過重労働対策を自動化
2021年11月22日 更新 / 2021年11月22日 公開

長時間労働の対策に企業がすべき7つのこと!改善に成功した企業事例とは?

独立行政法人労働安全衛生総合研究所の「長時間労働者の健康ガイド」によると、週労働時間が61時間以上の人は、週労働時間が40時間以下の人と比べて心筋梗塞になるリスクが1.9倍だと言われています。

確かに従業員の健康を守る観点として、長時間労働を削減する取組は非常に重要です。一方で、安全配慮義務の観点としては「残業は少ないから対策をとらなくてもよい」とはなりません。残業の多さや不調者が発生するかどうかに関わらず、「長時間労働を企業として事前に対策できているか?」が企業リスクを低減するために重要な考え方です。

そこでこの記事では、以下について解説します。

  • 長時間労働に対して国が進めている対策
  • 長時間労働の対策として、企業がすべき7つのこと
  • 長時間労働の対策に成功している企業事例3選

「長時間労働の対策ってどこまで徹底すれば十分なんだろう」と改善策がハッキリとは分からない方は、ぜひ最後までご一読ください。

■従業員への健康管理が、人事の長時間労働の原因になっていませんか?

長時間労働の把握ならば勤怠システムで実現できると思われるかもしれませんが、給与計算などの用途で扱う所定労働時間の計算と、健康管理のための法定労働時間の計算式は異なります。勤怠とは別にエクセルで再集計を行ったり、過重労働者へ産業医面談の予約、従業員の健康データを準備するといったアナログ業務は、人事担当者が長時間労働になる原因ともいえます。

長時間労働への対策にとどまらず、健康診断やストレスチェックも一元管理して、従業員への健康管理を効率化したい方は、以下からお問い合わせください。

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長時間労働に対して国が進めている3つの規制とは?

まず、長時間労働に対して国が進めている規制を3つ紹介します。

  1. 働き方改革関連法による残業時間の上限規制
  2. 労働基準監督署による企業への監督指導を強化
  3. 脳・心臓疾患による労災認定基準を改正

順番に見ていきましょう。

1.働き方改革関連法による残業時間の上限規制

なぜ、日本では長時間労働による精神疾患(メンタルヘルス不調)が一向に減らないのでしょうか?

本記事を読んでいる方にとっては、一昔前よりも残業時間は減っていると実感されているかと思います。確かに多くの企業では残業の削減に取り組んでいるのですが、残念ながら一部の企業ではまだまだ長時間労働が残っています。

長時間労働・過重な業務負担が主な原因である脳・心臓疾患の労災請求件数は、過去20年間で減っていません。

なぜ健康を崩すほどの長時間労働があるのかというと、残業時間の上限規制が法律で定められていなかったためです。

2019年3月以前は、労働時間と時間外労働(残業)について以下のように定められていました。

  • 労働基準法の第32条
    • 労働時間は1日8時間、週に40時間以内が原則
  • 労働基準法第36条
    • 雇用者と従業員の合意があれば、1ヶ月45時間、1年間360時間の法定労働時間外の労働が認められる
  • 労働基準法第36条(特別条項)
    • 特別条項付きの契約を結んでいれば、1ヶ月45時間、1年間360時間以上の法定労働時間外の労働が認められる

つまり特別条項付きの契約にしていれば、労働時間の上限は実質ないものとして扱われていたのです。そのため、心身に不調をきたして「労災に認定されたら過重労働」とみなれされていました。

しかし2019年4月から労働基準法が改正されたことで、以下のように特別条項付きの時間外労働が大きく制限されています。

  • 時間外労働は年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計について、「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ月平均」「5ヶ月平均」「6ヶ月平均」が全て1月当たり80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6ヶ月が限度

引用:過重労働の基準知ってますか?会社が義務違反にならないための対策

参考:時間外労働の上限規制わかりやすい解説 厚生労働省[PDF形式:12.5MB]

改正された労働基準法に違反すると、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が企業に課せられます。

また働き方改革による法改正では、産業医権限も強化されています。人事労務としては、長時間労働者がいるいないに関わらず、従業員の労働時間をいつでも共有する義務が新たに発生しています。

2019年4月に改正された働き方改革関連法の詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひこちらもあわせてご一読ください。

