支社も含めた健康経営。本社の健康管理体制が成功のカギ

2021年1月14日 更新 / 2020年4月3日 公開
健康経営の実務

支社は従業員が少ないため、生産性の低い社員や欠勤する社員がいると、他の従業員の負担になります。

人の少ない支社だからこそ、本社よりも健康管理の体制を整えることが大切です。しかし、支社では人事や産業保健スタッフがいないため、本社と同じような健康管理はできません。

支社では、支社ならではの健康管理の工夫があります。ポイントは、「本社の情報をどれだけ支社に伝えられるか」と、「ツールをどれだけ活用できるか」の2つです。支社ならではのハードルを克服して、効率的に健康管理を進めていきましょう!

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支社の健康管理義務

はじめに、支社で必要な健康管理の内容を確認します。

安全衛生法では、事業場ごとに安全衛生の取り組みが義務付けられています。(事業場の範囲はこちらを参照。)主な健康管理業務は、各担当者の選任と、健康診断の実施、ストレスチェックの実施、衛生委員会の開催です。

支社や支店が大きくなると、法律上の健康管理の義務が増えてきます。従業員の人数規模ごとの実施義務リストはこちらです。

選任・実施義務対象事業所規模実施規定(一部)参考資料
統括安全管理者屋外的業種は労働者100人以上等厚生労働省HP
衛生管理者全業種50人以上業種に応じた資格が必要厚生労働省HP
安全管理者屋外・工業的業種50人以上安全管理者の資格が必要厚生労働省HP
産業医全業種50人以上1000人以上(有害業務では500人以上)で専属産業医厚生労働省HP
衛生委員会全業種50人以上毎月1回以上開催する厚生労働省HP
安全委員会屋外・工業的業種50人以上衛生委員会と合体可能厚生労働省HP
作業主任者危険有害作業ごと厚生労働省HP
衛生推進者非工業的業種10人以上50人未満選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任厚生労働省HP
安全衛生推進者主に工業的業種10人以上50人未満選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任厚生労働省HP
定期健康診断報告全業種50人以上遅滞なく所轄労働基準監督署に報告厚生労働省PDF
ストレスチェック全業種50人以上集団分析は努力義務厚生労働省HP
Carely 事業場に応じて必要な選任。安全衛生法で定義する事業場の範囲とは?参照、2020年4月3日時点)

支社ならではの健康管理のハードル

支社には人事と産業保健スタッフがいないため、支社特有の問題が生じます。きちんとできていないと、安衛法の義務違反や健康経営優良法人の認定基準をクリアできなくなってしまいます。

ここでは、支社でよく直面する問題をまとめます。自分の支社ではこれらの問題が発生していないか、確認してみてください。

①健康診断のハードル

支社の健康診断は、「制度はあるけれども従業員の健康状態は把握できていない」、となってしまうことが多いです。

例えば、具体的にはこんな問題があります。

  • 受診率、再受診率、結果の提出率が低い
  • 保健指導ができていない
  • 産業医面談ができていない
  • 就業判定の基準が支社によってバラバラ

支社には、健康診断を受診するように催促する人がいません。健康診断をめんどうだと思っている社員は、受診しないままになっていまいます。健診結果の提出も、提出する相手がその場にいないので、提出しなくても大丈夫だと思ってしまいます。

支社に保健師や産業医がいないので、健診結果が悪くても面談をすることができません。不健康でも保健指導ができず、そのまま体調不良で休職してしまう可能性があります。

本社の産業医に健診結果を見てもらおうとしても、支社の健診結果は見ない、という産業医もいるようです。産業医や健診病院によって就業判定の基準も変わってしまうので、全社で統一した基準を作る必要があります。

②ストレスチェックのハードル

ストレスチェックは、全国の実施義務のある事業場の内、約83%が実施しています(平成 29 年)。まだストレスチェックを始めていない事業場では、早急に実施するようにしましょう。

