健康経営コンサルティングとは?導入で得られる効果や選び方を紹介

生産年齢人口の減少や国民医療費の増加が進むなか、従業員の健康に配慮することを経営における重要事項だと捉え「健康経営」に取り組む企業が増えてきました。しかし、自社だけで健康経営を推進していくことは容易なことではなく、健康経営優良法人の認定も視野に入れると、どう取り組んでいったら良いのか分からず悩む企業が存在するのも事実です。
そこで本記事では、健康経営を推進していく際に生じる課題、
- ノウハウ不足
- 組織の健康課題を発見できない
- 施策を進めるも効果計測ができていない
これら3つの課題を解決すると同時に、健康経営優良法人認定取得までを支援する「健康経営コンサルティング」について解説します。健康経営コンサルティングを活用した際に得られる効果や選び方などを紹介しますので、ぜひ最後までご一読ください。
健康経営コンサルティングとは
はじめに、健康経営コンサルティングにまつわる以下3つの内容を解説します。
- そもそも健康経営とは?
- 健康経営優良取得における昨今の動向
- 健康経営コンサルティングの特徴
それぞれ詳しく見ていきましょう。
そもそも健康経営とは?
健康経営とは、企業が従業員の健康管理を経営的視点から考え、戦略的に取り組み、実践していくことです。
企業が従業員の健康に配慮することで、医療費の削減につながるだけではなく、生産性の向上や企業のイメージアップなどさまざまなメリットを得られます。
また、経済産業省は2016年度に「健康経営優良法人認定制度」を設けました。
本制度に認定された企業は、
- 金融機関から低い利率で融資を受けやすくなる
- 自治体から表彰されることで、企業の良いブランディングにつながる
など、さまざまな効果を期待できます。
健康経営優良法人取得における昨今の動向
「健康経営優良法人認定制度」とは、健康経営に取り組む企業の中から特に優れた法人を顕彰する制度です。
「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2つに分かれており、「健康経営優良法人2022」では大規模法人部門に2,299法人、中小規模法人部門に12,255法人が認定されました(2022年3月9日時点)。
健康経営の推進について|経済産業省
「健康経営優良法人 2017」認定法人一覧(大規模法人部門)に記載の通り当時の認定法人は235社だったことからもわかるように、健康経営優良法人の認定企業数はここ数年で一気に増えています。
認定企業数だけでなく調査票回答数も増えていることから健康経営優良法人認定取得を得るための難易度はここ数年で上昇傾向にあり、より戦略的に取り組むことが求められます。
そこでおすすめなのが、健康経営コンサルティングの活用です。続いて、健康経営コンサルティングの特徴を見ていきましょう。
健康経営コンサルティングの特徴
健康経営コンサルティングは、企業が健康経営を推進できるようにサポートするサービスです。
具体的には、企業が持つ従業員の健康データを一元化し健康課題の見える化をします。そこから、組織の健康課題を解決するためにも健康経営を推進していきます。
ただ、健康経営優良法人をめざす企業は多いものの、健康経営を上手く推進できずに悩む企業が存在するのも事実です。
それを解消するために、健康経営に取り組む過程で生じる課題を解決するためのサービスでもあります。
たとえば、企業が健康経営を進める上でよくある失敗には以下のようなものがあります。
■健康経営を進める上でよくある失敗
- ノウハウがなく、何から手をつけるべきか整理できていない
- 組織の健康課題が把握できていない
- 組織の健康データを収集し分析ができていない
これらを打破するための存在が、健康経営コンサルティングサービスです。
自社だけで健康経営を推進していくことは容易でないため、周辺業務を総合的にサポートするコンサルティングサービスの活用がおすすめです。
健康経営コンサルティングを活用する4つの効果
健康経営コンサルティングを活用することで得られる効果は、以下の4つです。
- Excel・紙・PDF など煩雑になっている健康情報を一元化し可視化を実現
- 産業保健職をはじめ専門家による組織の健康データを活用したアプローチを実現
- クラウドシステムの活用により対応工数の削減・負担軽減
- 社内で取り組みに対して理解を得られやすい講義・研修の実施が可能