2.労働基準監督署による企業への監督指導の強化

厚生労働省には2014年より「長時間労働削減推進本部」が設置されています。これは過労死等防止対策推進法に基づいて長時間労働の削減を進めるためのプロジェクトです。

出典元:長時間労働削減推進本部概要資料

実際に違法な長時間労働が疑われる事業場に検査するのが労働基準監督署です。2016年より監督対象の企業が拡大しており、近年では過重労働解消キャンペーンとして以下のような監督指導の実績をあげています。

  • 32,981事業場に対して監督指導を実施。そのうち47.3%の事業場に対して、違法な時間外労働の是正・改善指導を行った(令和元年度)
  • Webサイト上の求人情報や書き込みの情報を監視。労働条件に問題があると考えられる事業場の情報を収集し、536件の監督指導を実施した。(令和元年度)
  • 労基署による監督指導を工場や支社などの事業場単位ではなく、企業の本社に対して行う。全社的な改善を図る指導に変更(平成29年から)

国もあらゆる手段を使って違法な長時間労働をする企業を探し、改善に向けた指導を行っていることがわかります。従来はこのような是正・改善指導は社会的影響力の大きい大企業が中心でしたが、長時間労働に対しては10名程度の事業場であっても対象になっています。

現在、指導を受けただけでの社名公表は行われていません。

しかし、ハローワークでの求人募集・行政での入札案件の応募・健康経営優良法人など各種認定を受けるなどの企業活動は制限されます。また、現在働いている従業員への悪影響(スピルオーバー効果)も計り知れません。

労働基準監督署による企業への監督指導については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご一読ください。

3.脳・心臓疾患による労災認定基準を改正

2021年9月、20年ぶりに長時間労働が主な原因となる脳・心臓疾患の労災認定基準を改正しました。従来の労働時間による認定に加えて、仮に労働時間の基準に達していなくても業務負荷を総合的に判断するように改正されています。

つまり、労災認定される範囲が広がったということです。

いわゆる過労死ラインと呼ばれていた、

  • 単月100時間を超える時間外労働
  • 2〜6ヶ月間平均で80時間を超える時間外労働

は2019年の労基法改正により違法となっています。

つまり、従業員に健康障害が発生してもしなくても企業としては絶対に超えてはならないラインです。

そして今回の労災認定の基準改正では、仮に100時間・80時間を超えていなくても「労働時間以外の負荷」があれば総合的に評価して、労災認定することが明示されました。

労働時間以外の負荷について明記されているので、代表的な働き方をご紹介しておきます。

  • 不規則な勤務(深夜帯・インターバルの短さなど)
  • 移動の多い勤務(出張・特に時差のある海外)
  • 心理的負荷(失敗の損失・ノルマの高さなど)

ここまで、国が長時間労働の削減のために強化してる3つの規制を解説しました。

■長時間労働に対して国が進めている3つの対策例

  1. 働き方改革関連法改正による残業時間の上限規制
  2. 労働基準監督署による企業への監督指導を強化
  3. 脳・心臓疾患による労災認定基準を改正

法改正や規制に合わせて企業内のルールも変えていかなければいけません。続いて、企業として特に人事労務が主導して実行できる長時間労働対策を具体的に7つお伝えします。

長時間労働の対策として、企業がすべき7つのこととは?

一般的に長時間労働対策といえば、「残業時間そのものを削減する対策」を思い浮かべる方が多いかと思います。確かに根本的な長時間労働対策として重要ではあります。しかし、人材を増やしたり業務の外注化といった施策は大きな予算が費用でありますし、人事部だけで解決できる方法ではありません。

また長時間労働による健康リスクは、一定の時間を超えたら従業員が一律で不調になるわけではありませんよね。残業80時間が続いても平気な人がいる一方で、残業30時間であっても睡眠障害が発生してしまう従業員もいます。

そのため長時間労働の対策としては、「不調な従業員をいち早く見つける体制づくり」をまずはじめに取り組んでください。具体的な取組は以下7つです。

  1. 勤怠管理システムを入れて、労働時間を正確に把握する
  2. 所定労働時間と総労働時間の両方を計算し、長時間労働を把握する
  3. 就業制限がかかっている従業員を把握する
  4. 長時間労働の状況を衛生委員会で報告・共有する
  5. 毎月の労働時間を、産業医が常に確認できるようにする
  6. 長時間労働が理由の産業医面談のルールを規定する
  7. 長時間労働者に疲労蓄積度チェックリストを実施する

