ストレスチェックで組織改善
2021年8月25日 更新 / 2019年9月3日 公開

人事が学ぶストレスチェック後の高ストレス者対応

高ストレス者の対応

ストレスチェック後、高ストレス者に対しての事後措置は、具体的にどう対応すればよいのでしょうか?

過重労働社員への対応と同じ事後措置の流れでいいのでしょうか?困るパターンに対して秘技を伝授します。

ストレスチェックで高ストレス者はどれくらいいる?

ストレスチェック後、高ストレス者はどれくらいの割合で判定されるか予想できるでしょうか?

高ストレス者の判定基準の考え方は2通りあります。

1つ目は理想的な考え方。ストレスチェックの高得点から上位1/4までをストレスが高い群、と考える方法です。

職業性ストレス簡易調査票(ストレスチェック)の高得点者1/4(高ストレス者)では、ストレスが低い群と比較して、うつ病もしくは抑うつ状態による疾病休業リスクは2.96倍という数字が出ています。(平均1.8年間の観察期間中)

副次的なものですが、ストレスチェックを行うと、うつ病などの病欠者もわかってくる可能性があります。

もう1つは現実的な考え方です。厚生労働省が決めた点数をもって高ストレス者とする考え方です。

厚生労働省が発表した研究成果に基づくマニュアルでは、組織全体の10%が高ストレス者になるように設計されています。しかし業種や職種で全く異なる割合になることが予想されています。例えば、弊社のストレスチェックからは、高ストレス者が11%いるのが平均となりますし、高い業種・職種があることがわかっています。従って、過重性の高いストレスの多い職場では、厚生労働省推奨の点数で高ストレス者の定義をすれば、組織全体の20%になることもあります。実際のところは、ストレスチェックを実施してみないとわかりませんが、1回実施すると傾向がわかるので、実施企業は来年に分析して対策を考えておきたいところです。

ストレスチェックの高ストレス者対応は過重労働と同じ

高ストレス者と判定された方に対して、人事労務担当は具体的にどのように対応していけばいいのでしょうか。

アプローチの仕方や対策の立て方など基本的な考え方は、過重労働社員と同じように事後措置を実施しましょう。特に、厚生労働省のストレスチェックのWEBページを見るとわかりますが、過重労働従業員への対応と同じ「面接指導」という言葉が使われていること、面接指導時の面談フォーマットが類似していることから、過重労働社員の対応の延長で考えていくとわかりやすいものになります。

メンタルヘルス対策全般において、人事労務担当者の役割はとても大きなものです。

過重労働社員と同じように、ストレスチェックの高ストレス者対策のルール作りをきちんと作りこんでおくことで乗り切ることは可能です。

高ストレス者の同意有無で人事労務の対応変わる

ストレスチェック後、個人のストレスチェック結果を事業者に提供するかどうか本人の同意が必要となるわけですが、この同意が受けられるか受けられないかでその後のアクションが違ってきます。

ストレスチェック後の高ストレス者の対応2つ

ストレスチェック受検者の同意があり、面接指導の実施を申出ている場合は、産業医の先生の訪問日にあわせて面接指導をしてしまいましょう。またこの場合は、厚生労働省のマニュアル通りにするのであれば、「同意しない」にできないとなっていますので、原則人事が結果を見た上で、面接指導の日程調整や事後措置を行うことになります。

人事労務担当としては理想的な形です。

※これ以外にもマニュアルとは別に問題になってしまうケースがありますが、これは別の記事で説明しましょう。

一方、ストレスチェック受検者で問題になるのは①面接指導を希望せず、同意する場合と②面接指導を希望せず、同意しない場合の2つです。

①の場合は、同意をしているため、原則結果を人事がチェックし、勤怠不良やパフォーマンスなどの要素と組み合わせて、あわせ技で面接指導を実施すれば大丈夫です。弊社の経験からは、このセグメントはほとんどいません。

問題は、②のケースです。実施事務従事者、実施者と共同実施者は、結果を見ることができますが、本人がそもそも面接指導を希望していないため、人事としてはアクションをとることが難しくなります。また、このセグメントは組織の中でも9%前後いるため、無視してよい人数とはなりません。従業員数が多い企業ではなおさら無視できない人数となります。

面接指導の対象者を把握しているストレスチェックの実施者(産業医や健康管理室といった部署)が申出の勧奨を行うことが妥当ですが、そもそも本人は面接を希望していないことがほとんどで、中小企業では常時産業医や保健師がいない、リソースが足りないなどの理由から対応が難しい場合がほとんどです。

【対応方法3つ】

わたしの経験上、このセグメントの人が1番危ないのです。
理由は様々ありますが、人事が通常把握できていない高ストレス潜在層の方が多く含まれるセグメントだからです。

このセグメントへの対応方法は、3つしかありません。

  1. 実施事務従事者が動く
  2. 産業衛生スタッフ(産業医・保健師)を活かす
  3. 共同実施者にお願いする

となります。ただし、2番目の選択肢は現実的ではありません。

産業衛生スタッフのリソースが足りない企業が大多数であり、さらに受診勧奨(申出勧奨)といった事務的な作業を産業衛生スタッフが嫌がるからです。そうなると1番目か3番目が現実的なアプローチとなります。

