務ノウハウを解説します。
    健康診断
    資料をダウンロードする
  8. 健康経営2021 ステップアップ講座
    2020年は健康経営推進担当者にとって波乱の年になりました。今年そして来年以降の健康経営計画の見直しをふまえた、最短で認定取得を目指すステップアップ講座です。
    健康経営
    資料をダウンロードする
  9. 特殊健診は怖くない!有機溶剤編
    初めて特殊健診を管理する保健師・衛生管理者向けに、「有機溶剤予防規則に基づく健康診断」について解説しました。(監修:産業医・労働衛生コンサルタント 山田洋太)
    健康診断
    資料をダウンロードする
  10. ー改訂版ー
    オフィスの感染予防 対策ガイドラインの解説
    経団連が発表した感染症対策ガイドラインをさらに深堀って解説します。抽象的な指針だけでは分からない、実務レベルの対策を解説しています。
    テレワーク / コロナ
    資料をダウンロードする
  11. 健康診断をペーパレス化。メリットと外部業者の選び方
    まだ紙で管理しますか?延べ200社の健康診断の管理をペーパレス化してきたから分かった、人事労務・保健師の業務を効率化するコツと運用法を解説します。
    健康診断
    資料をダウンロードする
  12. 「健康投資管理会計ガイドライン」を会計士が人事総務向けに解説
    公式では分かりづらい管理会計のガイドラインを、労働安全衛生法に精通した会計士が分かりやすく解説します。
    健康経営
    資料をダウンロードする
  13. 人事が主導する、健康経営スタートガイド
    社員食堂の整備やウォーキングの目標設定よりも、前に実践すべきことがあります。人事の仕事がラクになる健康経営のコツを紹介します。
    健康経営
    資料をダウンロードする
  14. 健康管理費のコストカット表
    会社から経費削減を命じられているものの「健康管理費はどこまで削減していいものか」分からない方へ。従業員の健康を守りながらコストを削減する事例を紹介します。
    健康経営
    資料をダウンロードする
  15. 働き方改革の新しい義務『健康情報管理規程』の策定マニュアル
    厚労省から公表されているサンプルでは分かりづらい、という人事の方へ。ハンザツな規程作成が5ステップで完了します。
    法律 / ガイドライン
    資料をダウンロードする
  16. 集団分析の社内報告マニュアル
    ストレスチェック担当者が、上司・経営者から評価を得るために。厚労省の判定図の正しい読み方から社内報告の方法を産業医視点で解説します。
    メンタル / 過重労働
    資料をダウンロードする
  17. 急増するテレワーク中のメンタルヘルス対策と、失敗する予防策
    テレワークとオフィス勤務が混在する働き方の企業向けに メンタル不調者への法的に正しい実務対応を30分で解説します。
    テレワーク / コロナ
    資料をダウンロードする
  18. 健康管理検定 中小企業の法令遵守編
    本セミナーは従業員数50人〜200名程度の企業が対象です。 あなたの会社では健康管理の法的義務に正しく対応できていますか?
    健康経営
    資料をダウンロードする
  19. ベテラン人事こそ失敗する、休復職者対応5つの落とし穴
    「スムーズに復職は、休職前の準備は大事」 人事の工数を最小限におさえる休復職対応を、保健師が解説します。
    産業医
    資料をダウンロードする
  20. 2021年度、コロナ禍での健康診断を再計画
    コロナ禍で重要度があがった従業員の健康管理。 2021の健康診断では、ルールの正確が必要です。最近情報は30分で紹介。
    健康診断
    資料をダウンロードする