人事が学ぶストレスチェック後の高ストレス者対応

2020年5月18日 更新 / 2019年9月3日 公開
ストレスチェックで組織改善
高ストレス者の対応

ストレスチェック後、高ストレス者に対しての事後措置は、具体的にどう対応すればよいのでしょうか?

過重労働社員への対応と同じ事後措置の流れでいいのでしょうか?困るパターンに対して秘技を伝授します。

ストレスチェックで高ストレス者はどれくらいいる?

ストレスチェック後、高ストレス者はどれくらいの割合で判定されるか予想できるでしょうか?

高ストレス者の判定基準の考え方は2通りあります。

1つ目は理想的な考え方。ストレスチェックの高得点から上位1/4までをストレスが高い群、と考える方法です。

職業性ストレス簡易調査票(ストレスチェック)の高得点者1/4(高ストレス者)では、ストレスが低い群と比較して、うつ病もしくは抑うつ状態による疾病休業リスクは2.96倍という数字が出ています。(平均1.8年間の観察期間中)

副次的なものですが、ストレスチェックを行うと、うつ病などの病欠者もわかってくる可能性があります。

もう1つは現実的な考え方です。厚生労働省が決めた点数をもって高ストレス者とする考え方です。

厚生労働省が発表した研究成果に基づくマニュアルでは、組織全体の10%が高ストレス者になるように設計されています。しかし業種や職種で全く異なる割合になることが予想されています。例えば、弊社のストレスチェックからは、高ストレス者が11%いるのが平均となりますし、高い業種・職種があることがわかっています。従って、過重性の高いストレスの多い職場では、厚生労働省推奨の点数で高ストレス者の定義をすれば、組織全体の20%になることもあります。実際のところは、ストレスチェックを実施してみないとわかりませんが、1回実施すると傾向がわかるので、実施企業は来年に分析して対策を考えておきたいところです。

ストレスチェックの高ストレス者対応は過重労働と同じ

高ストレス者と判定された方に対して、人事労務担当は具体的にどのように対応していけばいいのでしょうか。

アプローチの仕方や対策の立て方など基本的な考え方は、過重労働社員と同じように事後措置を実施しましょう。特に、厚生労働省のストレスチェックのWEBページを見るとわかりますが、過重労働従業員への対応と同じ「面接指導」という言葉が使われていること、面接指導時の面談フォーマットが類似していることから、過重労働社員の対応の延長で考えていくとわかりやすいものになります。

メンタルヘルス対策全般において、人事労務担当者の役割はとても大きなものです。

過重労働社員と同じように、ストレスチェックの高ストレス者対策のルール作りをきちんと作りこんでおくことで乗り切ることは可能です。

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高ストレス者の同意有無で人事労務の対応変わる

ストレスチェック後、個人のストレスチェック結果を事業者に提供するかどうか本人の同意が必要となるわけですが、この同意が受けられるか受けられないかでその後のアクションが違ってきます。

ストレスチェック後の高ストレス者の対応2つ

ストレスチェック受検者の同意があり、面接指導の実施を申出ている場合は、産業医の先生の訪問日にあわせて面接指導をしてしまいましょう。またこの場合は、厚生労働省のマニュアル通りにするのであれば、「同意しない」にできないとなっていますので、原則人事が結果を見た上で、面接指導の日程調整や事後措置を行うことになります。

人事労務担当としては理想的な形です。

※これ以外にもマニュアルとは別に問題になってしまうケースがありますが、これは別の記事で説明しましょう。

一方、ストレスチェック受検者で問題になるのは①面接指導を希望せず、同意する場合と②面接指導を希望せず、同意しない場合の2つです。

①の場合は、同意をしているため、原則結果を人事がチェックし、勤怠不良やパフォーマンスなどの要素と組み合わせて、あわせ技で面接指導を実施すれば大丈夫です。弊社の経験からは、このセグメントはほとんどいません。

