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健康管理システムを賢く選ぶ
2021年8月25日 更新 / 2020年6月1日 公開

テレワーク導入時に留意すべき、従業員の健康管理3つのポイント

新型コロナウイルスへの対策として、半ば強制的にはじまったテレワーク・在宅勤務制度。緊急事態宣言が発令中であった約2ヶ月間でテレワークを体験したことから、「テレワーク・在宅勤務制度を正式に取り入れよう」とする企業が増えてきています。

しかし、今回のような一時的なテレワークに比べて長期的なテレワークではさらに多くの課題が発生します。その課題の中でも企業が解決すべき法的な課題とその解決策について解説します。

企業と従業員が感じるテレワーク制度の課題

2015年に労働政策研究・研修機構が発表した調査結果をもとに、テレワークに対する企業側と従業員側それぞれの課題感をまとめてみました。

引用:https://www.jil.go.jp/institute/research/2015/140.html

上記の表のうち、赤字にしている項目は一部あるいは短期的なテレワーク制度では発生しにくいものの、長期的なテレワークを実施するなかで発生する課題です。

これだけの課題が発生するにも関わらず、新型コロナウイルスの流行前からテレワークや在宅勤務を望む声は多くあり、国としても推進していました。「なぜテレワークが推進されているのか?」について、テレワーク制度がすでに定着しているアメリカと日本を比較してみましょう。

テレワーク制度の日米比較

すでにテレワークが浸透し、一部ではあえてテレワークを推奨しない働き方さえ話題にあがるアメリカではどのようにしてテレワーク・在宅勤務制度が浸透したのでしょうか。

1978年Flexible Work Arrangement(FWA) 柔軟な働き方 が広まる
1990年大気汚染防止法改正で自動車利用13%削減
1995年労働者の9% が何らかのテレワークを実施
2000年PC・WEBが普及し、テレワークがより可能に
2002年マネジメントに悩む人が増える
2010年連邦職員向け テレワーク強化法
2016年IT企業従業員の83% がどこでも仕事出来るように
参考:https://info.prysm.com/hubfs/downloads/Prysm-Remote-Working-Timeline.pdf

柔軟な働き方(FWA)とは、フルタイムのテレワークだけではなく一時的な在宅勤務やフレックスタイム制を含む従業員が働く時間と場所をある程度自由に選べる勤務体制のことです。

アメリカでは働き方に対する政策的な法改正や行政指導がはいることはほとんどありません。にも関わらず、大手企業よりも中小企業で柔軟な働き方が浸透しています。

一般的には優秀な従業員の定着率を高めるためと言われていますが、テレワークを代表とする柔軟な働き方がはじまったきっかけは環境への配慮です。アメリカは日本と比べ都市圏での自動車通勤の割合が高く、大気汚染への対策という外的要因から民間レベルで自主的な取り組みがはじまりました。

一方で、日本のテレワークの歴史を見てみましょう。

1997年国家公務員で テレワーク実証実験
2002年テレワーク率 10.4% 
2005年労働者の9% が何らかのテレワークを実施
2007-2015年大企業を中心にテレワーク制度導入
2017年働き方改革実現会議
2018年テレワークのガイドライン策定
参考:https://fledge.jp/article/telework-soumusho

日本では労働生産性の向上や長時間労働の削減を目的とする働き方改革の流れの中で制度化が進みました。先ほどのアメリカと違い、外的要因によるテレワーク(在宅勤務やフレックスタイム含む)の必要性がなかったために浸透しなかったといえます。

ではテレワークのメリットといわれる労働生産性は本当に向上するのでしょうか?

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ポイント1:テレワークの生産性と孤独感

企業としてテレワーク・在宅勤務制度を正式に導入する際に留意すべきポイントのひとつめが、テレワークの生産性です。

ここでいうテレワークとはフルタイム型の在宅勤務のことです。テレワークには一部型かフルタイム型か、短期型か長期型かの4タイプが存在します。この4タイプの中で従業員の生産性や健康課題が発生するリスクはフルタイム型の在宅勤務で高くなります。

生産性があがる仕事、さがる仕事

結論からいうと、テレワークを実施することで労働生産性があがる仕事とさがる仕事があります。ここでふたつの研究結果を見てみましょう。

研究内容2015年
カスタマーサポートでの電話対応
2017年
警察における緊急対応の連携

生産性の比較生産性 13% Up
離職率 50% Down
生産性 2-4% Up

これらふたつの研究を比較すると、テレワークで生産性が向上する仕事とオフィス勤務が向く仕事の違いが分かります。

テレワークによって生産性が向上する仕事

  • 事前に計画してイレギュラー対応が少ない仕事
  • 成果や報告が測定可能な仕事

オフィスワークが向いてる仕事

  • 不確実性が高く、緊急対応が必要な仕事
  • クリエイティブかつイノベーティブな仕事

しかし、テレワークで生産性が向上する仕事だからといって安易にフルタイムの在宅勤務制度を導入することは待ったほうがいいでしょう。
実は上記2015年の研究結果には続きがあります。

