ストレスチェックで組織改善
2021年8月25日 更新 / 2020年7月6日 公開

ストレスチェックの実施に関する社内規定は必要?作成のポイントなどを紹介

平成27年12月に厚生労働省によりストレスチェック制度が施行されました。従業員数50人以上の企業ではすでに数回実施しているでしょうし、今年から初めて実施する企業の人事担当者の方もいらっしゃるでしょう。

今回は、はじめてストレスチェックを準備する人事が頭を悩ます「社内規定を作成するべきなのか」を考えてみましょう。ストレスチェックに関する社内規定の必要性や、作成のポイントについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

ストレスチェックに関する社内規定は作成すべき?

最初に、ストレスチェック社内規定の必要性について人事担当者向けに説明します。なお、産業医・保健師など実施者に向けては厚生労働省より「ストレスチェック制度実施マニュアル」が公開されています。ぜひ参考にしてください。

ストレスチェックの規程を作成するという法令上の義務はない

労働者数が50人以上の事業場は、自社の労働者に対してストレスチェックを実施する必要性があります(※派遣労働者やパートタイム労働者を含む)。これはストレスチェック制度によるもので、法令(労働安全衛生法第66条の10)によって実施が義務付けられているものです。ただし「ストレスチェックの規定を作成する」という法令上の義務はありません。

しかしストレスチェックの結果として高ストレス者と判定された従業員には、産業医面談の勧奨や就業上の措置を行う必要があります。また外部業者を利用したストレスチェックでは個人情報の取扱について厳格に定めることも必要です。

こうした理由からストレスチェックに関する社内規定を明文化しておくことが、厚生労働省のストレスチェック指針では推奨されています。

あわせて産業医の選任と衛生委員会の設置を進める

はじめてストレスチェックを実施する企業では、産業医の選任と衛生委員会の設置を事前に進めておきましょう。

産業医の選任と衛生委員会の設置は、どちらもストレスチェックと同様に労働者が常時50人以上となる事業場で義務となります。ストレスチェックを実施するには、産業医を実施者と定めた上で、いつどのように受検するといった基本方針を衛生委員会で審議するためです。

産業医の選任と、衛生委員会の設置については以下の記事を参考にしてください。

ストレスチェックの規程作成の前に、決めておきたい8つのこと

ストレスチェックの規定を作成するなら、事前に以下の8つのポイントを押さえておきましょう。次の項目では、厚生労働省の「簡単!ストレスチェック制度 導入マニュアル」の内容をふまえて説明していきます。

1.ストレスチェックは誰に実施させるのか?

ストレスチェック制度の実施者は、事業場で選任されている産業医がもっとも望ましいです。ストレスチェック後の高ストレス者対応では、選任された産業医による産業医面談が発生する可能性があるためです。産業医以外でも、外部委託の医師や保健師、厚生労働大臣の定める研修を受講した看護師や精神保健福祉士を指名できます。ストレスチェックの実施を外部業者に委託する場合でも、自社の産業医(または産業保健スタッフ)が共同実施者にすることを忘れないでください。

また、ストレスチェックの調査票の回収やデータ入力・集計といった実施者をサポートする実施事務従事者も多くの企業では定めます。

実施者や実施事務従事者はストレスチェックの受検結果を取り扱うため、労働者の人事に関わる権限(異動・昇進・解雇など)を持つ者はなれません。

2.ストレスチェックはいつ実施するのか?

ストレスチェックは1年以内ごとに1回行うことが決められています。衛生委員会による調査・審議によっては、1年以内に複数回実施したり、ストレスの高まりやすい繁忙期に配慮したりすることも可能です。

3.どんな質問票を使ってストレスチェックを実施するのか?

質問票には、「ストレスの原因」「ストレスによる心身の自覚症状」「労働者に対する周囲のサポート」に関する質問を含む必要があります。厚生労働省が推奨している「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を利用することで法定義務を満たすことができます。

紙の質問票では回答や集計が煩雑になってしまうため、ITシステムを活用して実施することも可能です。ストレスチェックを実施する事業者に向けて、厚生労働省が「ストレスチェック実施プログラム」を無料で公開していますので、ぜひ活用してみてください。

4.どんな方法でストレスの高い人を選ぶのか?

回収した質問票の答えから数値を算出し、実施者がストレスの高い人を選出します。高ストレス者の選出にあたって、面談を併用するケースもあります。ちなみに、ストレスチェックの結果は企業には通知されません。企業側が結果を知るためには、労働者本人の同意が必要となります。

5.面接指導の申出は誰にすれば良いのか?