健康経営の推進には従業員の理解が欠かせませんが、コンサルティングを活用することで健康経営への取り組みを理解してもらいやすくなります。
それではひとつずつ見ていきましょう。
【効果1】Excel・紙・PDF など煩雑になっている健康情報を一元化し可視化を実現
健康経営に取り組む企業のなかには、Excelや紙・PDFなどで健康データをバラバラに管理していることがあります。
健康情報のアナログ管理は、すぐに共有できなかったり記録管理の工数が増えたりと、作業効率が悪くなってしまいがちです。必要な時に必要なデータをすぐに活用できないということもあります。
健康経営コンサルティングを活用することで、散らばったデータを一元管理する方法の相談ができます。
【効果2】産業保健職をはじめ専門家による組織の健康データを活用したアプローチを実現
企業が健康経営を推進していく過程においてメンタルヘルスケアやフィジカルケアに取り組む際に、専門家との情報連携はデータを活用したアプローチを行う上で重要なポイントです。
たとえば産業医は、健康診断やストレスチェック・労働時間など健康データから、従業員が今の仕事や業務を続けても問題ない状態にあるのか。つまり仕事を続けられる状態であるかを専門的観点から判断します。
ただし、重要なのは自社にマッチした産業医を選定することです。いくら実績豊富な産業医でも、自社の業界で生じやすい健康課題に対して精通していなければ満足なサポートが受けられない可能性もあります。産業医がカバーする業務範囲はどこからどこまでで、そこに対して実務経験がどの程度あるのかも選定時に重要な要素となってくるでしょう。
健康経営コンサルティングを活用すると、業界・業種・事業フェーズなどの違いがあったとしても健康課題に対して、専門家による最適な支援を得ることが可能になるのでおすすめです。
【効果3】クラウドシステムの活用により対応工数の削減・負担軽減
人事・総務が悩みを抱えやすい業務の1つに、従業員の健康診断の対応が挙げられます。
健康診断の受診対象者選定から始まり医療機関へのコース・オプション手配や従業員への周知。都度変わる受診状況の確認と調整。さらに結果が届いた方への事後措置対応など、健康診断は非常に煩雑な業務です。
健康診断が終わった後も
- 就業判定
- 事後措置
- 産業医面談
- 労基署への報告
- 健康診断費用の精算
- 健康診断費用の補助金関係の対応
など、はじまりから終わりまで対応内容が非常に多い業務の一つでもあります。
その煩雑さを解消するために、クラウドシステムを活用することで担当者の負担軽減だけでなく対応工数の削減も見込めます。
【効果4】社内で取り組みに対して理解を得られやすい講義・研修の実施が可能
健康経営コンサルティングを活用すれば、知識レベルや企業の状況を考慮した上で講義・研修の実施が可能です。
専門家の講師と相談しながら、要望や生じている健康課題に対する関連知識などを取り入れた研修プログラムの実施が可能です。
健康経営に取り組むうえで、必要性や意義を社内で理解してもらうことは欠かせません。健康経営の有識者を増やすためにも、決裁者や経営陣へのプレゼンや従業員への説明など専門的な視点からのアプローチも可能な健康経営コンサルティングの活用がおすすめです。
ここで、これまでの情報を一度まとめます。
■健康経営コンサルティングを活用する4つの効果
- Excel・紙・PDF など煩雑になっている健康情報を一元化し可視化を実現
- 産業保健職をはじめ専門家による組織の健康データを活用したアプローチを実現
- クラウドシステムの活用により対応工数の削減・負担軽減
- 社内で取り組みに対して理解を得られやすい講義・研修の実施が可能
続いて、健康経営コンサルティングのサービス内容について見ていきましょう。
健康経営コンサルティングのサービス内容
健康経営を進めるときは、以下の流れで事実に基づいて健康課題を整理したうえで改善のために施策を打っていくことが重要です。
- 複数の視点で確認し、健康課題を明確化する
- 優先順位を考慮し施策を決定する
- 健康施策を評価・改善する
つまり「データに基づいた分析ができる状況」でなければ、健康経営は進めづらくなってしまいます。
健康経営の推進においては、とりわけ経営層からの理解が欠かせません。理解を得られないと必要な予算がおりず、予算がおりたとしても従業員にその価値が理解されなければ効果的な施策に取り組めない恐れがあります。
健康経営の推進について|経済産業省
