健康管理システムを賢く選ぶ
2023年4月17日 更新 / 2023年3月28日 公開

健康管理システムの基礎知識。機能や掛かる費用、選び方など徹底解説

健康管理システムの基礎知識

従業員の身体的・精神的健康を管理するためのシステムとして、健康管理システムというものがあります。企業はそこで働く従業員に対し、健康に働けるように配慮する必要があります。そして、その傾向は近年、ますます強まっています。

しかし、従業員の健康状態を維持するためには、人の手だけでは限界があります。従業員が多ければ多いほど、健康データは膨大となり、管理・活用することは難しくなります。
こうした健康データ管理に関する事務業務を効率化してくれるシステムが健康管理システムです。

今回は、この健康管理システムについて詳しくご紹介していきたいと思います。

そもそも健康管理システムとは?

健康管理システムとは、従業員の健康管理や、それに伴う事務作業を効率化するためのITシステムのことです。これまで紙で管理してきた膨大な健康データをすべてオンライン上で一元管理できるため、業務効率化やデータ管理・活用に効果が期待されています。

また、データ管理だけではなく、健康診断の予約やリマインド、ストレスチェックの通知など、従業員の健康管理にまつわる事務作業もシステム上で対応可能なものがほとんどです。

新型コロナウイルスの蔓延や、テレワークの普及に伴い、従来の管理方法では対応が難しくなってきたことや、健康経営など従業員の健康への考え方が変化してきたことの影響により、導入を考える企業が増えてきています。

健康管理システムの主な機能

では、実際のところ、健康管理システムにはどのような機能があるのでしょうか?ここでは、一般的な健康管理システムが持つ基本的な機能をご紹介します。

健康診断の予約管理機能

健康診断の予約をシステム上で管理が可能。従業員が直接予約を取ることもできるので、日程調整などの手間を軽減することができる。また、未受診者への自動リマインド機能もあり。

健康診断の結果データ管理機能

健康診断の結果データをシステム上に取り込み、一元管理することができる。取り込んだデータは経年比較や、リスクの高い数値の洗い出しなど、データ分析を行う機能もある。過去の健康診断結果のデータを入力することも可能。

ストレスチェック

ストレスチェックの実施機能があり、よく利用される57問・80問の設問が用意されていたり、独自の設問を作成する機能を有する場合もあり。

また、受験結果データの管理や受検率、未受験者へのリマインド機能なども。

労働基準監督署への報告書作成機能

一元管理しているデータの中から報告書に必要な機能を抽出、レポート化することができ、報告書の作成を容易に行うことが可能。

産業医・保健師との面談管理機能

産業医・保健師との面談対象となる高ストレス者を抽出、面談日程の調整をシステム上で行うことが可能。また、面談結果レポートもシステム上で管理できる。

面談前には必要データを産業医・保健師にシステム上で簡単に共有することも可能。

健康リスクの可視化

蓄積したデータから、現在、自社が抱える健康リスクを早期に発見することが可能です。自動的に健康リスクなどを数値やグラフで可視化してくれるシステムもあります。

健康管理システム導入のメリットとは

健康管理システムは、冒頭に説明したように健康管理業務の負担を軽減することが期待されています。では、その他にはどのようなメリットがあるのか、また、導入に当たっての注意点はなんなのか、ここでご紹介していきたいと思います。

健康管理システム導入のメリット

導入における具体的メリットは以下の通りです。

【メリット1】健康診断の予約にかかる業務負荷を抑える

健康管理業務の中でもアナログな業務の残る健診予約を効率化できます。

【メリット2】健康診断の事後措置にかかる作業時間を大幅に削減する

健康診断に関する法定義務は、受診して終わりではありません。健康診断を実施した後に行われる、事後措置として人事・総務が実施しなければならない業務をデジタル化することができます。

【メリット3】産業医面談用の書類準備をゼロに。人事・保健師の残業時間を削減する。

面談候補者の選定、情報共有用の書類準備、実施後の面談記録など、産業医面談周りの事務作業を大幅に軽減することができます。

【メリット4】健康管理に関して実務の相談や法改正に対処しやすい

毎年のように法改正・通達のある健康管理について早期に対応を取ることが可能です。

【メリット5】健康経営を進めて、健康経営優良法人認定を取得できる

近年注目を集める「健康経営」を効果的に、かつ健康管理担当者の負担を少なく推進することが可能です。

【メリット6】人事労務のキャリアにつながりにくい業務を外注化できる

健診予約や結果の整理など、やらなくてはならないがキャリアにつながりにくい業務を効率化、または外注化することが容易になります。

もちろん、選ぶ健康管理システムによってできることは変わってきますが、上記のような効果が見込めます。さらに詳しいメリットの内容について知りたい方は以下の記事をご参照ください。

