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2022年7月7日 更新 / 2021年3月18日 公開

産業保健師の仕事内容と役割とは?産業医との違いについても解説

産業保健師の仕事内容と役割とは

リモートワーク(テレワーク)が普及する昨今、従業員が心身の不調により、集中力や生産性を低下させてしまうといった報告が見られるようになっています。企業でも産業保健師のニーズが高まってきており、導入を検討している企業の方も多いのではないでしょうか。

しかし、産業保健師の雇用・体制の強化にあたり「期待する効果が得られるのか」「すでに設置している産業医ではカバーできないのか」と疑問に感じている方もいるでしょう。

そこで本記事では、産業保健師の概要や役割、産業保健師と産業医の違い、産業保健師を雇用するメリットについてまとめました。産業保健師に求められる基本的なスキルについても触れているので、産業保健師の導入を検討している方だけでなく、これから保健師を目指す方もぜひ参考にしてください。

産業保健師とは“保健師”のうちの一つ

保健師とは、「保健師助産師看護師法」によって定められている「看護職」の一つです。保健師は看護師免許の取得が必須となる国家資格であるため、保健師の国家資格を持つ方は、前提として看護師資格も取得しています。

保健師の働く場所は、行政、産業、学校、病院の4種類で、おもな業務は、各場所で活動する人々の健康管理や保健指導です。さまざまな場所で活躍する保健師ですが、なかでも産業保健師は、働き方改革の推進により需要が高まりつつある職業です。

産業保健師は、「企業で働く従業員が健康で安全に働ける職場環境づくり」を仕事とする「予防」の専門家であり、従業員の健康やそれにともなう企業活動を支えます。

産業保健師による管理・指導によって、従業員の過労やメンタルヘルス不調を未然に防ぐためには、職場の環境づくりを担う人事担当者や、医療の専門知識を持つ産業医との連携が欠かせません。

よって、産業保健師は、人事担当者や産業医との間を取り持つ役割も求められます。

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産業保健師と産業医の違いとは

産業保健師と産業医の違い

産業保健師は、看護師国家試験に合格したのち、保健師の国家資格を取得する必要があります。保健師国家試験は、文部科学大臣指定の保健師養成学校または看護系大学で、保健師養成課程を1年以上修了することで受験資格が得られる国家試験です。
企業において産業保健師の設置は、法律などの定めはありません。

一方、産業医は従業員が50人以上の企業の場合、1人以上の選任をする設置義務があります(労働安全衛生法第13条、労働安全衛生法施行令5条)。

産業医とは、従業員が快適に業務を遂行できるよう専門的な立場から指導・助言を行なう医師のことです。医師免許と産業医資格を取得した産業医は認定産業医とも呼ばれます。企業は、厚生労働省が定める一定の要件を満たした認定産業医を、専属または嘱託で企業の産業医として選任できます。

〈産業医の要件〉

  • 厚生労働大臣が定める産業医研修を修了していること
  • 労働衛生コンサルタント試験(試験区分保健衛生)の合格者であること
  • 大学における労働衛生の実務経験(教授、助教授、常勤講師)があること
  • 産業医科大学などで厚生労働大臣が指定する産業医の養成課程を修了し、卒業後にその大学が実施する実習を履修していること

また、産業保健師が従業員の健康ケアを担うのに対し、産業医は従業員の健康管理を通じて企業活動を助言・指導する立場にあります。

従業員と近い距離でコミュニケーションを図る産業保健師に比べると、産業医は従業員との距離がやや遠く、企業の成長(リスク軽減)を優先した立場といえます。

このように、資格のほか、企業における設置義務や立ち位置が異なる点が、産業保健師と産業医の大きな違いです。

必要な資格設置の義務企業での立ち位置
産業保健師看護師免許
保健師免許
なし従業員と近い距離で従業員の健康管理を行なう
認定産業医医師免許
(厚生労働省が定める一定の要件を満たす必要あり)
あり
(従業員50人以上で1人選任)
従業員の健康管理を通じて企業の成長を優先した助言・指導を行なう

産業保健師の具体的な仕事内容と役割

企業の産業医は外部へ委託することも可能ですが、従業員が1,000人以上の企業は専属の産業医を選任する必要があります。

近年、健康管理に力を入れている企業は、従業員500人ほどの規模でも産業医だけでなく産業保健師を設置しています。この場合、産業保健師の勤務態勢はフルタイムではなく週3日勤務や時短勤務などの柔軟な働き方を採用し、産業医との連携を図っています。

産業保健師の仕事は、直接従業員と関わる業務から産業医のサポート、人事との連携と幅広いものです。職場巡視を通じて、従業員がより働きやすい職場になるように考え、健康診断の結果から過度なストレスがないかなどを調べることが産業保健師のおもな仕事です。

従業員のメンタルヘルスに気を配るだけでなく、具体的には以下のような業務を担当します。

〈産業保健師の業務〉

  • 健康診断の実施
  • 健康診断後の保健指導
  • 長時間労働者への面談
  • ストレスチェック後のフォロー
  • 職場巡視・衛生委員会の運営
  • 従業員からの健康相談
  • 社員・管理職への健康教育
  • 年間の安全衛生計画の立案 など

