自社の健康経営を推進し、健康経営優良法人や健康経営銘柄を取得するためには、健康経営研修が有効です。ストレスチェックを活用したメンタルヘルス対策の強化や、データヘルスを活用した従業員の健康管理をおこなう企業も増加してきました。令和5年度に健康経営優良法人の評価項目が追加され、健康経営優良法人や健康経営銘柄の取得基準の難易度は年々上がっています。本記事では、健康経営に研修が必要な理由や階層別に効果的な研修内容、健康経営優良法人の取り組み事例を詳しく解説しています。効果的な健康経営研修を実施したい企業や健康経営優良法人の取得を目指す企業は、ぜひ最後までご一読ください。なお「Carely 健康管理クラウド」は、従業員のストレスチェックや健康診断の結果、健康経営の規定など健康経営に重要な資料の共有・管理、分析が効率的に行える健康管理システムです。国際規格「ISO27017」と「ISO27018」の認証を取得しているため、セキュリティ対策も万全です。Carelyで従業員のストレスや健康状態を分析・把握することで、効果的な研修の実施に役立ち、健康経営推進や健康経営優良法人の取得を後押しします。Carelyサービス資料3点セットのダウンロード健康経営推進に研修が必要な理由健康経営研修が必要な理由は、従業員全体の健康意識を高め、企業全体で健康経営を推進するためです。健康経営優良法人や健康経営銘柄の取得には、経営層だけでなく、現場まで施策が連携・連動しているかという視点で評価されます。令和5年度の健康経営優良法人の評価項目には、「情報開示の推進」や「社会課題への対応」「健康経営の国際展開」など新たな項目も追加され、取得基準は年々高くなっているのです。経営層だけが熱心に健康経営を推進しようとしても、従業員との認識の差が生じる可能性があります。従業員全体が企業の課題として認識し、解決に取り組むためには健康経営研修が欠かせないと言えます。「将来的にはホワイト500も視野に入れている」という場合は、こちらの記事もご覧ください。健康経営優良法人「ホワイト500」とは?メリットや取り組み事例を解説健康経営を推進する過程で生じる課題Carelyが2022年に実施した「健康経営に関する認知度調査」の結果では、健康経営を推進するうえで生じる課題として以下の項目が上位を占めました。【1位】効果が見えづらい【2位】従業員の参加意欲が低い【3位】対応する社内人員の確保参考:株式会社iCARE|「健康経営に関する認知度調査」【1位】効果が見えづらい調査結果によると、約40%の企業が健康経営に関して「効果が見えづらい」と回答しています。健康経営研修の参加率や禁煙率などは数値で測定できますが、メンタルヘルス改善などは取り組みの効果を正確に測定することが困難です。また、従業員の健康状態や年齢・性別やライフスタイルは一人ひとり異なるため、同じ健康経営研修をおこなっても効果にばらつきが生じ、効果が見えづらいと感じてしまいます。【2位】従業員の参加意欲が低い調査結果で2番目に多かったのが「従業員の参加意欲の低さ」です。現場で働く従業員にとって健康経営は「経営は上層部の仕事」「経営のことはわからない」と自分事としてとらえにくいことがあります。また業務が忙しく「研修に参加する余裕がない」「時間を割けない」という状況も考えられます。【3位】対応する社内人員の確保3番目の課題は対応する人員の確保です。健康経営を推進する専門部署がなかったり、担当者に知見がなかったりすると施策が進まず、期待する効果が得られません。また「普段の業務が忙しい」「健康経営を積極的に推進するのに手が回らない」という担当者のリソースが限られているのも原因です。調査結果から、健康経営を推進する企業にとって、効果の見える化と従業員の巻き込み、長期的に推進できる社内体制の構築が大きな課題であると言えます。企業が健康経営研修を実施するメリット企業が健康経営研修を実施するメリットは、企業全体の健康経営の理解が深まり、さらなる推進につながることです。ここでは、さらに健康経営研修をおこなうメリットを経営、管理職、従業員の3つに分けて詳しく解説します。各立場のメリットを理解することで、効果的な研修が実施できるでしょう。なお、健康経営についての基本情報を確認したい方は、以下の記事をご覧ください。【初心者向け】健康経営とは?始める前に押さえておきたい基本情報まとめ経営上のメリット健康経営研修を受ける経営上のメリットは、健康経営優良法人取得に企業全体で取り組め、取得する確率を上げられることです。健康経営優良法人を取得すると、次の効果があります。▼企業が健康経営優良法人を取得する効果人材採用・定着の促進従業員の健康意識向上企業イメージの向上金融機関からの優遇措置やインセンティブ獲得健康経営に取り組む企業と認知されることで、従業員の健康を重視する企業として求職者からの評価が高まり人材の確保につながります。また、企業全体で健康経営に取り組むため、従業員の健康意識を向上させます。