上記表の通り、健康経営優良法人の認定基準にも経営層の働きかけは評価項目に含まれているため、健康経営推進の第一歩は、経営層がその価値を理解することからスタートします。
経営層へ理解を得るためにも、レクチャーも対応できるコンサルティングを活用すると良いでしょう。
健康経営コンサルティングの3つの選び方
健康経営コンサルティングの選び方は、以下の3つです。
- クラウドサービスのみ
- コンサルティングサービスのみ
- クラウドサービスとコンサルティングサービス
それぞれの特徴を見ていきましょう。
1. クラウドサービスのみ
クラウドサービスは、従業員の健康情報をアナログ管理からペーパーレスにシフトしデータ化することで個人や企業全体の健康リスクを見える化します。
また、産業医や保健師とのオンライン面談を実施・システム内に記録できるものや、健康診断の予約業務を代行するものもあります。
クラウドサービスの導入は、
- 健康管理業務を効率化したい企業
- 健康経営への取り組みをテクノロジーの観点からサポートしてもらいたい企業
などにおすすめです。
ただし、クラウドサービスではコンサルティングサービスほど専門的なアドバイスがもらえない点に注意が必要です。
2. コンサルティングサービスのみ
コンサルティングサービスは、健康経営認定法人取得のために必要な支援を総合的におこなうのが特徴です。
具体的には、企業が抱える健康課題を整理・具体化したり申請書の記入をサポートしたりと、企業が健康経営を進めるうえでバックアップをします。
コンサルティングサービスの導入は、
- 健康経営を実現したいが、何から始めたら良いのかわからない企業
- 健康経営優良法人の認定に向けて専門家のサポートが欲しい企業
- 健康経営優良法人認定を得ているものの持続することの難しさを感じている企業
- 健康経営に取り組んでいるものの、なかなか結果につながらず苦労している企業
などにおすすめです。
ただし、人事や総務の担当者が抱える従業員の健康データ管理業務での負担を軽減したいのであれば、クラウドサービスも同時に活用するのが良いでしょう。
3. クラウドサービスとコンサルティングサービス
「健康経営優良法人を取得したい」「人事や総務の業務負担を軽減したい」とお考えの人におすすめなのが、クラウドサービスとコンサルティングサービスの併用です。
たとえば、クラウドサービスを利用することで、産業医・人事・従業員・経営層だけでなく健康経営へのアドバイスをくれる専門家へ健康データを共有しやすくなります。
また、健康データの自動集計機能により、健康経営優良法人の取得申請に必要なデータの集計作業を削減できます。結果として、スムーズな申請作業が可能です。
ただし、両者を併用することで効率よく健康経営に取り組むための、長期的なトータル費用削減が期待できます。
健康経営コンサルティングに依頼する流れ
健康経営コンサルティングに依頼する流れの例は、以下の通りです。
- 現状整理
- 目的・KPIの明確化
- コンサルティング内容の決定
- 組織体制の構築
- 健康経営宣言・サポート開始
- 効果検証
まずは従業員の健康データを活用し現状を可視化し正確に把握するために、健康診断結果・ストレスチェックの実施結果・労働時間などExcelや紙で管理されがちな内容をデータ化し現状を整理したうえで目的・KPIを明確にします。
健康経営の推進において、どういった組織体制でやるのか、推進していく際の計画はどうするのか、何をどういった優先順位で取り組んでいくのか、取り組みに対する評価・改善はどう実施していくのかなどを考え始める前に、そもそも健康経営を推進していく目標・目的をはっきりさせると同時にそこに対して従業員の理解をえることが重要です。
従業員だけでなく人事・労務労務担当者や産業医をはじめとする産業保健スタッフも関与します。
あらゆる人が関与するからこそ、組織の健康課題を正確に把握することができる環境を作り、その環境を有効的に活用し健康経営を推進していく必要があります。
健康経営コンサルティングでは、健康経営に取り組み始める際や取り組む過程において課題になりやすい出来事に対して支援し、共に実行・改善・効果検証を繰り返します。
なお、上記はあくまで一例ですので、詳細な流れはサービス提供企業にお問い合わせください。
健康経営コンサルティングの導入検討時によくある3つの質問と回答
健康経営コンサルティングの導入検討時によくある質問は、以下の3つです。
- 健康経営コンサルティングに依頼する際の費用は?