また、健康に関して気兼ねなく相談できるセミナーや相談窓口を設け、従業員が心身の悩みを相談しやすい環境を整えることも産業保健師の仕事です。

従業員に直接携わる機会が多い産業保健師は、産業医が発見しにくい小さなトラブルをいち早く発見し、従業員の心身の不調を予防していくことが可能です。

産業医や人事担当者のみでは対応しきれない従業員の健康を支え、産業医と人事の間を取り持ちながら企業活動をサポートすることが、産業保健師の役割といえます。

産業保健師に求められる能力

産業保健師には、以下の3つの能力が求められます。

産業保健スキル

産業保健スキルとは、従業員との面談やハイリスク者の判定など、個人へアプローチできる実務スキルのことです。加えて、健康管理の規定を作成したり、衛生委員会や研修を実施したりするなど、自らが率先して組織全体へアプローチするスキルも、企業で働く保健師・看護師には求められます。

業務遂行スキル

業務遂行スキルとは、エクセルでの集計・分析、パワーポイントでの資料作りといった事務スキルなどのビジネススキルのことです。リモートワークが普及する昨今は、 コミュニケーションツール(メール・チャット)やWeb会議ツール(Zoom・Microsoft Teamsなど)を使いこなすITスキルも欠かせません。

その他、タイムマネジメントなどの一般的なビジネススキルを備えておくことも、企業で働くうえでは重要です。

交渉・提案スキル

メンタルヘルスやフィジカルヘルスの専門家として、適切な交渉・提案ができることが優秀な産業保健師の条件です。一口に健康管理といっても、企画の実行にはさまざまな人が関係します。

例えば、人事労務や産業医など日頃から連携を取る担当者以外にも、管理監督者や従業員、ベンダー(健康管理システムやストレスチェックサービスなど)へ交渉・提案を行なうこともあります。

必要に応じて複数の部門と連携を取るためには、幅広い意見に耳を傾けられるコミュニケーションスキルも必要です。

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企業が産業保健師を雇用するメリット

産業保健師は、法律により設置が義務づけられているものではありません。しかし、実際には産業保健師の役割を他の部門で補うことは難しく、設置することで以下のようなメリットがあります。

従業員の心身の不調やそれにともなう業績の悪化を防げる

従業員の心身の不調が起こる前にすばやく予防・対策することで、業績の悪化を未然に防げます。

働き方改革にともなって従業員の働くスタイルが大きく変わるなか、「不調者が発生してから対応する」のではなく「予防する体制を整えること」が重視されるようになってきました。

特に、リモートワークなどで従業員同士が顔を合わせない状態が続くと、企業は従業員の心身の不調に気付きにくくなりがちです。

企業における安全配慮義務(従業員が安全に働けるように配慮すること)は2008年施行の労働契約法第5条により明文化されていますが、従業員の心身の不調が水面下で起こりやすい昨今、産業保健師の必要性や雇用するメリットはより高まっているといえます。

産業医や人事担当者が本来の業務に集中できる

従業員の健康管理を産業保健師に一任できるため、産業医や人事担当者は本来の業務に集中しやすくなります。

月に数回訪問する産業医の場合、従業員とはコミュニケーションが不足しがちで、すばやいアプローチが難しいといえます。

大企業に常勤している産業医の場合は、大勢の従業員を産業医1人でケアすることが難しく、これらは医療や健康の専門知識を持たない人事担当者においても同様です。

産業保健師による面談は、働く場所に関わらず、従業員へすばやいアプローチを可能にします。遠隔地の支社や支店はもちろん、リモートワークで働く場所が離れていても、オンライン面談などの実施により従業員の健康をケアすることが可能です。

これまで産業保健師を設置していない企業では、設置により、産業医や人事担当者の負担軽減を期待できるでしょう。

企業以外で保健師が働く場所は多岐にわたる

先述したとおり、保健師の働く場所は企業以外に、行政・学校・病院があり、さまざまな場所で活躍しています。

厚生労働省が発表する「衛生行政報告例(就業医療関係者)」によると、平成30年の全国就業保健師数は52,955人です。このうち、事業所など企業における産業保健師は3,349人です。

企業以外の保健師がどのような場所で働いているのかについては、以下を参考にしてください。

保健師の種類働く場所指導の対象
行政保健師保健所、社会福祉施設などの行政施設地域住民、公務員
学校保健師大学、専門学校、一部の私立高校・中学 など生徒
病院保健師病院、診療所 など通院患者

まとめ

企業に産業保健師を設置すると、従業員の心身の不調や、それにともなう生産性の低下を未然に防ぎ、企業活動を安定させやすくなります。

これまで産業医や人事担当者が担当していた従業員の健康チェックを産業保健師に一任することで、より強固な健康管理体制を築けるだけでなく、産業医や人事担当者の負担軽減にもつながるでしょう。

産業保健師は産業医とは違い、企業における設置義務はありませんが、昨今の情勢や産業保健師の役割・必要性に鑑みて、自社への設置を検討することをおすすめします。

執筆・監修

  • Carely編集部
    この記事を書いた人
    Carely編集部
    「働くひとの健康を世界中に創る」を存在意義(パーパス)に掲げ、日々企業の現場で従業員の健康を守る担当者向けに、実務ノウハウを伝える。Carely編集部の中の人はマーケティング部所属。

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