特に4つ目の「長時間労働の状況を衛生委員会で報告・共有する」は、全社的に長時間労働への対策を具体的に進めるためにも重要です。それでは順番に解説します。

1.勤怠管理システムを入れて、労働時間を正確に把握する

長時間労働による不調者を発見するはじめの第一歩は、勤怠管理システムの導入です。

一般的に勤怠管理(労働時間の計測)には大きく4種類の方法のいづれかが採用されています。

  1. 自己申告制(エクセルなどに自分で出社・退社時間を入力する)
  2. タイムカード(出社時・退社時に記録して、後日集計する)
  3. PCの作業時間(電源のオン・オフの記録)
  4. 勤怠管理システム(ICカードやスマホを利用して打刻する)

2020年度の過重労働解消キャンペーンの実施報告書によると、労基署の監督がはいった6,744事業場のうち、自己申告制は約35%にあたる2,395事業場が採用していました。つまり、違法な長時間労働が疑われる事業場の勤怠管理は自己申告制であることが多いようですね。

自己申告制では、残業時間を過小に申告してしまうパターンもあれば、遅刻などをごまかして記入するパターンもあります。どちらにしても従業員の勤務状況を正確に把握する点では不都合なデータになってしまうので、勤怠管理システムにより1分単位で正確な時間を記録できる環境をまず作りましょう。

2.法定労働時間を計算し、時間外労働を把握する

労務担当者であっても意外に知らないのが、給与計算などに利用する所定労働時間と健康管理に利用する法定労働時間の違いです。

本記事の前半でお伝えした以下の図に書かれている「時間」はすべて法定労働時間を超えた時間外労働のことを指しています。

いわゆる残業とは多くの企業では所定労働時間をオーバーした時間のことを指しています。また始業前の時間は含めず終業後の時間のみを計算していることがほとんどです。(残業代の計算のため)

一方で、労働基準法・労働安全衛生法による時間外労働は残業とは定義が異なります。また始業前の時間も含めて計算する必要があります。

もし、法定労働時間と時間外労働の計算式を知らないという方は以下の記事を参考にしてみてください。

3.就業制限がかかっている従業員を把握する

従業員の健康状態によっては、時間外労働をゼロまたは通常よりも少なくする必要があります。特に産業医の判断に基づいて働き方に配慮が必要な場合には「就業制限」がかかります。

たとえば以下の特徴がある従業員は就業制限がかかっていたり、就業制限ではなくとも労働時間に対して配慮が必要になってきますので、人事労務として事前に把握しておきましょう。

健康診断のハイリスク者健康診断の終業判定によって、産業医から残業制限などがかけられている労働者
高齢者高血圧や高脂血症などのリスクが高いため、通常よりも労働時間の長さの制限が必要になります
復職したての人いきなり通常業務に戻るのではなく、仕事のペースを徐々に取り戻すための調整期間を設ける
傷病を抱える人治療・通院の状況に応じて勤務形態を柔軟に対応する必要があります。原則、産業医の指示に従って対応します。

4.長時間労働の状況を衛生委員会で報告・共有する

1〜3の方法で長時間労働の実態を把握ができたら、次は人事労務担当者だけでなく各部門に情報共有することがポイントになります。情報共有する場としては、衛生委員会を活用することをおすすめします。

衛生委員会はオフィスや働く環境についてあらゆることを労使双方が合意をとる会議体になっています。会議内で特に重要な報告事項として長時間労働に関する情報共有があります。報告内容の具体例を紹介しておきましょう。

▶前月の報告事項

1.労災発生件数

  • 労災:〇件
  • 通勤災害:〇件

2.時間外労働状況

  • 前月分の該当者数
  • 45時間以上 〇名
  • 80時間以上 〇名
  • 100時間以上 〇名
  • 直近1ヶ月の平均時間外労働 〇時間
  • 直近3ヶ月の平均時間外労働 〇時間
  • 直近6ヶ月の平均時間外労働 〇時間