すると心身の健康の改善は従業員の持つ本来のパフォーマンスを発揮しやすくなり、プレゼンティーイズムの改善や生産性の向上につながるのです。さらに、健康経営優良法人と認められると日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」が利用でき、特別利率が適応されます。ホワイト500の認定でさらなる特別優遇利率が適用され、経営上大きなプラスになるでしょう。また、健康経営に対する自治体によるインセンティブ措置も存在します。例えば、愛知県では県が実施する入札参加資格審査で健康経営が評価項目となっていたり、一部の銀行では健康経営に取り組む企業と、その従業員に対して融資の優遇措置を講じていたりします。管理職のメリット管理職が健康経営研修を受けるメリットは、マネジメント能力が強化できることです。管理職が健康経営研修を受けると、業務上のストレス削減やワーク・ライフ・バランスを両立させるための効果的な取り組み・知見を得られます。それらを現場で管理職が実践することで、部下となる従業員の健康に向き合い、不調者にいち早く気付けます。早急に適切な対処が取れるようになるため、部署内のアブセンティーイズム防止にも効果的です。また、部署内のパフォーマンスや生産性の向上も期待できます。従業員のメリット従業員が健康経営研修を受けるメリットは、健康増進とモチベーションの向上です。健康経営研修を通じて心身の健康に関する知識を得ると、従業員は自身の生活習慣やストレスへの対処法を見直すきっかけとなり、ヘルスリテラシーが向上します。また、定期的な運動習慣を身に付けることでポジティブな思考が育まれ、仕事へのモチベーションが向上します。健康経営研修を実施することで、従業員が健康で働き続けることにつながり、休職率や離職率の低下が期待できるでしょう。健康経営を社内に定着させるために必要な研修内容【階層別】健康経営を定着させるためには健康経営の全体像を把握しつつ、階層別に適した研修内容を実施することが有効です。ここでは、経営層・管理職層・従業員層の3つの階層に分けて必要な研修内容を解説します。経営層向けの健康経営研修経営層向けの健康経営研修は、経営層の健康経営についての関心度や理解度に合わせた内容や、自社の健康経営の推進度がわかる健康経営度調査フィードバックシートを活用した内容が効果的です。▼経営層向けの健康経営研修の例健康経営の全体像や理解を促進する研修健康管理を経営視点から戦略的にとらえ、推進にともなう効果を伝える研修健康経営度調査フィードバックシートの分析や、自社と他社の取り組み事例の比較を含む研修フィードバックシートと現在推進中の健康経営の取り組みを比較すると、施策の改善点や現在の課題を明確にできます。また、他社の成功事例を知ることで、現在おこなっている健康経営施策の内容のアップデートや、新たな施策のヒントにもつながります。他社の成功事例は、経済産業省の認定企業評価結果(フィードバックシート)や、健康長寿産業連合会の健康経営先進企業事例集などを参考にするとよいでしょう。▼経済産業省の認定企業評価結果(フィードバックシート)評価結果(フィードバックシート)の開示|ACTION!健康経営(日本経済新聞社)▼健康長寿産業連合会の健康経営先進企業事例集健康経営 先進企業事例集|健康長寿産業連合会管理職層の健康経営研修管理者向けの健康経営研修は、管理職がラインケアやハラスメント、業務改善について理解・実践する内容や、従業員のアブセンティーイズム・プレゼンティーイズムの抑制に役立てる内容が効果的です。また、パワーハラスメント対策が2020年6月より義務付けられたため(中小企業は2022年4月より義務)、ハラスメント防止研修の実施は企業のコンプライアンス強化にもつながります。参考:2020年(令和2年)6月1日より、職場における ハラスメント防止対策が強化されました!|厚生労働省▼管理職層向けの健康経営研修の例メンタルヘルスの基礎知識や高ストレス者への対応についての研修職場復帰社員の支援の仕方や、病気に対する配慮についての研修長時間勤務における影響と業務の見直しについての研修ハラスメントの具体例やハラスメントの罰則・事例についての研修管理職が上記内容の研修を受けることで従業員の変化に気付きやすくなり、適切な相談対応や職場環境の改善、相談窓口への案内など迅速に対応することが可能です。また、長時間勤務が原因で従業員のメンタル不調が起こっている場合、業務を見直すなどのきっかけにもなります。こちらの資料では令和時代で指標にすべき休職のKPIや、休復職対応のポイントなどを詳しく解説しています。研修資料の参考としてぜひお役立てください。休復職ガイドブック-「人的資本」時代のメンタルヘルス対応また、健康経営施策の具体事例について詳しく解説した動画も提供しています。自社にあった効果的な健康経営施策を検討したい方は、下記よりご覧ください。