産業医とスムーズな連絡・共有
2022年7月7日 更新 / 2020年11月4日 公開

#リモラブ の復習3話目。企業の感染症対策は、働き続けるためのルール作りです。

おはようございます、産業医の山田です。

#リモラブ3話目について、ついに産業医の仕事がほとんど描かれなくなってしまいましたね。。。ドラマで見ている限りは気付きにくいのですが、カネパルは緊急事態宣言が明けたあとも感染症対策として全社員テレワークが継続されていますよね。

ですので、今回は企業の感染症対策について産業医がどのように関わるのかについて解説します。

感染症対策は新型コロナウイルスのような突発的な流行時のみに対策する業務ではありません。実は企業における感染症対策は産業医にとって重要な年間業務なのです。

なぜか普通に出社していますが、全社員テレワーク中なカネパル

平常時の感染症と突発的な感染症

まず人事や総務などのオフィス環境を管理する立場にある方に知っていただきたいことは、感染症対策は平時から毎年のように徹底しなければならない業務である。ということです。

2020年2月から突発的に流行した新型コロナウイルスや、2009年に発生した新型インフルエンザなど、突発的に流行する感染症がある一方で、毎年のように流行る感染症もありますよね?

夏季と冬季に流行する、季節性の感染症

たとえば、夏に流行する夏かぜや食中毒。冬に流行する季節性インフルエンザやノロウイルス。これらは毎年のように日本で流行し、インフルエンザであればシーズンで1千万人以上が罹患しています。

以下に日本で発生する代表的な感染症と、発生時の企業対応について一例を掲載しておきました。もしあなたの会社でこのような社内ルールを策定していないならば、選任している産業医に相談してみてください。

対策2本立ては、予防策と職場での発生時

2020年10月現在では、新型コロナウイルスの市中感染はおさまっていないもののオフィス出社を再開している企業が多数を占めていますね。各種アンケート調査でもフルタイムのテレワークを導入している企業は2割ほど、#リモラブの舞台であるカネパルのような大手企業では比較的多いようです。

そもそも出社しない、通勤しないということも感染症対策としては有効です。しかし、現在の状況はあくまでも緊急時の対策ですので通常はオフィス勤務を前提に感染症対策をとります。

まずは予防策として、従業員への健康教育活動を実施すること。
もうひとつは職場で発生した際に、これ以上職場内で感染が広がらないように対策をとることです。

これらの対策そのものは人事や総務の方に実施していただきます。美々先生のように産業医が直接働きかけ続けることは珍しいですね。実際に産業医の職務としては、このような予防策や発生時の対策が正しく実施されているかをチェックすることになります。

従業員の安全を守るだけでは不十分。BCP(事業継続計画)を立てておくこと。

企業は感染症対策をしなければなりません。これは法律上の義務です。「インフルエンザにかかるなんて個人の責任だ」と言っていては、安全配慮義務を守っているといえなくなるからです。

一方で、過度に安全配慮義務を守ろうとして「流行がおさまるまで出社禁止にします」というのも極端な対策です。

あくまでも企業として事業活動が継続できることを優先して、従業員の健康と安全を守ることが安全配慮義務を守ることになります。そこで重要になるのがBCP(事業継続計画)です。

BCPに沿って健康管理を継続できる体制づくり

BCPとは、

事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)
感染症、台風や地震などの自然災害、不祥事などの緊急事態が発生した時に、企業の重要な業務が継続されるよう予め戦略を立てた計画書です。バックアップシステムの設備や安否確認方法や人員確保の方法などが含まれます。詳しくはこちらの策定マニュアルをご覧ください。

産業医の職務は、ただ単に従業員の健康を守ることではありません。従業員の健康を守ることで、安全に働き続けることができる職場環境をつくることです。

ですので、「もしまた新型コロナウイルスのような感染症が発生した時でも、従業員が働き続けるための社内ルールの整備」もまた産業医が関わらなければならない職務のひとつです。

たとえば、

  • 産業医面談をオンラインで実施できるWEBツールを導入する
  • オフィスに出社しなくても機密性の高い健康情報にアクセスする方法
  • 衛生委員会や職場巡視はどれくらいの頻度で開催するか
  • 健康診断やストレスチェックを例年通りの時期に実施できるか

といったことを、人事や経営者と相談し就業規則として明文化しておく必要があります。

従業員の治療はしない産業医。代わりに、精神科の富近先生がカウンセリングを実施。

安全配慮義務とは、仕事が原因で健康を害さないように予防策をとること

これから#リモラブで産業医の業務が描かれるのかどうかはわかりませんが、、、#リモラブをこれからも興味深く見るためには「安全配慮義務」という考え方を覚えておくといいかもしれません。

安全配慮義務とは、仕事が原因で健康を害さないように予防策をとらなければならいという企業の義務です。

たとえば今もテレワークが継続されているカネパルの従業員ですが、フルタイムの在宅勤務が3ヶ月以上続くと新たな健康障害が発生しやすくなります。

椅子や机といった作業環境が整っていないために腰痛や腱鞘炎を引き起こしたり、
長時間労働が続いて休憩時間が減ってしまうことでメンタル不調に陥ったりなど。

テレワークを続けることは感染症対策としては重要かもしれませんが、安全配慮義務という考え方においてはテレワークによる健康障害にも新しい対策をとる必要がでてきます。このことに美々先生や人事部トリオが気が付いて対策をとるのかどうか。

第4話以降でも産業医や健康管理に関する業務が描かれることをまだまだ期待しています。

執筆・監修

  • 山田 洋太
    この記事を書いた人
    山田 洋太
    金沢大学医学部卒業後、2008年久米島で離島医療に従事。
    2010年慶應義塾大学MBA入学。2011年株式会社iCAREを設立。2012年経営企画室室長として病院再建に携わり、病院の黒字化に成功。
    2017年厚生労働省の検討会にて産業医の立場から提言。2018年より同省委員として従事。

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