衛生委員会の場では、長時間労働者が誰なのか?といった個人名までには踏み込みません。あくまでも会社の状況を使用者だけなく労働者側にも共有することで、長時間労働対策を全社的に意識する機会とすることが目的です。

5.毎月の労働時間を、産業医が常に確認できるようにする

2019年の働き方改革の法改正では、時間外労働の上限規制とともに産業医権限が強化されました。産業医権限とは、従業員の健康管理のために産業医が企業に監督・指導できる範囲のことです。長時間労働対策としては、長時間労働者がいる・いないに関わらず従業員の労働時間を産業医がいつでも確認できる体制をつくることが求められています。

実はこの産業医への情報共有できる体制づくりが、人事労務としては悩ましい課題です。

たとえば、従業員の労働時間・残業の状況は勤怠管理システムに格納されています。しかし、産業医のために勤怠管理システムの管理者権限を付与することは難しく(労働時間以外の情報も閲覧できてしまうため)、多くの企業では毎月エクセルに書き出してから産業医にファイルを共有しています。

他にも、健康診断の結果は紙のままで保管されていると、必要な時に毎回ファイルから取り出して、用が済めば元の場所にしまう作業が発生します。

労働時間はエクセル、健康診断結果は紙、ストレスチェックは専用のシステム、面談記録はワード・・・といったように、健康情報がバラバラの場所に保管されていること自体が、人事や健康管理担当者の長時間労働の原因になっています。

そして健康情報を一元管理して、ペーパレス化と業務効率化を実現できるのが健康管理システム『Carely(ケアリィ)』です。

引用元:Carely資料ダウンロードページ

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6.産業医面談の長時間労働基準を規定する

労働時間を把握し、情報共有できる体制を整えたら、次は長時間労働者をケアするルール作りを進めます。

長時間労働に限らず、従業員の健康管理にあたっては「不調者がいないから事前の準備は不要」とはなりません。いざ不調者がでたときに、都度対応で済ませてしまったがために法律上の義務や労務リスクへの対応が不十分になるケースは避けるべきです。

長時間労働の産業医面談基準は、一般的に二段階で設定されます。時間数は会社によって異なるのですが、一例をご紹介しましょう。

月の残業時間
(総労働時間 – 法定労働時間)
面談のルール
30時間/月部門長または労務との面談を実施
または疲労蓄積度チェックリストを実施
60時間/月本人の申込に関係なく、産業医面談を実施

なお、単月で時間外労働が80時間を超えて従業員は、本人から申し出があった場合に産業医面談を受けさせる義務があります。ですので、多くの企業では80時間にかかる前の段階で何らかのケアができるようルールを設定しています。

ところで、長時間労働がきっかけの産業医面談ってどういったことを話すのかご存知ですか?以下の記事で具体的な会話の流れをご紹介していますので、これまで産業医面談を受けたことがない人事労務担当の方はぜひ参考にしてみてください。

7.長時間労働者に疲労蓄積度チェックリストを実施する

長時間労働と似た言葉に、過重労働という言葉も聞いたことがあると思います。厳密には意味合いが異なっていますので整理しておきましょう。

長時間労働者過重労働者
法律上の基準明確な基準はない。
労基法36条の時間外労働45時間を超え従業員を指す。
明確な基準はない。
労災基準によると、長時間労働に限らず、身体的・精神的に負荷のかかる業務に従事している者を指す。
使用する場面勤怠管理健康管理

従業員の健康を守る安全配慮義務の観点からは、長時間労働だけを見るだけでは十分ではありません。仮に時間外労働が上限(80時間)に達していなかったとしても、疲労が認められる従業員には何らかの措置をとることが労務管理として求められます。

そこで活用できるのが疲労蓄積度チェックリストです。

疲労蓄積度チェックリストとは、働く人の長時間労働による不調を防ぐ目的で、厚生労働省が作成したものです。疲労蓄積チェックリストでは、本人の疲労に対する自覚症状や勤務状況についての質問が計20個実施されます。

参考:厚生労働省:労働者の疲労蓄積度チェックリストについて

疲労蓄積チェックリストの詳しい活用方法について次の記事で詳しく解説しています。会社の規模に応じた有効な活用方法を説明しているため、長時間労働対策を徹底したい方はご一読ください。

