ストレスチェック実施にかかる費用はいくら?だれが負担をするのか

2021年3月25日 更新 / 2021年3月25日 公開
ストレスチェックで組織改善

労働者のメンタルヘルスの不調に対処するため、2015年よりストレスチェック制度が義務化されました。しかし、労働者が快適な環境で働くために必要な仕組みとはいえ、事業者としては実施にかかる費用が気になるところでしょう。

今回の記事では、ストレスチェック制度をこれから実施するにあたって、どれくらいの費用がかかるのか、内訳と目安を説明します。ストレスチェックを外注する際に気を付けたいポイントについても説明しますので、ぜひ参考にしてください。

ストレスチェックにかかる費用とは

ストレスチェック制度は、労働者のストレス状態を検査することで、労働者本人が自身の精神面での不調に気付くきっかけを与えます。
さらには、集団ごとに結果の集計や分析を行い、すでに不調が見られる高ストレス者に対して、医師への相談や面接指導を促す役割を果たします。

つまり、単に「高ストレス者を見つける」だけではなく、その後「産業医など専門家のフォローを勧奨する」という部分まで含まれるということです。

実施前には、ストレスチェックの流れを正しく理解したうえで、一般的にどの程度のコストが必要になるのか、詳細を調べておく必要があるでしょう。

なお、ストレスチェック制度を実施する義務があるにも関わらず、費用面や手間が気になり、検査を行わない事業者も一部存在します。実施を怠った場合は罰則を科されることもあるため、注意が必要です。

ストレスチェックに必要な費用としては、以下が挙げられます。

  1. ストレスチェックを行うための体制を作るための人件費
  2. 実際にストレスチェックを依頼する際の費用
  3. 高ストレス者への面接指導にかかる費用
  4. 集団分析および職場改善にかかる費用

以下で、各費用の詳細をチェックしていきましょう。

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ストレスチェックを行うための体制を作るための人件費

ストレスチェックを滞りなく行うためには、まずは衛生委員会を設置するなど、必要な管理体制を整えなければなりません。なぜなら、ストレスチェックの外注自体は可能であるものの、管理体制が整備されていない状態ですべてを外部に委託するのは推奨されないからです。

もし、ストレスチェックの管理体制を調整する段階で、外部の産業医などを衛生委員会に加入させた場合、この時点で人件費の負担が発生します。産業医の報酬としては、1時間当たり5万円を目安として考えるとよいでしょう。ただし、初めて産業医を選任する場合は、紹介料など追加費用が発生するケースもあるため注意が必要です。

なお、ストレスチェックにおける産業医については、「専属産業医」と「嘱託産業医」の2種類があります。事業所の労働者数が1,000名以上の場合は専属産業医、999人以下の場合は嘱託産業医の選任が必要です。ただし、有害業務に携わる事業所の場合は、500人以上の労働者を抱えていれば専属産業医の選任が求められます。

専属産業医とは、その事業所に常勤する産業医のことです。週3日以上の勤務となるケースが多く、なかには複数の事務所を兼任する産業医もいます。専属産業医の場合は、医師としての経験の長さ、週の勤務日数により料金が変動すると考えましょう。

一方で、月に1回から数回程度出勤する産業医のことを、嘱託産業医と呼びます。事業所の労働者数が増えた分だけ、料金も上がるケースが一般的です。健康診断などを併せて行う場合は、その分の費用も別料金として必要となります。

実際にストレスチェックを依頼する際の費用

ストレスチェックには、インターネットや事業所内のイントラネットなどを使用して行うWeb受検と、調査票に直接記入するマークシート方式の2種類があります。Web受検とマークシート方式いずれの場合も、結果的にはデータとして処理され、分析や高ストレス者の選定に使用されます。

なお、ストレスチェックで使用したデータや資料に関しては、適切な方法で管理する義務があります。事業者は、実施者からストレスチェックの記録を提供された場合、その記録が適切な方法で保存されるよう、管理しなければなりません。そのため、紛失などのリスクを考慮して、Webでストレスチェックを行うケースが一般的です。

