えっ? 産業医って治療してくれないの? 産業医と主治医の違いについて

2019.9.6 更新 / 2019.9.6 公開
産業医とスムーズな連絡・共有
産業医と主治医の違い

普段からお医者さんにお世話になっている私たちですが、産業医と主治医の違いはご存じでしょうか? 業種が違うとは言いませんが、実は同じ「お医者さん」でも全く違うものなんです。

はじめに

産業医と主治医は何が違うのか? 今回、こんなお話をするのはストレスチェックの義務化がスタートしたからです。平成26年6月にストレスチェック義務化法案が可決・成立し、平成27年12月からストレスチェック制度がスタートしました。ストレスチェックの結果の報告書が平成28年4月1日以降の提出となっていることは、皆さんご存じでしょう。

ストレスチェックが義務化してから、実施やその後の措置に必要な産業医を選任する段階になって産業医について考え始めた人事担当者が多いと聞きます。これは、ストレスチェックの実施者となれるのが医師(産業医のみ)、保健師、そして精神保健福祉士等の資格者に限定されることと、産業医と主治医の違いがきちんと知られていないことが原因になっていると思われます。ここで整理してみましょう。

産業医とは

常時50人以上の労働者を使用する事業場には産業医の選任義務があり、労働者の健康管理を行わせなければなりません。この産業医は、事業主との契約の下で労働者の健康管理、就業制限や就業上の配慮に関する助言と指導、休職や復職の判断、労働衛生教育などを行います。そして、産業医は労働者の通勤を含め、その人が就業できる状態かどうかを判断します。端的に言うと、その人が働けるか働けないかを判断してくれる医師です。お気づきかもしれませんが、産業医は疾病の診断や治療は行いません

主治医とは

産業医の契約相手が事業主であるのに対し、主治医の契約の対象は患者です。産業医とは違って主治医は通常の医師です。そして、主治医は患者さん個人と契約して検査、診断、治療をします。ただ、産業医のようにその人の職場や業務の内容に関しての情報がないので、主治医はその人が日常生活を送れるかどうかを判断します。産業医との大きな違いはこの部分です。

産業医と主治医の違い

産業医と主治医の違いを下記にまとめてみましょう。

活動場所

産業医は企業内に常駐する場合もあれば、嘱託で必要に応じて企業を訪問する場合などもあります。労働者の人数によって、産業医の人数にも違いがあります。時には、産業医の事務所に労働者が行くこともあります。一方、主治医は病院やクリニックで活動します。

契約者

産業医の契約相手は企業で、業務の契約です。
主治医の契約相手は患者個人で、治療の契約です。

活動の対象者

産業医の活動の対象者は、労働者であることを前提に健康な人から心身に不調のある人まで、その事業場のすべての労働者が含まれます。これに対して、主治医の活動の対象になるのは病気の人やその医療機関などを受診した人です。

産業医と主治医の業務の違い

産業医は契約先の労働者に対して、労働者の健康管理、就業制限や就業上の配慮に関する助言と指導、休職や復職の判断、労働衛生教育、労働環境や健康の維持・増進に対する指導、必要に応じた就業の制限、就業上特別な配慮が必要な場合にはその指示、疾病と業務の関連性の判断などを行います。
主治医は、病院やクリニックの患者さんに対して検査や診断、治療を行います。

立場

産業医は、事業主と労働者のどちらかに偏ることなく中立的な立場にいます。
主治医は、患者さんの立場に立っています。患者さんの味方とも言えます。

事業主への勧告権

産業医は事業主に対する勧告権を持っています。その事業場で産業医の立場から見て改善が必要であれば、事業主に対して勧告を行います。
主治医は事業主に対する勧告権を持っていません。事業場の業務内容を知らないので当然ですね。

言葉の違い

産業医の面接(面談)に対して、主治医は診察ですし、産業医の産業医意見書に対して、主治医は診断書です。

お医者さんに対して、診察・診断・治療というイメージがあると思いますが、それが産業医と主治医のどちらに対するイメージかもうお分かりですね。

さいごに

産業医は職場や業務のことに関しての情報があるので、日常生活をメインに考える主治医とは性格が異なります。産業医と主治医の違いを知ることで、上手にお医者さんと付き合えるようになれるといいですね。

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