ここまで、長時間労働の対策として企業がすべき7つのことを解説しました。

■長時間労働の対策として企業がすべき7つのこと

  1. 勤怠管理システムを入れて、労働時間を正確に把握する
  2. 所定労働時間と総労働時間の両方を計算し、長時間労働を把握する
  3. 就業制限に配慮が必要な人を事前に把握する
  4. 長時間労働の状況を衛生委員会で報告・共有する
  5. 毎月の労働時間を、産業医が常に確認できるようにする
  6. 長時間労働が理由の産業医面談のルールを規定する
  7. 長時間労働者に疲労蓄積度チェックリストを実施する

以上の対策は「不調な従業員をいち早く見つける体制づくり」です。いづれも人事部だけで実施でき、かつ労務リスクを大きく軽減できるのでまずはここから取り組んでください。

一方で、根本的に長時間労働を解決するためには「ムダな労働時間を削減する対策」に取り組む必要があります。費用も時間もかかる対策ではあるので、経営者の理解と全社的な取組みが必要不可欠です。そこで、実際に長時間労働の対策に成功している企業事例を3つご紹介します。

長時間労働の対策に成功している企業事例3選

厚生労働省は、働き方改革に積極的に取り組んだ企業を「ベストプラクティス企業」として選定しています。以下3社は、過去にベストプラクティス企業に選ばれた会社です。

  1. 株式会社京都銀行
  2. 株式会社荒木組
  3. 株式会社モバイルファクトリー

各社が長時間労働に対してどんな対策をしたのか、詳しく見ていきましょう。自社にも活かせる点がないか、チェックしながら読み進めることをおすすめします。

【事例1】株式会社京都銀行

出典元:株式会社京都銀行

株式会社京都銀行は、2018年にベストプラクティス企業に選ばれています。

「金融機関=長時間労働」というイメージが強く、金融機関に求められる役割も多様化している中で、経営者から行員(従業員)への一方的な働き方改革では実効性がありません。そこで京都銀行では、「7アップ考動」という全社的な取り組みを実施しています。

全行員が仕事の生産性を向上させて余暇を創造し、余暇を活用して能力開発と自己研鑽に励むことで、ワンランク上の仕事に取り組むというサイクルをまわしていこうというのが主な目的です。

京都労働局長によるベストプラクティス企業への職場訪問

具体的には、以下4つの項目について取り組んでいます。

  1. 長時間労働の削減
  2. 有給休暇の取得促進
  3. 仕事と家庭の両立支援
  4. 高齢者の雇用促進

取り組み項目だけ見てみると、ごくごく当たり前の項目が並んでいますね。しかし、京都銀行が長時間労働を削減できた本当の理由は取り組みそのものではなく、経営層自らが実行に移した点にあります。

組織としての仕組みづくりに着手

各人の取り組みでは物理的な限界があるので、頭取を本部長とした営業店業務の改革に着手しています。具体的には、ハンザツな事務作業である融資事務や受電対応を集中化させる施策を、企画から一部営業店で試行し、その後拡大するまでを担っています。

従業員の半数以上を占める女性の働き方支援

女性活躍とすると、女性に限定されたキャリアサポートや休業制度の整備が思いつきます。しかし、京都銀行では男性の育休を推進する「ハローパパ休暇」制度を新設するなど、女性に限らない施策を実施することで、結婚・出産を機にキャリアが途切れてしまう問題を解決しています。

このように直接的な残業削減だけではな取組を同時に実施することで、経営トップや全社的な取組みとして実行できているのです。この他、京都銀行の働き方改革の詳細については、以下の記事もご確認ください。

参考:京都労働局長によるベストプラクティス企業への職場訪問

【事例2】株式会社荒木組

出典元:株式会社荒木組

総合建設業を行う株式会社荒木組は、2019年にベストプラクティス企業に選ばれています。建設業界共通の課題である少子化による労働力の不足や、高いスキルを持つ技術者の高齢化による離職などがきっかけで、働き方改革に力を入れ始めました。