テレワークによる孤独感の解消が課題

2015年Ctrip社(現Trip.com社)で行われた研究では、社員をフルタイムの在宅勤務をするグループとオフィス勤務を続けるグループの2つにわけて9ヶ月間の実験が実施されました。

結果として生産性の向上や離職率の低下が認められた後に、改めて在宅勤務とオフィス出社を社員に選んでもらいました。その結果、在宅勤務をしていたグループの52%がオフィス出社にすることを望んだのです。

引用:https://nbloom.people.stanford.edu/sites/g/files/sbiybj4746/f/wfh.pdf

なぜ在宅勤務をしていた社員の半数がオフィス出社を望んだのか?

実はオフィス出社を望んだ社員の多くがテレワーク期間中に生産性を下げており、そのもっとも大きな理由が「チームがいないことで意欲がさがった」でした。つまり、テレワークによる孤独感によって社員のモチベーションの低下や生産性の低下を引き起こすこともわかったのです。

さらに孤独感は心的ストレス要因でもあるため、長期間続くと身体的な健康障害となってしまうリスクもあります。テレワーク制度の導入には孤独感を解消する健康管理が必要です。

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ポイント2:作業環境と心身のアセスメント

テレワーク、特にフルタイム型の在宅勤務にはメリット・デメリットがあります。

在宅勤務の開始当初は、通勤がないことから身体的なラクさを感じるものですが3ヶ月を超えてくると精神的なツラさを感じてきます。また自宅の作業環境がオフィスほど整っていない従業員は腰痛や眼精疲労を患ったり、プライベートとのオンオフの切り替えなく長時間労働になりがちになります。

そうしたテレワークで発生する心身の健康課題を解消し、企業としての労務管理を正しくおこなうために、テレワーク・在宅勤務制度を正式に導入する際に留意すべきポイントのふたつめが、作業環境と心身のアセスメントです。

自宅の作業環境を整える

たとえばテレワーク中の社員が仕事用として使っている椅子が壊れてしまい従業員が怪我をおってしまった場合、これは労災となります。

企業には安全に健康に働けるオフィス環境にするために、事務所衛生基準規則・労働安全衛生規則に従う必要があります。そして、在宅勤務者の自宅での作業環境もオフィス同様に整える必要があります。

具体的にどのようなチェックポイントがあるかについては以下「テレワークのける適切な労務管理のためのガイドライン」にある図が参考になります。

引用:https://www.mhlw.go.jp/content/000553510.pdf

上記のチェックポイントについて、テレワーク導入時や定期的にチェックリストを利用して記録しておきます。チェックする頻度は、産業医による職場巡視の頻度とあわせて月1回が目安になります。

孤独感をチェックする心身のアセスメント

アセスメントとは、定量的に評価することです。テレワークにおける大きなデメリットが孤独感であり、孤独感によるストレスで心身の健康障害を抱えてしまうリスクがあります。そこで在宅勤務中の社員が心身の問題を抱えていないかを、チェックリストを用いて定量的に評価します。

たとえば、以下のようにシンプルな心身のチェックリストを週1回の頻度で活用します。

チェックリストでアセスメントするべき項目は、「心理面」「身体面」「仕事へのモチベーション」の3点です。ポイントとしては、テレワークによる課題感を感じやすい業務の裁量権やチームとの関係性を質問項目にを含めている点です。

ポイント3:健康障害への対応策

テレワークを正式な制度として導入するにあたり、ポイント1や2への対策をとったとしても従業員の健康障害がどうしても発生してしまいます。

そこでテレワーク特有の心身の健康障害への対応策をご紹介しましょう。

身体面:運動不足や自宅PC作業への対策

フルタイムの在宅勤務において身体面の課題は、通勤がないことと作業環境が整わないことによるものが発生します。

緊急事態宣言が発令されていた約2ヶ月の間、テレワークを続けていた方なら実感されていると思いますが、オフィスへの通勤が日々の運動不足を解消し生活習慣病の予防につながっていました。