実施事務従事者が動く手順について説明していきます。

A. ストレスチェック実施前に開催する衛生委員会で、申出勧奨(受診勧奨)を2回までメール・TELで行うことを議論する

B. ストレスチェック後面談の申出勧奨を2回実施しても返事がない場合、対象者全員にストレスの対処方法などのセルフケアのパンフレットを配布しておく

C. ストレスチェック時に勤怠不良・過重労働一覧リストを作成し、そのリストと照らし合わせて、労働時間の観点から面接指導を調整する

ちなみに弊社ではこのA〜Cまでを共同実施者として、弊社クライアント様に提供することで、面接を希望しない潜在高ストレス者に対するアプローチとしてかなりの効果を発揮していますので、是非やってみて下さい。わからなければ、こちらまで。

ストレスチェック 義務化

高ストレス者の対応後…事後措置を実施する際に注意!

事業者に個人のストレスチェック結果を提供して、高ストレス者本人の同意を得られた場合でも、配置転換など就業上の措置を講じる場合は、産業医など医師による面接指導を行って、医師の意見を聞くことが必須です。

医師による面接指導を行わずに事業者が配置転換などの就業上の措置を講じることは不適当であるとされています。

ストレスチェックを実施して高ストレス者に対する人事労務の対応は、すべての場合において本人の同意が必要になると考えて覚えておきましょう。

ただし、例外の場合もあります。

自傷、他傷の恐れがある場合などの緊急性を要するときです。プライバシーの問題と情報の共有の難しさが、これらメンタルヘルス問題の難しさだと考えることができますね。

高ストレス者の対応は主治医との連携を強化して慎重に進めていく必要があるとともに運用前に、衛生委員会でしっかりと議論しておけば大丈夫ですね。過重労働対策と同じ運用でよいということが良く理解できたかと思います。

まとめ

高ストレス者は、その後のうつ病発症リスク等も考えると早期の対処が必要です。しかし、すべての高ストレス者に面接を実施することは、面接の調整だけでも大変な時間がかかりますし、何より産業医の先生に調整までお願いするとなればとてつもないコストがかかってしまいます。産業医による面談対応や事後措置は、本当に必要と思われる対象者から優先的に順を追って行うことが肝要です。

自社に保健師などの産業衛生スタッフが潤沢にいる場合は、スタッフと連携して優先度の把握を行うことで、リスクの高い従業員から面談対応を実施しましょう。ただ、多くの企業では潤沢にリソースがない場合も多いと思います。そういった場合は、外部のストレスチェック代行サービスをうまく活用して下さい。意義ある事後対応を見据えたストレスチェック運営を検討しましょう。

ストレスチェック 業者

↓↓↓ ストレスチェック関連の要チェック記事

 ★ストレスチェック外部委託業者をお探しの方はこちら ↓↓↓
・「ストレスチェック外部委託業者の選び方教えます!!

 ★義務化された内容について詳しく知りたい方はこちら ↓↓↓
・「義務化スタート!! 「ストレスチェック制度」で生じる7つの義務

★ ストレスチェックの実施者にお悩みの方はこちら ↓↓↓
・「ストレスチェック実施者を機能させる3つの役割

★ ストレスチェックの運用でお困りの方はこちら ↓↓↓
・「ストレスチェックの義務化で悩むのは損!

★ ストレスチェックの表を見ながら理解を深めたいひとはこちら ↓↓↓
・「【図でわかりやすく説明】ストレスチェックの運用

★ ストレスチェックで発生する高ストレス社員はどうするのか ↓↓↓
・「人事が学ぶストレスチェック後の高ストレス者対応

★ 健康診断との違いについて知りたいかたはこちら ↓↓↓
・「「ストレスチェック」と「健康診断」、結局どこがどう違う?

★ ストレスチェック「3つの領域」を詳しく知りたいかたはこちら ↓↓↓
・「【ストレスチェック項目】3領域見れば社員が分かる

執筆・監修

  • Carely編集部
    この記事を書いた人
    Carely編集部
    「働くひとの健康を世界中に創る」を存在意義(パーパス)に掲げ、日々企業の現場で従業員の健康を守る担当者向けに、実務ノウハウを伝える。Carely編集部の中の人はマーケティング部所属。