ものまね健康経営 でうまくいく!従業員層の健康経営研修従業員向けの健康経営研修は、「健康経営が経営層だけでなく全従業員に関わるもの」と理解できる内容がよいでしょう。2024年に帝国データバンクが実施した従業員向けアンケートの統計では、健康経営を「良い取り組みだと思う」と回答した従業員の割合は49.5%でした。次いで「どちらともいえない(26.5%)」「わからない(19.9%)」「良い取り組みだとは思えない(4.1%)」の結果となり、まだまだ健康経営への理解度や効果の実感が低いことが伺えます。出典:「従業員アンケート 健康経営に関する企業の取り組み状況や効果に関する調査分析」|株式会社帝国データバンクそのため、健康経営の理解度を高める研修内容や、実際に学んだことを私生活に取り入れられる内容が効果的です。▼従業員向けの健康経営研修内の例健康経営の概要や他企業の成功事例や得られた効果についての研修データヘルスを活用して健康問題のある対象者に対し対処法についての研修メンタルヘルスケアについての研修例えば、運動の効果を伝える研修の場合、楽しんで取り組めるウォーキングイベントや外部講師を招いてストレッチをおこなうワークショップなど「参加したい」と思える研修もおすすめです。従業員にどのような研修を受けたいかアンケートを取ると、ニーズも把握でき興味を持ってもらえる内容になります。研修を通じて、従業員が「自分も健康経営に参加している」と自覚できることが大切です。健康経営優良法人が取り組んだ研修と効果【事例】健康経営の施策を充実させるためには、他社の取り組み成功事例を知り、自社の施策に落とし込むことが大切です。ここでは、健康経営優良法人2024・ホワイト500に選ばれた2社(Carely導入企業)が取り組んだ健康経営研修や取り組みを紹介します。事例1.ユニ・チャーム株式会社ユニ・チャーム株式会社は1961年に設立され、ウェルネスケア関連製品、ペットケア関連製品、ベビーケア関連製品などの製造・販売をおこなっています。同社はメンタルヘルス不調が一番アブセンティーイズムの大きな要因になることに着目し、メンタルヘルス対策に取り組みました。ユニ・チャーム株式会社が取り組んだ健康経営に関する研修や取り組みは次のとおりです。【研修】自社にてメンタルヘルス研修を実施し、セルフケアをeラーニングで学んだ管理職のラインケアeラーニングを実施した全従業員を対象に更年期研修を実施した【取り組み】外部サービスを活用し、ストレスチェックの実施や分析をおこなった健康相談窓口も全社員に周知し、メンタルヘルス不調の早期発見、相談につなげたストレスチェック後は集団分析のフィードバックを活かし、高ストレス部門の管理職に説明会などの事後措置をおこなった復帰する従業員に対して外部EAP機関によるカウンセリングサービスをほぼ100%実施したその結果、従業員のメンタル不調の予防やヘルスリテラシーが向上し、2023年度のメンタルヘルス対策受講率は100%を達成しています。また、2022年度以降に復職した従業員の再発率はゼロ(2023年度の健康経営度調査時において)を達成したことから、健康経営優良法人として高く評価されました。参考:2024 健康経営 先進企業事例集|健康長寿産業連合会参考:令和5年度 健康経営度調査フィードバックシート|ACTION!健康経営(日本経済新聞社)参考:ユニ・チャーム株式会社事例2.株式会社JALUX株式会社JALUXは1962年に設立され、日本航空グループの航空事業、ライフサービス事業、リテール事業などを展開している企業です。同社は従業員の喫煙率の低下を健康経営の課題に挙げています。2017年時点で25.1%だった喫煙率が2022年には19.4%に低下し、目標に掲げていた喫煙率20%以下を達成しました。株式会社JALUXの喫煙率低下の研修と取り組みは以下です。禁煙セミナーを実施した毎月22日に全社員に向けて禁煙や受動喫煙に関するスワンデーメールを発信したオンライン卒煙プログラムや平日夜間や土日でもオンライン診療が可能な禁煙外来の費用を補助した就業時間内禁煙や喫煙所の撤去をおこない、卒煙を促した禁煙ポスターや禁煙コラムの掲示をおこなった今後の取り組みとして、禁煙率の目標値を20%から18%に設定し、将来的には全国平均以下を目指しています。参考:令和5年度 健康経営度調査フィードバックシート|ACTION!健康経営(日本経済新聞社)参考:サステナビリティ|株式会社JALUX参考:株式会社JALUX健康経営研修を実施する際によくある質問ここでは、健康経営研修を推進するときによくある質問を4つピックアップしました。【質問1】健康経営アドバイザーの資格は取得するべきか【質問2】研修を多くの従業員に受けてもらうにはどうすればいいか【質問3】健康経営の重要性や価値を伝わるにはどうすればいいか【質問4】健康経営研修を担当者だけで進められるか不安それぞれの質問にお答えしていきます。