- 健康経営優良法人の対策に関しての相談はできるもの?
- 健康経営コンサルティングを活用することのメリットは?
それでは、ひとつずつ回答します。
【質問1】健康経営コンサルティングに依頼する際の費用は?
健康経営コンサルティングの利用料金は、サービス提供会社によって異なります。個別見積もりの場合もあるため、気になるサービスがあれば問い合わせてみるのがおすすめです。
また、費用だけで判断するのではなく、自社に必要なサービスはあるのか、導入・運用支援サポートは充実しているのかなど、サービス内容も含めて総合的に判断するようにしましょう。
【質問2】健康経営優良法人の対策に関しての相談はできるもの?
健康経営コンサルティングに対して、健康経営優良法人の対策に関する相談は企業毎に若干異なるため個別で問い合わせて見るのがおすすめです。ただし、相談後の戦略・施策については、実際に健康経営優良法人の認定をサポートした実績や事例が重要です。
たとえば健康管理システムCarelyでは、支援している企業のなかで「健康経営優良法人2022」の認定を受けた企業が44社あります。
そのため、豊富な支援実績から培った知見や考察をもとにアドバイスすることが可能です。
健康管理システムCarelyでは、健康経営優良法人の現状や取得時の障壁を解説した「健康経営優良法人完全攻略ガイド」を無料配布しています。
健康経営優良法人の取得に向けて、今すぐ申請準備を進めたい方は以下から資料をダウンロードのうえご活用ください!
【質問3】健康経営コンサルティングを活用することのメリットは?
健康経営コンサルティングを活用するメリットには、人事・労務労務担当者や産業医をはじめとする産業保健スタッフが抱える不安を解消し、その道のプロからの支援を受けることで取り組む道筋を得ることができる点にあります。
健康経営を実現したいものの、
- 何から始めたら良いのかわからない
- 経営層の理解を得られない
- 従業員からの理解を得づらい
- 持続していくためのあるべき状態が分からない
など優良法人認定の有無に関わらず悩む企業も少なくありません。
健康経営コンサルティングは、豊富な経験をもとに健康課題を可視化し健康経営を推進してくれる存在です。
自社の取り組みだけだと不安がある人は、この機会に経営コンサルティングの利用を検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ:健康経営コンサルティングを活用して、社員の健康づくりを支援しよう
今回は、健康経営コンサルティングについて解説しました。ここで、本記事の内容をまとめます。
■健康経営コンサルティングを活用する4つの効果
- Excel・紙・PDF など煩雑になっている健康情報を一元化し可視化を実現
- 産業保健職をはじめ専門家による組織の健康データを活用したアプローチを実現
- クラウドシステムの活用により対応工数の削減・負担軽減
- 社内で取り組みに対して理解を得られやすい講義・研修の実施が可能
健康経営に取り組むことで、企業価値や業績の向上が期待できます。そのため、健康経営の実践を「将来的な収益増加につなげるための企業投資」と考える企業も多いです。
もしも健康経営優良法人の取得に向けて申請準備を進めたい方は、以下から資料をダウンロードのうえご活用ください!