#リモラブ の復習4話目。新入社員のメンタルヘルス対策に有給取得はありか、なしか。

2020年11月11日 更新 / 2020年11月11日 公開
産業医とスムーズな連絡・共有

おはようございます、産業医の山田です。

#リモラブ4話目の復習では、「新入社員の健康管理」について取りあげましょう。春からのテレワークが緩和されて出社がはじまったカネパル。営業部の新入社員がメンタルヘルス不調を訴えているため、産業医・大桜美々は有給休暇の取得を促しました。

「産業医の仕事って有給の取得についても気にかけるの?」「新入社員だからこそ休まずに働くべきなのでは?」といった疑問に答える形で解説していきます。

心配された新入社員(左手前)ですが、上司との飲みニケーションで相談相手ができたようです。

新入社員で注目すべき2つの健康管理

復習1話目でおさらいしましたが、もう一度「産業医とは?」を振り返っておきましょう。#リモラブ冒頭で産業医看護師・八木原がこう説明してくれています。

産業医とは

従業員が健やかに働けるよう、環境を整え、健康を管理し、病気を予防し、指導助言する医師であり、1000人以上が働く企業には専属の産業医が常勤する。

この一文を読むだけでは、産業医自身が健康管理の業務をすすめるイメージがありますが実際の現場は異なります。

カネパルのように従業員数が1,000人を超える大手企業では、産業保健師・産業看護師の方が業務を主体的に動かしています。中規模以下の企業では健康管理の専門スタッフがいることは少なく、人事労務の担当者が健康管理を担います。

産業医は健康管理が正しく実施されているかをチェックしたり、法律で定められた産業医面談に時間を割くことが多いです。ですので、美々先生のように積極的に従業員とコミュニケーションをとる産業医は珍しいんですね。

新入社員はメンタルヘルスと生活習慣に気を付ける

「従業員」と一言にまとめても、健康管理の必要性はバラバラです。

たとえば新型コロナウイルスの感染症対策では若者よりも高齢者のほうが深刻な症状がでるためテレワークの必要性が高くなりますし、エンジニアのように一日中パソコンでの作業が強いられる仕事では、腰痛や腱鞘炎のリスクが高くなります。

同様に、新入社員に対しても健康管理として注意すべきポイントがあります。メンタルヘルス不調と生活習慣です。

環境の変化は、ポジティブなことであれネガティブなことであれストレス要因になります。働く環境、建物やデスク、新しい人間関係、新しい業務内容、相談したくてもできない状況、誤ったストレス解消法(飲酒や喫煙)などあらゆることがストレス要因であり、メンタルヘルス不調の症状がでてきます。

これもあるあるですが、「朝ごはんを食べる習慣がない」「平日と休日で、起きる時間と寝る時間のズレが大きい」といった生活習慣のままな新入社員も要注意です。

入社からテレワークが続くことのリスク

#リモラブの舞台であるカネパルでは、春から続いたテレワークが緩和されたようです。とはいえ、新入社員にとっては入社時から何ヶ月も在宅勤務が続くことで、生活習慣の切り替えがうまくできず、社内に相談できる人間関係もなかなか構築できないことから、メンタルヘルス不調になる事例が多く発生していますね。

ところで、入社したばかり、出社がはじまったばかりの新入社員が不調を理由に有給休暇を取得することはありなのでしょうか?

やさしい声の「檸檬」は、青林だと判明。

不調を理由に、有給を取得することは可能?

いわゆる有給、正しくは年次有給休暇は労働基準法39条に定められた働いているすべての人が取得できる休暇です。

有給という制度は、長く働く従業員が心身の疲れを癒やして自分自身を健康な状態に保つことを目的にした制度なんですね。会社には従業員の健康を守る安全配慮義務がある一方で、従業員自身にも働き続けることができる健康を保つための自己保健義務があります。金銭的な不安を感じることなく身体を休めるために給与が支払われる休暇制度が整備されています。

有給と休職はどのように使い分けるのか

結論からまとめると、有給休暇は従業員から申請するものであり、休職は会社が命令するものです。だから「不調を理由に有給を使うなら診断書が必要だ!」という意見は一部間違っており、有給の取得には必要ないのですが休職する際には症状があることを証明する診断書が必要になってきます。

#リモラブ4話では、メンタルヘルス不調を訴える営業部の新入社員に対して産業医の美々先生は有給の取得を促しました。これは産業医として「働き続けることは可能だが、予防として一定期間仕事から離れることは効果がある」と判断したんですね。