支社のストレスチェックのハードルは、次のような例が挙げられます。

  • 受検率が低い
  • 集団分析の結果が活かされない
  • 各種研修のために本社へ行かなくてはいけない
  • 保健師面談や産業医面談が実施できない

もし受検率が低い場合は、ストレスチェックの目的や、企業はストレスチェックの結果を見られないというルールが従業員に伝わっていないのかもしれません。ストレスチェックの受検率アップの方法は、こちらの記事にまとめています

ストレスチェックの集団分析をしても、結果が活用されないこともあります。結果が活用されないのは、管理職が結果の使い方を知らないからかもしれません。しかし、管理監督者研修をするにも本社にいかなくてはならず、管理職の負担になります。

高ストレス者は保健師や産業医からの医学的なサポートが必要ですが、本社の産業保健スタッフや、外部のサービスを使う必要があります。

③衛生委員会のハードル

衛生委員会は月1回の開催が義務ですが、上手く活用できている企業は少ないです。

労働者衛生委員会の負担が大きすぎる、衛生委員会で話すことがなくて形式的になっている、など衛生委員会の運営で難しさを感じたことはないでしょうか。

支社には産業保健スタッフがいないので、医学的な話題ができません。また、支社の健康意識が低いと参加率も落ち、単なる面倒な時間になってしまいます。衛生委員会を活性化する戦略は、こちらの記事にまとめていますのでご覧ください。

お役立ち資料"人事が主導する、健康経営スタートガイド"をダウンロードする
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支社のハードルを解決する方法

支社ならではの健康管理のハードルは、次の4つの方法で解決できます。

支社の健康管理のポイントは、「本社の情報をどれだけ支社に伝えられるか」と、「ツールをどれだけ活用できるか」です。

ここまで、多くのハードルを紹介してきましたが、健康診断などの業務に限らず、全ての健康管理業務に活かせる方法です。

①オンライン通話を活用する

産業医や保健師による面談を、本社の保健師や産業医とのオンライン通話で行います。面談が周囲の従業員にバレにくいため、プライバシー保護のメリットもあります。

衛生委員会も、本社と支社が合同でオンライン通信しながら行う企業もあります。医学的な話題の提供や、支社できちんとした委員会が行われているかを見守ることができます。

また、本社の健康づくりの取り組みを支社に紹介したり、本社が支社を気にかけていることをアピールする場にもなります。支社の従業員たちの健康管理へのモチベーションを上げる有効な機会です。

②e-learningを活用する

高ストレス者へのセルフケアの研修を、e-learningで行うことも効果的です。従業員にe-learningを提供すると、抑うつ効果があることが研究で示されています(こちら)

人事は高ストレス者が誰か分からないので、本部の産業医やストレスチェック実施会社を通して、高ストレス者にe-learningの案内を流します。

管理監督者研修も、e-learningを使えば、本社へわざわざ行くことなく手軽に受けることができます。ストレスチェックの集団分析結果を管理職へ渡す時や、パワハラやセクハラ防止、ラインケア研修などの研修をする際、ぜひe-learningを活用してみてください。

③現地のEAP会社を活用する

EAP(Employee Assistance Program)会社を活用し、管理監督者研修やセルフケア研修などを実施する方法もあります。EAP会社では、ストレスやハラスメント問題の解決や、ワークライフバランス、マネジメントスキルまで、幅広いサポートがあります。

上司のマネジメントスキル向上、従業員のモチベーション向上に、EAPを活用してみてください。EAP活用のコツは、こちらのページをご参照ください。

④健康経営支援システムを導入する

健康経営支援システムを導入し、健康診断予約代行やストレスチェックの実施を依頼することもできます。担当者の負担が軽減されますし、健診受診率やストレスチェック受検率の向上にも繋がります。