健康管理システム導入の注意点

様々なメリットのある健康管理システムですが、導入に当たっての注意点もいくつかあります。

主な注意点は以下です。

【注意点1】一部の業務だけ効率化しようとすると、効果が薄くなってしまう

【注意点2】健康管理サービスで業務効率化する方法が分からず、活用しきれない

【注意点3】自社に最適な健康管理システムを選定するのが難しい

健康管理システムを適当に選んでしまうと、自社の運用方法に合わず、思わぬデメリットが発生する場合もあります。注意点の詳細や、デメリットを解消する方法について知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

健康管理システム導入のタイミング

健康経営の推進のため、または法令遵守のためなど、様々な理由はあるものの、多くの企業が健康管理システムの導入を検討しています。しかし、ただ闇雲にシステムだけを導入してもうまく活用できないこともあります。

ここでは、従業員規模別の導入のタイミングについてご紹介したいと思います。

従業員数300人前後
課題:健康診断の予約が煩雑になる

従業員数1,000人前後
課題:健康診断の事後措置に時間がかかりすぎる

従業員数5,000人前後
課題:DX・健康経営の推進

上記のよう規模感で、記載の課題を実感した場合、導入を検討したほうがよいでしょう。

詳しい課題の内容や、実際の成功事例など、健康管理システム導入の詳細を知りたい方はこちらの記事も合わせてご確認ください。

健康管理システム導入にかかる費用

健康管理システムを導入するにあたり、当然ですが費用がかかってきます。それは単純にシステムの費用だけではありません。実際にどんな費用がかかるかがわかっていれば、社内の承認を得やすくなります。

システム導入にかかる費用についてご紹介します。

1:システム検討費用
導入前のリサーチの段階では、システムの比較検討、トライアル、業者とのやり取りなど、主に人件費がかかってきます。

2:導入初期費用
システムを導入する際には、導入時ならではの初期設定費用がかかってきます。例えば、セットアップや、他システムとの連携、データ移行などが必要になり、これらに費用がかかってきます。

3:月額費用
システム導入後は、実際に運用していくための運用費がかかってきます。月額費用は概ね従業員数×利用する機能の数で決まってきます。どのように利用するかを決め、金額の妥当性を確認しましょう。

4:オプション費用
システムのデフォルト機能だけでは、自社に最適な運用を行うことができない場合もあります。その場合はオプションにどのような機能があるかを確認し、自社に合わせたカスタマイズを行います。追加する機能の費用感を考えながら、カスタマイズを行っていきましょう。

この他、削減、節約できる費用などもあるので、費用感の詳細などとともに以下の記事で確認しましょう。

健康管理システムの比較ポイント

健康管理システム導入に当たって、自社に費用感や機能面などで合致するシステムを選ぶ必要があります。しかし、一口に健康管理システムといっても、機能や費用はそれぞれ異なりますし、操作性なども異なります。その中から自社にとって最適なシステムを選ぼうとすると迷ってしまうもの。

ここでは健康管理システムを比較検討するときに役立つポイントについて解説します。

【ポイント1】健康管理業務の改善効果(工数削減など)は高そうか

【ポイント2】個人情報の取り扱いやセキュリティ対策は問題ないか

【ポイント3】法改正などが起こっても、即座に対応できるか

【ポイント4】導入に時間がかかりすぎないか

【ポイント5】オンプレミス/クラウドなど、システムの形態は用途に合っているか

上記のポイントをしっかりと抑えた上で、システムを検討していきましょう。

以下の記事では、より詳しいポイントや、比較検討でよくある質問などの他、弊社の健康管理システムであるCarelyについてもご紹介しています。ぜひ合わせてご確認ください。

健康管理システムを社内提案する際のポイント

健康管理システムを導入するためには、社内の稟議を通す必要があります。
しかし、あやふやな状態のままではうまくメリットを伝えられず、断られてしまう場合もあります。
そこで、最後に健康管理システムを導入するための、社内提案のポイントをご紹介します。

まず、システムを社内提案するためには抑えておくべき6つの手順があります。

【ステップ1】産業医と協力し、業務課題を明確化する
【ステップ2】業務課題の具体的な原因が分かるように、情報を整理する
【ステップ3】システムの導入で、課題が解決できる点を整理する
【ステップ4】導入予定のシステムを選定した理由を明確化する
【ステップ5】投資対効果を数字でわかるように整理する
【ステップ6】ステップ1~ステップ5をまとめた資料を作成する

また、最後の資料作成の段階で、以下のポイントを抑えておくと導入時の提案での成功率を上げることができます。

【ポイント1】健康管理システムの選び方を押さえる
【ポイント2】システム導入後の費用対効果を整理する
【ポイント3】システム導入で成功した事例から逆算する

導入する上で、社内提案は避けて通れない課題です。
以下の記事で、今回説明したことのより詳細な内容をまとめていますので、ぜひご参考ください。

執筆・監修

  • Carely編集部
    この記事を書いた人
    Carely編集部
    「働くひとの健康を世界中に創る」を存在意義(パーパス)に掲げ、日々企業の現場で従業員の健康を守る担当者向けに、実務ノウハウを伝える。Carely編集部の中の人はマーケティング部所属。