荒木組が時間外労働を16%削減(308.5時間→258.2時間)できた一番の理由は、社長の考え方にヒントが隠されています。

「ICTの活用」、「PCの強制終了」、「早よ帰れ」だけでは労働時間短縮はできない。

一人ひとりの意識改革、職場環境改善が大切。褒めてもらえる環境、見える化して互いが分かり合える環境、早く帰れる環境、そういった職場の環境作りが重要。改革への取り組みはトップダウンではなく、しかるべき権限・裁量を与えることが大切。

それでは具体的な取り組みを2つほどピックアップしてみましょう。

人材育成・教育制度の中に安全管理を組み込む

労働時間の削減は、経営者や管理部門からの声掛けだけでは実現できません。建設業のように現場ごとに管理者がいたり、協力会社との関係が必要不可欠な働き方においては、現場の管理監督者への教育が欠かせません。安全管理の一環として労働管理について管理監督者へ教育することで、労働時間の削減を実現しています。

働きやすさの可視化

たとえばPCの強制終了による残業抑制では、管理部門からの声掛けではなくAIに実施させることで全社員共通のルールであると動機付けされています。また事務所内に有給の取得状況を掲示したり、ありがとうカードの運用によって、社員同士が休みをとりやすい・早く帰りやすい環境づくりを実施しています。

この他にも、以下のレポートでは荒木組でのベストプラクティスが写真付きで紹介されていますので、実際の取組みがイメージしやすくなっています。

参考:岡山労働局長がベストプラクティス企業を訪問しました

【事例3】株式会社モバイルファクトリー

出典元:株式会社モバイルファクトリー

モバイルサービス事業を展開する株式会社モバイルファクトリーは、2019年にベストプラクティス企業に選ばれています。

モバイルファクトリーではエンジニアの採用力を強化と定着率向上を目指して、トップダウンによる働き方改革がはじまりました。結果、残業時間はピークの5分の1まで減少・有給取得率は84%と以上という結果を残しています。しかし、実は取り組み始めではいくつかの失敗を乗り越えていたのです。

定着しなかったノー残業デーと早朝インセンティブ

たとえばノー残業デーを設定するだけでは、実際の業務量が減っていなければ従業員は帰れません。強制的にオフィスを消灯しても、人事がいなくなればまたオフィスに戻ってきて仕事を続けることがありました。またエンジニアの特徴として、早朝よりも夜のほうが仕事が捗るという意見から、早朝インセンティブも定着しませんでした。

ムダの削減は、スタンディング会議からはじまった

失敗を踏まえて、そもそもムダな作業がどこに発生しているのかを調査するところから再スタート。調査の結果、会議の時間でもっともムダな時間が発生していたため、スタンディング会議を導入。立っているため、30分で切り上げることが多くなり、必要な人数だけ集めて即断・即決できるオフィスに作り変えました。

モバイルファクトリーでは、長時間労働にとどまらず従業員の健康管理と全社的なペーパレス化を実現するために、健康管理システムCarelyを導入しています。具体的な活用法をインタビューしてきましたので、参考にしてみてください。

ここまで、長時間労働の対策に成功している企業事例を3つご紹介しました。各社が働き方改革のために、さまざまな施策を実施していることがわかります。

まとめ:法令遵守と健康管理の視点から長時間労働を対策する

長時間労働に対して人事労務が対策すべき範囲は、ここ数年で大きく変わりました。

働き方改革による、残業時間の上限規制・有給取得の義務・産業医の権限強化。違法な長時間労働を取り締まる、厚生労働省と労基署による監督指導の強化。そして労災基準の改正。

企業としては、最低限の法令遵守に対応するだけでなく、従業員の健康管理という観点から総合的な対策をとる必要がでてきたのです。その対策には大きく2つの目的があります。

ひとつは、不調な従業員をいち早く見つける体制づくり。もうひとつは、ムダな労働時間を削減する取り組み。それぞれについては具体的な取り組み内容や事例をご紹介しましたので、自社で取り組む参考資料として本記事をご活用ください。

■長時間労働の対策として企業がすべき7つのこと

  1. 勤怠管理システムを入れて、労働時間を正確に把握する
  2. 所定労働時間と総労働時間の両方を計算し、長時間労働を把握する
  3. 就業制限に配慮が必要な人を事前に把握する
  4. 長時間労働の状況を衛生委員会で報告・共有する
  5. 毎月の労働時間を、産業医が常に確認できるようにする
  6. 長時間労働が理由の産業医面談のルールを規定する
  7. 長時間労働者に疲労蓄積度チェックリストを実施する