問題は、②のケースです。実施事務従事者、実施者と共同実施者は、結果を見ることができますが、本人がそもそも面接指導を希望していないため、人事としてはアクションをとることが難しくなります。また、このセグメントは組織の中でも9%前後いるため、無視してよい人数とはなりません。従業員数が多い企業ではなおさら無視できない人数となります。

面接指導の対象者を把握しているストレスチェックの実施者(産業医や健康管理室といった部署)が申出の勧奨を行うことが妥当ですが、そもそも本人は面接を希望していないことがほとんどで、中小企業では常時産業医や保健師がいない、リソースが足りないなどの理由から対応が難しい場合がほとんどです。

【対応方法3つ】

わたしの経験上、このセグメントの人が1番危ないのです。
理由は様々ありますが、人事が通常把握できていない高ストレス潜在層の方が多く含まれるセグメントだからです。

このセグメントへの対応方法は、3つしかありません。

  1. 実施事務従事者が動く
  2. 産業衛生スタッフ(産業医・保健師)を活かす
  3. 共同実施者にお願いする

となります。ただし、2番目の選択肢は現実的ではありません。

産業衛生スタッフのリソースが足りない企業が大多数であり、さらに受診勧奨(申出勧奨)といった事務的な作業を産業衛生スタッフが嫌がるからです。そうなると1番目か3番目が現実的なアプローチとなります。

実施事務従事者が動く手順について説明していきます。

A. ストレスチェック実施前に開催する衛生委員会で、申出勧奨(受診勧奨)を2回までメール・TELで行うことを議論する

B. ストレスチェック後面談の申出勧奨を2回実施しても返事がない場合、対象者全員にストレスの対処方法などのセルフケアのパンフレットを配布しておく

C. ストレスチェック時に勤怠不良・過重労働一覧リストを作成し、そのリストと照らし合わせて、労働時間の観点から面接指導を調整する

ちなみに弊社ではこのA〜Cまでを共同実施者として、弊社クライアント様に提供することで、面接を希望しない潜在高ストレス者に対するアプローチとしてかなりの効果を発揮していますので、是非やってみて下さい。わからなければ、こちらまで。

ストレスチェック 義務化

高ストレス者の対応後…事後措置を実施する際に注意!

事業者に個人のストレスチェック結果を提供して、高ストレス者本人の同意を得られた場合でも、配置転換など就業上の措置を講じる場合は、産業医など医師による面接指導を行って、医師の意見を聞くことが必須です。

医師による面接指導を行わずに事業者が配置転換などの就業上の措置を講じることは不適当であるとされています。

ストレスチェックを実施して高ストレス者に対する人事労務の対応は、すべての場合において本人の同意が必要になると考えて覚えておきましょう。

ただし、例外の場合もあります。

自傷、他傷の恐れがある場合などの緊急性を要するときです。プライバシーの問題と情報の共有の難しさが、これらメンタルヘルス問題の難しさだと考えることができますね。

高ストレス者の対応は主治医との連携を強化して慎重に進めていく必要があるとともに運用前に、衛生委員会でしっかりと議論しておけば大丈夫ですね。過重労働対策と同じ運用でよいということが良く理解できたかと思います。

まとめ

高ストレス者は、その後のうつ病発症リスク等も考えると早期の対処が必要です。しかし、すべての高ストレス者に面接を実施することは、面接の調整だけでも大変な時間がかかりますし、何より産業医の先生に調整までお願いするとなればとてつもないコストがかかってしまいます。産業医による面談対応や事後措置は、本当に必要と思われる対象者から優先的に順を追って行うことが肝要です。

自社に保健師などの産業衛生スタッフが潤沢にいる場合は、スタッフと連携して優先度の把握を行うことで、リスクの高い従業員から面談対応を実施しましょう。ただ、多くの企業では潤沢にリソースがない場合も多いと思います。そういった場合は、外部のストレスチェック代行サービスをうまく活用して下さい。意義ある事後対応を見据えたストレスチェック運営を検討しましょう。

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