なお、Web受検と一口にいっても、一人当たりの受検費用は0円から1,000円まで金額に幅があります。ストレスチェックの受検費用は、サービス内容の違いによって変わることがあるので注意しましょう。

費用に関わるサービス項目としては、以下が挙げられます。

  • 管理体制サポートの有無
  • 受検勧奨の有無
  • 高ストレス者へのフォローの有無
  • 集団分析の有無
  • 部署比較・経年比較アドバイスの有無

紙で実施する場合も、インターネットや社内イントラネットで実施する場合も、金額面ではそれほど差がありません。実際にかかる費用は、上記項目の有無によって変動しますので、事前に細かなところまで確認しておきましょう。

高ストレス者への面接指導にかかる費用

ストレスチェックの結果、事業所の労働者に高ストレス者が見つかった場合、産業医などによる面接指導が行われます。ただし、面接指導の対象であると判断されたとしても、労働者本人の希望がなければ、実際に面接を受けさせることはできません。

このように、強制力はありませんが、産業医による面接の実施は義務付けられています。従業員の健康や社内の環境改善のためにも、できる限り適切なケアをしていく必要があるでしょう。

面接指導は、原則として事業所で選任された産業医が担当します。産業医はストレスチェックの実施者でもあるため、個人のデータを閲覧することが可能です。

なお、面接指導にかかる時間は、一人当たり15分程度となります。産業医の時給は3~5万円であるため、一人当たり1万円前後が費用のおおまかな目安です。ただし、労働者のストレス状況によっては、継続的なフォロー面接が行われます。

産業医や外部の精神科医に面接指導を依頼する場合、その分の費用は事業者が負担することになります。また、このときの面接指導に関しては、保険診療の範囲で行うものではないことを理解しておきましょう。

高ストレス者に対する面接指導では、何がストレスの原因となっているのか、事業所で実施できる改善策は何かを探りながら、ストレス状態の解消策を探し出します。

精神疾患があると診断したり、実際に治療を行ったりするわけではありませんが、必要に応じて医療機関への受診を促すなど、労働者のメンタルヘルスの安定化において重要な役割を果たします。

集団分析および職場改善にかかる費用

ストレスチェックの際には、部署別、職種別、年代別、性別といったように、集団ごとの分析を行うことも重要です。それぞれのストレス状況を分析することで、高ストレス者の多い集団が明らかになるでしょう。さらに、集団ごとの傾向を分析することで、勤務形態など職場環境において改善すべき点を発見できるかもしれません。

なお、集団分析を行う場合、2万5,000円程度が費用の目安となります。調査する属性が増えるごとに追加費用が発生する可能性もあるため、費用の詳細をあらかじめ確認しておきましょう。

また、ストレスチェックを実施した結果、高ストレス者に面接指導を勧奨するだけでなく、おもなストレス要因を把握し、従業員にとって働きやすい職場へと整えていくことが大切です。そのため、環境改善を行う費用も必要になるかもしれません。

ストレスチェックにかかる費用はだれが負担する?

ストレスチェックは健康診断と同じく、福利厚生の一環として扱われます。そのため、ストレスチェックにかかる費用は、すべて事業者が負担すべきものとされています。

法に定められた事業者の義務ということもあり、労働者に費用を支払わせることはできません。ただし、ストレスチェックにかかる費用を「福利厚生費」として扱い、損金計上することは可能です。

高ストレス者がストレスチェック・面接指導を受ける場合、職場を離れた時間に関しても賃金を支払うのが望ましいとされています。つまりは、一般的な健康診断と同じような扱いとなるわけです。

高ストレス者に対する面接指導が行われ、専門の医療機関の受診を勧奨された場合、その後の治療費については労働者本人の負担となります。しかし診断の結果、心身の不調の原因が労働環境によるものと認定されると、労災として事業者側が支払わなくてはなりません。