長時間労働の把握ならば勤怠システムで実現できると思われるかもしれませんが、給与計算などの用途で扱う所定労働時間の計算と、健康管理のための法定労働時間の計算式は異なります。勤怠とは別にエクセルで再集計を行ったり、過重労働者へ産業医面談の予約、従業員の健康データを準備するといったアナログ業務は、人事担当者が長時間労働になる原因ともいえます。

長時間労働への対策にとどまらず、健康診断やストレスチェックも一元管理して、従業員への健康管理を効率化したい方は、以下からお問い合わせください。

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執筆・監修

  • Carely編集部
    この記事を書いた人
    Carely編集部
    「働くひとの健康を世界中に創る」を存在意義(パーパス)に掲げ、日々企業の現場で従業員の健康を守る担当者向けに、実務ノウハウを伝える。Carely編集部の中の人はマーケティング部所属。

お役立ち資料

  1. 第7回健康経営サミット – 録画配信 –
    今回の健康経営サミットでは、人事通算歴13年、現在は人事コンサルタントとして活躍する金丸 美紀子氏をゲストにお迎えし、
    組織がいま取り組むべき健康経営について学びます。
    資料をダウンロードする
  2. 第6回 健康経営サミット – 録画配信
    本セミナーは、株式会社サイボウズ、株式会社iCAREの共催で行います。
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  3. 第8回健康経営サミット – 録画配信 –
    本セミナーでは実際の健康経営度調査をもとに、 項目変更の背景理由、中長期視点で抑えるべきポイントについて解説します。
    資料をダウンロードする
  4. 定期健康診断の事後措置ガイドブック 冊子版(PDF)
    健康診断の義務は、実施よりも"事後措置"の方が重要です。業務効率化を図りながら、ミス・モレのない実務ノウハウを解説します。
    健康診断
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  5. 健康経営2021 ステップアップ講座
    2020年は健康経営推進担当者にとって波乱の年になりました。今年そして来年以降の健康経営計画の見直しをふまえた、最短で認定取得を目指すステップアップ講座です。
    健康経営
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  6. 特殊健診は怖くない!有機溶剤編
    初めて特殊健診を管理する保健師・衛生管理者向けに、「有機溶剤予防規則に基づく健康診断」について解説しました。(監修:産業医・労働衛生コンサルタント 山田洋太)
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  7. ー改訂版ー
    オフィスの感染予防 対策ガイドラインの解説
    経団連が発表した感染症対策ガイドラインをさらに深堀って解説します。抽象的な指針だけでは分からない、実務レベルの対策を解説しています。
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  8. 健康診断をペーパレス化。メリットと外部業者の選び方
    まだ紙で管理しますか?延べ200社の健康診断の管理をペーパレス化してきたから分かった、人事労務・保健師の業務を効率化するコツと運用法を解説します。
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    公式では分かりづらい管理会計のガイドラインを、労働安全衛生法に精通した会計士が分かりやすく解説します。
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  10. 人事が主導する、健康経営スタートガイド
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  17. 2021年度、コロナ禍での健康診断を再計画
    コロナ禍で重要度があがった従業員の健康管理。 2021の健康診断では、ルールの正確が必要です。最近情報は30分で紹介。
    健康診断
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  18. 先回りメンタルヘルス対策
    -IT企業編-
    クリエイティブ職が多いIT企業だからこそ注意が必要なメンタルヘルスの予防と対策。心の問題以外にも焦点をあてて解説します。
    健康診断
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  19. 上場企業の常識になった、衛生計画の上手な立て方
    人事や専門家(産業医や保健師)がチームとして健康管理に取り込むためのツール「衛生計画」の実務的な作業方法を解説します。
    健康診断
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  20. 健康管理検定〜初心者担当者レベルアップ編
    人気セミナーをシリーズ化。「健康管理はやっぱりなしでも全部はできない」で悩んでいる労務・総務担当へ実務のコツを紹介します。
    健康診断
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