【質問1】健康経営アドバイザーの資格は取得するべきか健康経営を推進する際には、推進担当者に十分な知見がなければ、組織体制の構築や施策がうまく進みません。そのため健康経営を積極的に推進する企業にとって「健康経営アドバイザー」や「健康経営エキスパートアドバイザー」などの資格取得は意味があると言えます。東京商工会議所が実施している健康経営アドバイザー研修を受けると、健康経営に関する基礎的な知識や具体的な実践方法を体形的に学べます。現在の健康経営優良法人の評価基準に、健康経営アドバイザーや健康経営エキスパートアドバイザーの在籍は含まれてはいません。しかし、健康経営アドバイザーが在籍し健康経営を積極的におこなっている企業だと外部にアピールできるでしょう。【質問2】研修を多くの従業員に受けてもらうにはどうすればいいか従業員にとって自分事化しやすい内容の研修を実施するのが有効です。例えば、肩こりに悩む従業員に対しては、外部から専門的なトレーナーを招き、肩こり解消エクササイズを実践するなどです。健康に関するアンケートや健康診断、ストレスチェックのデータを活用して自社の健康課題を抽出し、従業員のニーズに沿った研修内容を企画しましょう。加えて、経営層や管理職のコミットメントも不可欠です。経営層や管理職は、研修の意義や重要性を積極的に従業員に伝え、参加を促す役割を担っています。研修の実施後は、効果をデータや数値で可視化し、成功事例を社内で共有しましょう。研修後の受講者の変化を社内広報として誰でも閲覧できるようにするのもおすすめです。研修の効果が意義が従業員に伝わり、研修への参加意欲を高められます。従業員のモチベーションだけに頼るのではなく、継続的に研修への参加をフォローする仕組みづくりも重要です。【質問3】健康経営の重要性や価値を伝えるにはどうすればいいか健康経営の重要性や価値を理解してもらうには、社長から従業員に向けて意義を発信したり管理職から働きかけてもらったりするのが有効です。経営層や管理職が率先して取り組み、従業員の健康経営への参加と理解を促します。健康診断の受診も健康経営の一部であり、従業員個人だけでなく会社からも健康をサポートするという内容の発信や、広報を定期的におこなうのもよいです。従業員に健康経営についてのアンケートを実施すると、従業員の理解度や課題点も把握でき、価値の高い施策を打ち出せるでしょう。【質問4】健康経営研修を担当者だけで進められるか不安健康経営研修を担当者だけですべて担うのには限界があります。担当者だけでなく健康経営推進チームをつくり、研修の企画負担を分散させるのも効果的です。産業保健に精通した専門家にアドバイスをもらいながら必要な研修の企画・実施をおこなうのもよいでしょう。すべて自社でおこなうのではなく、外部講師を招いたり、eラーニングシステムを導入したりして従業員が自主的に研修を受講できる環境づくりをおこなうのも効果的です。まとめ:健康経営の重要性を知り効果的な研修を行おう健康経営の理解度を深めるためには、従業員一人ひとりの健康意識を高め、企業全体で健康経営を推進する内容の研修が必要です。経営層だけでなく管理職や従業員の協力なしに、健康経営優良法人の認定取得は達成できません。そのためには階層別に分類した健康経営研修を通して、企業全体の認知や理解度を向上させ、健康経営の推進力を高めていくことが大切です。Carelyは働くひとの健康に投資する企業に向けた、健康経営総合支援サービスです。ツールによる人事労務の健康管理業務等、実作業への効率化支援だけでなく、課題抽出・分析・施策立案・運用など、カンパニーケアの流れを専門家とテクノロジーの力でサポートしていきます。自社の健康経営の推進や、健康経営優良法人の取得にぜひCarelyをお役立てください。Carelyについて確認したい方は、下記より機能や解決できる課題を解説した詳細資料がご覧いただけますので、気軽にご活用ください。%3Cdiv%20class%3D%22iframely-embed%22%3E%3Cdiv%20class%3D%22iframely-responsive%22%20style%3D%22height%3A%20140px%3B%20padding-bottom%3A%200%3B%22%3E%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Fwww.carely.jp%2Fform%2Fcarely-document%22%20data-iframely-url%3D%22%2F%2Fiframely.net%2Fg3DuG6E%3Fcard%3Dsmall%22%3E%3C%2Fa%3E%3C%2Fdiv%3E%3C%2Fdiv%3E%3Cscript%20async%20src%3D%22%2F%2Fiframely.net%2Fembed.js%22%3E%3C%2Fscript%3E