ストレスチェックを外注する際に気を付けたいこと

ストレスチェックを事業所内ですべて行うケースはまれであり、外注するケースが大半です。産業医を専任していない場合は、ストレスチェックのやり方がまったくわからず、管理体制の構築に手間取ってしまうかもしれません。業務効率化の観点から考えるなら、ストレスチェックを外部のサービスに委託するほうが、スムーズに進められる可能性が高いでしょう。

ストレスチェックに関するサービスは多数ありますので、自社に合ったものを選択する必要があります。外注を検討する際には、以下の点に注目してみてください。

  1. どこまでを外注するのか
  2. 一人当たりのコストがいくらになるのか
  3. どのような形でストレスチェックを受けるのか

ここでは、上記の各項目に関するポイントを解説します。

どこまでを外注するのか

ストレスチェックを外注するといっても、事業所によって外注する範囲は大きく異なります。ストレスチェックの実施を外部委託し、その後の集団分析やデータの運用に関しては事業所内で行うケースや、一連の業務をすべて代行してもらうケースなどさまざまです。

ストレスチェックの外注を検討している場合は、事業所内で対応予定の業務と、外注を希望する業務を分けて、整理しておくとよいでしょう。

なお、ストレスチェックの実施、集団分析や職場改善、高ストレス者に対する面接指導の勧奨といった基本の業務以外に、どのようなオプションが用意されているのか、チェックすることも大切です。

例えば、健康管理システムを提供する「Carely」では、メンタルヘルスの不調に悩んでいる従業員が気軽に利用できる「チャット窓口」をオプションで選択できます。ストレスチェックの外注サービスごとに、プラン設定やオプションの内容が異なるので、複数のサービスを比較してみるとよいでしょう。

一人当たりのコストがいくらになるか

ストレスチェックを外注する場合、対象となる労働者数によって、一人当たりの費用が変わる可能性があります。例えば、「人数が少ないほど高くなる」というケースです。もちろん、Webと紙のどちらでアンケート調査を行うのか、どの部分まで委託するのか、などによってもかかる金額は大幅に変動します。

ストレスチェックを初めて外注する場合は、現時点での労働者数に合わせて、各サービスの費用を比較することになります。しかし、事業所の今後の方針によっては、労働者数が大幅に増減することが決まっている場合もあるでしょう。そのようなときには、将来的な労働者数の増減を鑑みたうえで、サービスを選んでみてください。

なお、ストレスチェックの外注サービスで、産業医の紹介を行っているケースもあります。産業医の選任が必要な場合は、対応してもらえるかを事前にチェックしておきましょう。

どのような形でストレスチェックを受けるのか

ストレスチェックの調査方法を決める際には、Webで回答する方法と、紙で回答する方法のどちらかを選択します。このとき、自社で管理のしやすいほうを選べば問題ありません。

一般的には、Web回答のほうが情報を管理しやすいものですが、そもそもパソコンを使った仕事をあまりしないなど、事業所によっては紙のほうが扱いやすいケースもあるでしょう。

また、ストレスチェックを実施する際には、「受検率」をいかに高めるかが重要です。Webと紙のどちらが良いのか、Webの場合はスマートフォンからも使えるようにすべきなのか、自社の設備や従業員のタイプも考慮して判断してください。

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まとめ

ストレスチェックを実施するとなると、産業医への報酬など費用負担の大きさが気になるかもしれません。しかし、労働者のなかには、自分が高ストレス状態にあることになかなか気付けない方も存在します。ストレスチェックは事業者の義務であるため、実施対象に含まれているならば、確実に行う必要があるでしょう。

日々の重要な業務を任せていた労働者が、メンタルヘルスの不調により働けなくなれば、事業所にとって大きな損失となります。この場合は、事業所内のストレス要因を早めに見つけて、働きやすい環境を整えていくことが大切です。

サービス内容と費用面のバランスを見ながら、自社に適したスタイルでストレスチェックの外注を行うとよいでしょう。

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