ストレスチェックを受検した結果、高ストレス者と認定された労働者は産業医による面談を申し出ることができます。申し出があった場合、人事担当者は高ストレス者と産業医の面談日程を申し出から1ヶ月以内に調整してください。面接指導は就業時間内に行いますが、面接指導が1回で終わらず、複数回に及ぶケースもあります。

6.面接指導はどの医師に依頼して実施するのか?

高ストレス者に対する面接指導は、事業場の産業医もしくは事業場での産業保健活動に携わっている医師が望ましいです。この面接指導ではストレスチェックの結果はもちろん、労働者の勤務状況や健康診断の結果を参考にするため、従業員の健康情報(要配慮個人情報)の取扱いについて事前に定めておく必要があります。

支社や店舗など労働者数が50人未満の事業場で高ストレス者が発生した際には、産業医が選任されていないことがありうるため、産業医の在籍している産業保健総合支援センターの地域窓口を活用する方法もあります。

7.集団分析はどんな方法で行うのか?

ストレスチェック制度において集団分析の実施は努力義務です。そのため実施していない企業もありますが、生産性の低くなりがちな部署やストレスを感じやすい年代といった有用な情報を定量的に判定できるため正しく実施することをおすすめします。

集団分析を実施する際の留意点として、集計する部署やグループの人数が少ないと個人を特定できてしまうおそれがあります。集計の対象が10人未満となる場合は、他の部署やグループと統合して分析しましょう。

8.ストレスチェックの結果は誰が、どこに保存するのか?

ストレスチェックの結果の取扱いは、個人情報取扱の観点から実施者もしくは実施事務従事者が行います。実際に結果を保存する場所は、衛生委員会を通じて事業者が決定しますが社内の鍵付きのキャビネット内、もしくは電子化してサーバー内に保管する形が一般的です。どちらの方法を採用するにしても、情報漏洩のないよう鍵やパスワードの管理を慎重に行わなくてはなりません。

5年間の保存が義務付けられている書類・データは、個人のストレスチェックの結果・ストレスの判定・面接指導対象の判定の3点です。受検した調査票の原本やそのコピーを保存しておく必要はありません。

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ストレスチェックに関する規程作成のポイント

ストレスチェックに関する社内規定で記載しておきたい項目

最後に、ストレスチェックに関する社内規定の雛形を用意しました。厚生労働省が準備したファイルはPDFでしたので、編集しやすいワードファイルに変換しています。
ストレスチェック制度実施規程(例) [Word]

また自社独自で社内規定を作成・明文化するにあたって、記載しておきたい項目をご紹介します。

  • ストレスチェックを行う目的について
  • ストレスチェック制度の周知方法について
  • ストレスチェック制度の実施体制について
  • ストレスチェック制度の対象者について
  • ストレスチェック制度の実施時期について
  • ストレスチェック制度の具体的な実施方法について
  • ストレスチェック結果の評価方法について
  • 高ストレス者の選定方法について
  • ストレスチェックの受検情報に関する取り扱いについて
  • ストレスチェック結果の通知について
  • 面接指導を希望する際の申出方法について
  • 面接指導の実施方法について
  • ストレスチェック結果の保存方法について
  • ストレスチェック結果の利用目的について
  • ストレスチェック結果を共有できる範囲について
  • ストレスチェックの情報の開示、訂正、削除などについて
  • 各情報の取り扱いに関する苦情の処理方法について
  • ストレスチェック受検は任意であることについて
  • 受検者に対する不利益な取り扱いの防止策について
  • ストレスチェックや面接指導にかかった分の賃金の支払いについて

ストレスチェックによりメンタル不調者の未然予防を達成するためにも、社内規定として明文化を行い、なるべくすべての従業員に受検してもらうことが重要です。

また、ストレスチェックは従業員の健康情報の中でももっともデリケートな情報を取り扱うこととなります。実施前の準備から、受検の方法、結果の回収・集計、高ストレス者へのフォローについてまで、規定に則った運用をこころがけてください。

ストレスチェックの外部業者や産業医が変更になる際は、社内規定のアップデートもあわせて行うことを忘れないでください。

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まとめ

ストレスチェックの規定は法令上、作成の義務はありません。しかし実際には外部委託の産業医やストレスチェックサービスを利用するにあたって、衛生委員会による審議や社内規定の明文化は必要になってきます。

規定作成の際には、厚生労働省によるひな形の他にも運用の指針が発表されています。多くは産業保健スタッフ向けの専門的な資料であるため、本記事では人事向けに必要な内容に絞って社内規定の作成方法をご紹介しました。8つのポイントを参考に規定の準備を進めてみてくださいね。

執筆・監修

  • Carely編集部
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    Carely編集部
    「働くひとの健康を世界中に創る」を存在意義(パーパス)に掲げ、日々企業の現場で従業員の健康を守る担当者向けに、実務ノウハウを伝える。Carely編集部の中の人はマーケティング部所属。

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