システムによっては、管理職が使いにくい結果の出し方をしたり、個人情報の保護が不安なものもあります。自社に合ったシステムを選んでいきましょう。

健康管理のメリットや選び方については、こちらの記事をご参照ください。
健康管理システムとは?目的やメリット、費用相場をまとめてみた

最後に…

健康管理体制を充実させるカギは、「本社の情報をどれだけ支社に伝えられるか」と、「ツールをどれだけ活用できるか」です。

本社の「健康づくりに取り組んでいる感」を支社に発信していき、支社のモチベーションを上げていきましょう。支社で健康管理に熱心な従業員を1人でも見つけると、体制づくりがスムーズに進みます。

支社が主体的に健康管理体制を回していけるように、情報提供やツールの導入をしてみてください。

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お役立ち資料

法令遵守や健康経営、働き方改革の実践ノウハウなど、
無料でダウンロードして今日からご活用いただけます。

  1. 定期健康診断の事後措置ガイドブック 冊子版(PDF)
    健康診断の義務は、実施よりも"事後措置"の方が重要です。業務効率化を図りながら、ミス・モレのない実務ノウハウを解説します。
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  2. 健康経営2021 ステップアップ講座
    2020年は健康経営推進担当者にとって波乱の年になりました。今年そして来年以降の健康経営計画の見直しをふまえた、最短で認定取得を目指すステップアップ講座です。
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  3. ー改訂版ー
    オフィスの感染予防 対策ガイドラインの解説
    経団連が発表した感染症対策ガイドラインをさらに深堀って解説します。抽象的な指針だけでは分からない、実務レベルの対策を解説しています。
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  4. 健康診断をペーパレス化。メリットと外部業者の選び方
    まだ紙で管理しますか?延べ200社の健康診断の管理をペーパレス化してきたから分かった、人事労務・保健師の業務を効率化するコツと運用法を解説します。
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  5. 「健康投資管理会計ガイドライン」を会計士が人事総務向けに解説
    公式では分かりづらい管理会計のガイドラインを、労働安全衛生法に精通した会計士が分かりやすく解説します。
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  6. 人事が主導する、健康経営スタートガイド
    社員食堂の整備やウォーキングの目標設定よりも、前に実践すべきことがあります。人事の仕事がラクになる健康経営のコツを紹介します。
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  7. 働き方改革の新しい義務『健康情報管理規程』の策定マニュアル
    厚労省から公表されているサンプルでは分かりづらい、という人事の方へ。ハンザツな規程作成が5ステップで完了します。
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  8. 集団分析の社内報告マニュアル
    ストレスチェック担当者が、上司・経営者から評価を得るために。厚労省の判定図の正しい読み方から社内報告の方法を産業医視点で解説します。
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  9. 急増するテレワーク中のメンタルヘルス対策と、失敗する予防策
    テレワークとオフィス勤務が混在する働き方の企業向けに メンタル不調者への法的に正しい実務対応を30分で解説します。
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  10. 健康管理費のコストカット表
    会社から経費削減を命じられているものの「健康管理費はどこまで削減していいものか」分からない方へ。従業員の健康を守りながらコストを削減する事例を紹介します。
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    「スムーズに復職は、休職前の準備は大事」 人事の工数を最小限におさえる休復職対応を、保健師が解説します。
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  12. 2021年度、コロナ禍での健康診断を再計画
    コロナ禍で重要度があがった従業員の健康管理。 2021の健康診断では、ルールの正確が必要です。最近情報は30分で紹介。
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    人気セミナーをシリーズ化。「健康管理はやっぱりなしでも全部はできない」で悩んでいる労務・総務担当へ実務のコツを紹介します。
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    本セミナーは従業員数50人〜200名程度の企業が対象です。 あなたの会社では健康管理の法的義務に正しく対応できていますか?
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    これまで注目されてこなかったストレスチェックの集団分析を通して、 見えにくい従業員の健康課題をデータから客観的に表します。
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    調査レポート
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