健康診断実施後の義務。人事から産業医に依頼する3つの業務

2020年10月22日 更新 / 2019年8月28日 公開
健康診断の効率化
健康診断実施後の義務

毎年ほぼ全ての企業で健康診断を受けていると思います。健康診断実施後、産業医の先生にしてもらわなければならない義務をご存知ですか?3つの対応を知り、しっかり先生にやって頂きましょう。

健康診断結果は、なぜ産業医が確認するのか?

「従業員の健康診断結果を産業医の先生に見てもらっていますが、何か特別にやっておくことや、してもらうことってありますか?」という質問を、弊社は人事総務部から質問されます。

特定記録で届いて個々人に手渡しするものか、会社で保管をと思ったり、個人情報だから封をあけて良いのかなど…人事総務で一度は思ったり考えたりしませんでしたか?

健康診断結果を産業医がチェックするのは、仕事の状況を情報として獲得した上で、就業判定ができるからです。病院の先生は判断がつきません。

とはいえ、産業医に健康診断結果をもとにして、何をしてもらえばよいのか3つあげました。

【依頼1】定期健康診断結果報告書にサイン

健康診断結果を労基署に報告する義務に関して、安衛則第52条(健康診断結果報告)では以下のように記載されています。

「常時50人以上の労働者を使用する事業者は、第44条、第45条又は第48条の健康診断(定期のものに限る)を行なったときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書様式第六号 を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない」

労働安全衛生規則〈労働安全衛生法〉第52条

これ人事総務が書類作成をしていますよね。様式に沿って必要な項目を埋めるように記載を行なっていきます。しかし各検査項目の実施者数や有所見者数に関して、個別の健診結果からチェックすることは面倒です。

健診を実施した医療機関に、労基署用に健康診断結果の一覧が欲しい旨を連絡することで一覧結果をもらい、そこに記載ある人数を記載すると非常に楽です。最後の欄に、産業医と事業者の押印を行って提出してください。

【依頼2】健康診断結果一覧表に就業判定記入

健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針の”2の(3)の二”に以下の通り、健康診断個人票に産業医の意見を記入させるようにとの記載があります。

ニ 意見の聴取の方法と時期
事業者は、医師等に対し、労働安全衛生規則等に基づく健康診断の個人票の様式中医師等の意見欄に、就業上の措置に関する意見を記入することを求めることとする。なお、記載内容が不明確である場合等については、当該医師等に内容等の確認を求めておくことが適当である。

また、意見の聴取は、速やかに行うことが望ましく、特に自発的健診及び二次健康診断に係る意見の聴取はできる限り迅速に行うことが適当である。

健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針

従って、産業医は何らかの形で就業上の措置に関する就業判定をしたという記録を残す必要があるということになります。

事前にルールや規程で、「通常勤務が可能」というものは、「印鑑のみ」というルールがあっても大丈夫です。ただし明文化して、衛生委員会で審議されていることがベターです。

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【依頼3】異常所見がある労働者への意見書作成

健康診断結果が「異常者」ではなく、「就業を続けるのが困難な状況」である社員もいます。そのような場合、就業を続けるのが困難な状況について、産業医として就業判定だけでなく、意見を記録として残しておくとうれしいものです。

いわゆる「意見書」というものです。この意見書を記入しておくと、労基署から事後措置をやっているのかという指摘時に、「やっている」ことを証明できるものになるからです。

今までのお話から考えると、働災害を防ぐ立場にある産業医が、事業者と一緒にこれらの就業区分についてどうするべきなのかを事前に「健康診断結果のルール」を決めていくことが必然になってくると思います。

そういったことを安全衛生員会で話しあい、より効率的でミスの少ない運用をしていくことが重要になっていくわけです。企業が社員の定期健康診断を受けさせる義務があると決められているのは、安衛則第44条にあり、具体的にどの検査を受けなければならないのかが記載されています。

追加の情報ですが、健康診断結果の記録の作成については、安衛則第51条において、「健康診断の結果に基づき、健康診断個人票(様式第五号)を作成して、これを五年間保存しなければならない」とありますので鍵付きで保管しておいてください。

安衛法66条の3にも健康診断の結果を記録することが記載されています。

まとめ

健康診断実施後の義務を守るため、産業医には3つのことをやってもらいましょう。

  1. 【書類記入】 定期健康診断結果報告書に「住所や所属名、氏名、押印」
  2. 【就業判定】 健康診断結果一覧表に「就業可能」を一筆
  3. 【事後措置】 就業制限や不能社員に対して「意見書」の作成

もちろんプロ産業医は、これ以上に健康診断結果からデータ分析をやって、会社で今年度取り組むべきヘルスリスクを衛生委員会で議論したり、健康診断結果から組織分析で部署別に分けたり、ヘルスリスクの高い社員を並べてみたりと工夫しています。

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