お役立ち資料

  1. 健康経営優良法人2023 完全ガイドブック
    「健康経営優良法人2023 完全ガイドブック」の冊子をダウンロードいただけます。
    健康経営
    資料をダウンロードする
  2. 従業員の離職予防のカギは健康データにあり!データを活用した組織改善のノウハウを解説
    本資料では、離職予防につながる健康データの活用方法と担当者が抱える悩みに対する解決方法を知ることが出来ます。
    メンタル / 過重労働
    資料をダウンロードする
  3. IT企業に適した健康管理体制基本ガイド
    IT企業が健康管理体制を構築する上でおさえておきたい、基本となるポイントをお伝えします。
    健康経営
    資料をダウンロードする
  4. ストレスチェックを効果的に行うための集団分析の基本を解説
    さまざまなストレス要因が増加する中、担当者にとって組織のメンタルヘルス不調対策は欠かせないものとなりました。 実際にストレスチェックを効果的に活用し、不調を予防する方法を紹介しています。
    メンタル / 過重労働
    資料をダウンロードする
  5. 健康経営優良法人の攻略ガイド〜調査票の健康管理編〜
    健康経営優良法人取得に向けて、調査票作成という観点で押さえておくことが望ましいポイントをお伝えします。
    健康経営
    資料をダウンロードする
  6. Carelyの活用で健康経営優良法人を攻略する
    認定企業数が増え続けている健康経営優良法人。 変化の激しい現代では、コロナウイルスへの対応項目やSDGsへの取り組み項目など、新しい項目が続々と追加されています。 そんな中、毎年取得し続けなければいけない健康経営優良法人にプレッシャーを感じていませんか? 今回は、健康管理システム「Carely」を使って、健康経営優良法人を効率的に取得する方法をお伝えします。
    健康診断
    資料をダウンロードする
  7. Carelyサービス資料
    健康管理システムCarelyの大企業向けサービス資料です。 Carelyは産業保健スタッフや人事労務の実務担当者の方が抱える、健康診断、ストレスチェック、過重労働等の健康データを一元管理し、効率的に実施する仕組みづくりをサポートします。
    健康管理システム
    資料をダウンロードする
  8. 定期健康診断の事後措置ガイドブック 冊子版(PDF)
    健康診断の義務は、実施よりも"事後措置"の方が重要です。業務効率化を図りながら、ミス・モレのない実務ノウハウを解説します。
    健康診断
    資料をダウンロードする
  9. 健康経営2021 ステップアップ講座
    2020年は健康経営推進担当者にとって波乱の年になりました。今年そして来年以降の健康経営計画の見直しをふまえた、最短で認定取得を目指すステップアップ講座です。
    健康経営
    資料をダウンロードする
  10. 製造業人事担当者向け/お役立ち資料一括ダウンロード
    製造業の人事労務担当者向けに、調査データや健康管理の基本が詰まったお役立ち資料がまとめてダウンロードできます。
    健康管理システム
    資料をダウンロードする
  11. 外資系企業人事担当者向け/お役立ち資料一括ダウンロード
    外資系企業の人事労務担当者向けに、調査データや健康管理の基本が詰まったお役立ち資料がまとめてダウンロードできます。
    健康管理システム
    資料をダウンロードする
  12. 特殊健診は怖くない!有機溶剤編
    初めて特殊健診を管理する保健師・衛生管理者向けに、「有機溶剤予防規則に基づく健康診断」について解説しました。(監修:産業医・労働衛生コンサルタント 山田洋太)
    健康診断
    資料をダウンロードする
  13. 健康診断をペーパレス化。メリットと外部業者の選び方
    まだ紙で管理しますか?延べ200社の健康診断の管理をペーパレス化してきたから分かった、人事労務・保健師の業務を効率化するコツと運用法を解説します。
    健康診断
    資料をダウンロードする
  14. 働き方改革の新しい義務『健康情報管理規程』の策定マニュアル
    厚労省から公表されているサンプルでは分かりづらい、という人事の方へ。ハンザツな規程作成が5ステップで完了します。
    法律 / ガイドライン
    資料をダウンロードする
  15. 集団分析の社内報告マニュアル
    ストレスチェック担当者が、上司・経営者から評価を得るために。厚労省の判定図の正しい読み方から社内報告の方法を産業医視点で解説します。
    メンタル / 過重労働
    資料をダウンロードする
  16. ベテラン人事こそ失敗する、休復職者対応5つの落とし穴
    「スムーズに復職は、休職前の準備は大事」 人事の工数を最小限におさえる休復職対応を、保健師が解説します。
    産業医
    資料をダウンロードする
  17. 先回りメンタルヘルス対策
    -IT企業編-
    クリエイティブ職が多いIT企業だからこそ注意が必要なメンタルヘルスの予防と対策。心の問題以外にも焦点をあてて解説します。
    健康診断
    資料をダウンロードする
  18. 見逃し配信 / プレ健康経営サミット
    「従業員の健康を第一にする」というのは、実は健康経営ではありません。企業の事業戦略に基づいた、「本質的な健康経営」を紐解きます。
    健康経営
    資料をダウンロードする
  19. 健康管理のデジタル化に、失敗する理由と成功した事例
    2020年春、新型コロナウイルスの流行によりテレワークが余儀なくされました。これまでのアナログな健康管理では、従業員の健康を守ることが難しくなりました。健康労務をペーパレス化して法令遵守を徹底するための企業事例を解説しました。
    健康経営
    資料をダウンロードする
  20. 従業員50人からはじめる健康管理の法令遵守
    どこまで健康管理業務を徹底すれば、法令遵守になるんでしょうか?労務管理の義務が増える従業員50人を超える”前”から読んでおきたい入門ガイドを産業医が書き下ろしました。
    法律 / ガイドライン
    資料をダウンロードする