また自宅での作業環境が適切に整っていないと筋骨格系の健康障害も発生しやすくなります。具体的には、腰痛・肩こり・眼精疲労・腱鞘炎といった症状です。

これらの対策として以下のような取組事例があります。

運動不足の解消

  • 業務開始時や昼休憩にラジオ体操をする
  • 一時間に一回程度のストレッチ(椅子から立ち上がる・深呼吸)
  • 仕事前に掃除機をかける

作業環境の整備

  • 背もたれ付き椅子に深く腰掛ける
  • 肘の角度が90度になるよう机と椅子の高さを調整する
  • PC画面の上端を目の高さに揃える

生活リズムを守る

  • 出社時と同じ時間に起きて、陽の光を浴びる
  • 服装・整髪・メイクなど身だしなみを整える
  • 細かな休憩時間(トイレ・水分補給・昼休憩)をとる
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心理面:孤独感とオンオフの切り替え

身体面と同様に心理面への対策も環境を整えることです。特にコミュニケーションの手段を整えることが大事であり、ただ単にチャットツールなどのシステムを導入するだけで足りません。

オンラインでも孤独感を感じさせない、仕事上のやりとりをスムーズにするための具体的な取組事例をご紹介します。

会話の機会を増やす

  • 始業・就業時にテレビ会議を利用する
  • オンラインランチやオンライン飲み会を開催する
  • リモートグループ限定のチャットグループを作成する

プライベートとのオンオフを切り替える

  • 仕事をする部屋と寝る部屋を分ける
  • 食卓などで作業するときはいつもとは違う席を利用する
  • 業務時間が終了したら、PCを見えないところにしまう

以上が、健康障害への対応策として従業員ができるものです。人事総務として積極的に呼びかけて在宅勤務中の社員が実施できるようにフォローをしつづける必要があります。

さて、これで企業としてテレワーク・在宅勤務制度を正式に導入する際に留意すべき3つポイントを解説しました。しかし今日お話したポイントではひとつ大切な観点が抜けています。

それは従業員の健康管理を担当する人事・総務の担当者自身がテレワークすることが前提になっていない点です。

注目される健康情報のデジタル化

これまで解説してきたように、テレワークをするしないに関わらず社員の健康に関わる労務管理は年々複雑に煩雑になっています。

なぜ健康管理の法令順守はこんなにも担当者の手をわずらわせるのでしょうか?

それは社員の健康情報が紙やエクセルでバラバラに保管されているため、労務管理に必要な業務や書類の作成がいつまでもアナログなままだからです。

健康管理の法令順守で必要な業務や書類

健康診断
  • 健康診断の実施
  • 健康診断の結果(個人票)
  • 健康診断後の就労判定
  • 結果異常者への保健指導・面談記録
  • 健康診断結果報告書
ストレスチェック
  • ストレスチェックの実施
  • ストレスチェック結果
  • 高ストレス者面接指導記録
  • 集団分析結果
  • ストレスチェック結果報告書
長時間労働対応
  • 毎月の残業時間管理
  • 産業医への情報共有
  • 過重労働者判定
  • 疲労蓄積度チェックリスト結果
  • 過重労働者面談記録
産業医面談
  • 産業医面談記録
  • 産業医意見書
  • 紹介状
  • 各従業員の診断書
  • 健康指導メモ
衛生委員会・巡視
  • 衛生委員会の実施
  • 衛生委員会議事録の周知と保管
  • 職場巡視の実施
  • 職場巡視記録

これらの結果や記録は要配慮個人情報であるため、容易に社外へ持ち出すわけにはいきません。そのため紙のままキャビネットに保管してあったり、社内のファイルサーバーにバラバラに保存したままでは健康管理の担当者はテレワークをすることができません。

もし、従業員の健康情報をデジタルできたら

もし、あらためて新型コロナウイルスや同じような感染症が流行した場合でも、重症化しやすい基礎疾患を抱えた従業員をすばやく抽出することができます。

もし、健康診断や産業医面談に関わる業務がハンザツであっても、すべてのデータがまとまっているシステムがあれば業務工数は4分の1以下に削減できます。

そんな健康情報のデジタル化を具体的にどうやって実現すればいいのか?データ化した健康情報はどのように活用できるのか?について解説した資料をご用意しました。

 
 
   
健康管理のDXに失敗する理由と成功事例
   
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ここまで本記事をお読みいただきありがとうございます。テレワークを制度として導入する際に留意すべき3つのポイントは、すぐに実施するかしないかに関わらず知っておくべき情報です。本ページをブックマークして今後の参考にしてください。

執筆・監修

  • 小川 剛史
    この記事を書いた人
    小川 剛史
    1986年広島県生まれ。
    大学在学時から幅広い業種のデジタルマーケティングを手がける。(小売・食品・金融・医療etc)
    現職では、企業の健康管理・健康経営についての情報発信を続けており、オンライン記事では月間12万人、ダウンロード資料は延べ2万社が閲覧している。

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