もしこれが「すでに不調によって働き続けることは困難である」と判断したならば、産業医は人事や上司に対して休職させるように意見します。実は有給と異なり、休職という制度は法律上に存在しません。それでも多くの企業が休職制度を儲けているには理由があります。気になる方は以下の記事を確認してみてください。

有給取得には一律のルールを定めておく

年次有給休暇の取得についてはトラブルがつきものです。たとえば、休職に入る前や復職直後に有給休暇を取得したいと従業員が申請してきた場合、従業員の役職や症状によって対応をころころ変えてしまっては不平不満の元凶になってしまいます。

産業医にとって不調になっている個人のケアは重要ですが、同じぐらいに組織ガバナンスを整えることも重要な職務です。あなたの会社の産業医は、経営者や人事と協力して健康管理に関わるルール作りに取り組んでいるでしょうか、チェックしてみてください。

メンタルヘルス不調を見極める基準

エピソードの中で嘱託医師・富近先生が5大疾病について教えてくれていました。がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病、そして精神疾患でしたね。厚生労働省の発表を読み解いてみても、

  • 従業員300人超の職場では6割
  • 従業員1,000人超の職場では9割

の割合で精神疾患による休職者が発生しています。

「メンタルヘルス上の理由により休業・退職した労働者の有無」
厚生労働省 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(PDF)より

メンタルヘルス不調を客観的に判断するには

当たり前ですが、こうしたメンタルヘルス不調はある日突然かかるものではありません。と同時に、こころの健康状態は本人にしか分からないというものでもありません。

仕事上のストレスは、人間関係による心理的な悩みであったり長時間労働による身体的な疲れといった形でうまく解消されないまま蓄積されやすくなっています。日常的にストレスにさらされ続けると、ストレス反応として心と身体に異変が現れてきます。では具体的にどのような変化があるのかをまとめてみました。

キーワードの頭文字をとって「ゲイツ心配おねしょ」と呼びます。

「ゲ: 元気がない」「イ:イライラする」「ツ:疲れやすい」は、仕事を進める中では避けては通れない症状かもしれませんし、仕事とは別の要因によるものかもしれません。一時的なものであれば仕事のストレスによるものとは断定できませんが、1週間以上日常的に続いていくようであれば仕事が原因ではないかと考えた方がいいでしょう。

管理者としては「心配性」に注意すべし

目に見える影響が現れはじめる重要なラインが「心配」です。心配のラインまで症状が進んでしまった場合、仕事上のパフォーマンスとして明らかな遅れやミスが目立ってきます。

  • ルーティング作業で慣れた仕事に対して、30分で完了していたものが60分かかるようになった
  • ひとつひとつの作業を進めるごとに上司や同僚へ確認を取る行動が増えた
  • 会議中、人の会話内容が頭に入っていないようでコミュニケーションが取れない
  • メールの誤字脱字が多くなり、改行さえうまくできなくなってくる

もし心配性がさらに悪化していくと、「お:起きられない」「ね:眠れない」「し:身体愁訴(めまい、頭痛、動悸、食欲不振、軟便)」といったように身体上の健康を残ってしまいます。

新入社員の場合、管理者としても一緒に働いている時間が短いために本人のパフォーマンスが落ちているのか、もともとの能力不足なのかが判断しづらいでしょう。またテレワークが長く続いている状況では、生活習慣が乱れていても気付くことが難しくなってしまいます。

テレワークでの新入社員研修を提案した人事部。
仕方ないとはいえ、メンタル面でのケアも必要でしたね。

産業医の職務は、会社のルール(労務管理)と切っても切り離せない

#リモラブ4話目の復習では、「新入社員の健康管理」について取りあげました。

2020年11月現在、東京と北海道を中心に徐々に新型コロナウイルスの陽性者が増えてきましたね。同時にインフルエンザが流行する季節ですので、改めてテレワークに移行する企業が増えるかもしれません。

今年の新入社員にとっては難しい社会人生活の始まりになってしまいましたが、#リモラブのように従業員が気軽に産業医や産業看護師とコミュニケーションがとれる会社であればメンタルヘルス不調を未然に防ぐことができるでしょう。

5話目からも、人事部・営業部に限らず様々な働き方をしている従業員へ適切な健康管理のアドバイスが見れると嬉しいですね。期待しています!

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