健康診断の効率化
2022年12月19日 更新 / 2019年9月2日 公開

新卒の内定者が提出する健康診断書に必要な項目は?

就職内定者の健康診断書

新卒内の内定者に健康診断書の提出を依頼することもありますが、あなたの会社ではどうでしょうか。項目や費用はどのようになっていますか? 今回は、入社前の健康診断書を就職内定者(採用内定者)からもらうお話しです。

本題に入る前に、入社前の健康診断や毎年1回の定期健康診断結果をデータで一元管理しませんか。PDF管理するだけではなく、従業員一人ひとりのデータを健康管理システムで管理・保管する方法について、以下セミナーにて解説しています。ご興味ある方はぜひご確認ください。

健康診断書と就職内定者の関係

最初に、誤解されやすい二つの健康診断について概要をお伝えしておきたいと思います。

1 雇入れ時の健康診断

雇入れ時の健康診断は、会社の指示で外部の医療機関などでの健康診断書を就職内定者が提出することで代用する場合もあれば、雇入れ直後に健康診断を実施する場合もあります。

健康診断書の記載項目は労働安全衛生規則第43条に詳細に規定されています。これは、就職内定者が健康的な職業生活を送るために必要なものです。項目は、必要最低限のものにとどめておきましょう。万が一、労働者が雇入れ後に病気になったときに、病気によっては会社の責任が問われることもあります。その病気が、入社前からなのかを判断する上で、雇い入れ時の健康診断書は就職内定者のその後の労務管理上も重要な役割を果たすことになります。必要な項目は下記です。

  • 既往歴及び業務歴の調査
  • 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  • 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  • 胸部エックス線検査及び喀痰検査
  • 血圧の測定
  • 貧血検査 (赤血球数、血色素量)
  • 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
  • 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
  • 血糖検査
  • 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
  • 心電図検査
栃木労働局 定期健康診断等について(PDF)

2 採用選考における健康診断

上記1の「雇入れ時の健康診断」と混同されやすいのが「採用選考時の健康診断」ですが、この二つは全く趣旨が違うものですので、注意が必要です。

この「採用選考時の健康診断」は、採用の可否に影響を与えることもあります。職種によっては、健康に関する条件が必要なこともあります。そのような時には健康診断書を就職内定者から提出してもらうことが必要な場合もありますが、採用選考時に提出させる健康診断書は、就職内定者の適正と能力を判断する上で、合理的・客観的に考えて必要性があるかどうか検討してください。むやみに提出させると、就職差別を疑われることもあるのでご注意ください。

参考:公正な採用選考を目指して – 厚生労働省(令和3年度版)

また、採用選考時における健康診断書を、採用選考のために全ての就職内定者に提出させることができるわけではありません。

健康診断書が就職内定で必要な場合と理由

職種によっては、体の状態に条件が必要なこともあります。そのような場合、健康診断書で必要な項目のチェックをすることになりますが、具体的にどのような項目が必要なのかを就職内定者に伝えることが必要です。また、雇い入れ直後にどの部署に配置させるか、そして、入社後の健康管理をするために必要な会社の内部資料となります。もし、雇い入れ時健康診断に代用させる予定があるのなら、提出を求める健康診断書の項目は、雇入れ時の健康診断と同じ11項目(詳細は上図を参照)とします。

新入社員が多い月や毎月新入社員が入社する企業では、誰がまだ雇入れ時健康診断結果を提出していないかのチェックが大変ですよね。健康管理システムCarelyは、雇入れ時健康診断はもちろん定期健康診断で誰が未提出かひと目でチェックできる機能が付いています。ご興味ある方はぜひ以下セミナーよりご確認ください。

健康診断書を就職内定者からいつ提出させるか

ここでポイントです。医師による健康診断を受けた後、3カ月を経過しない者を雇い入れる時で、その労働者が健康診断書を提出した場合には、その就職内定者に関しては、その項目に該当する項目ついては省略できます。逆に、それ以前の健康診断書を就職内定者に提出されても、それを雇入れ時の健康診断に代えることはできません。ですから、雇い入れ時健康診断に代用する予定があるなら、入社日までの日数を勘案してください。

健康診断書を就職内定者から提出させる場合の費用をどうするか

健康診断書を就職内定者に提出させる場合、その費用はどうするのが良いでしょうか。ご存じのように、健康診断は保険が適用されないので、全額自己負担になります。参考までに、全国健康保険協会(協会けんぽ)の発表では、一般健診の金額は最高で18,522円となっています。(協会けんぽと健診機関の間で契約している最高額。受診対象年齢を満たす加入者本人のみに適用)

昭和47年9月18日基発第602号という通達で、雇入れ時健康診断の費用は会社が負担すべきものとされています。これを逆手にとって、健康診断書を就職内定者に提出させ、健康診断の費用を免れている会社が多いことも事実です。

採用直後で一般的に立場の弱い労働者から「会社が健康診断費用を払ってください」とは言いにくいものです。可能であれば、これから、同じ職場で健康的に働くという観点から会社に支払ってほしいと個人的には思います。

さいごに

健康診断書を提出させることで、就職内定者の中には「健康診断の結果で不採用になってしまうのではないか?」と心配になる人もいます。ですから、業務に就けないような病気がなければ採否には影響がないことを伝えるようにしましょう。

採用選考時の健康診断について
事務連絡文書 採用選考時の健康診断について(平成5年5月10日)

執筆・監修

  • Carely編集部
    この記事を書いた人
    Carely編集部
    「働くひとの健康を世界中に創る」を存在意義(パーパス)に掲げ、日々企業の現場で従業員の健康を守る担当者向けに、実務ノウハウを伝える。Carely編集部の中の人はマーケティング部所属。