「健康経営に取り組んでいるけれど、なかなか成果が現れない」「施策をブラッシュアップしたいが、結局前年度の踏襲になってしまう」こうした悩みや疑問を抱える企業は少なくありません。実は、健康経営を成功に導くカギは年間計画の策定にあります。適切な年間計画を通じて、経営層と健康経営推進担当者が目標や方針を共有し、一体となって取り組むことが重要です。特に、健康経営優良法人の認定申請後や、年度末に年間計画を立てる時期は、これまでの成果を振り返り、次年度の具体的な目標や施策を明確にする絶好の機会です。本記事では、健康経営の年間計画の立て方や流れ、時期別に取り組む具体的な内容をご紹介します。▼本記事の対象者対象者:健康経営をすでに取り組んでいる企業読むべきタイミング:健康経営優良法人の申請後、または年度末の年間計画を立てる時期なお、健康経営を効果的に推進する方法として、外部の専門サービスを活用するのも効果的です。健康経営を成功させるためには年間計画がカギ健康経営の取り組みに際して、「なかなか成果が見えない」や「健康経営が進んでいる実感が得られない」と悩む企業も多いでしょう。健康経営の成果が表れている企業は、経営層と推進担当者が健康経営の目標や課題を共通認識として持ち、お互いの目線を合わせながら取り組んでいます。反対に、健康経営の成果がなかなか現れない企業には、経営者と推進担当者の認識のズレや、取り組み方への姿勢の違いなどが見られるため、成果が現れにくい傾向にあります。経営層と推進担当者の目線や行動が合わない理由は、以下のとおりです。経営層も推進担当者も健康経営に積極的だが、従業員には施策の押し付けに感じられてしまう健康経営を推進したい経営層と、健康経営を「やらされている」と感じる推進担当者の間に温度差がある推進担当者は熱心だが、短期間で成果がでないため経営層の関心が薄れてしまう▼経営者と推進担当者の目線が合わない状態経営層と推進担当者が目線を合わせ、健康経営を成功させるためには以下の可視化が非常に重要です。年間計画指標(KPI)リソース管理(ヒト・モノ・カネ)健康経営の年間計画を策定することで、計画内容や進捗状況を一目で確認でき、担当者と経営層が進捗を共有しながら進められます。そのため、認識や取り組みのズレを防ぎ、健康経営をより効果的に推進することが可能です。今回は、上記のうち健康経営における年間計画の流れについて詳しく解説します。なお、健康経営を成功させるにあたり基本的な情報を押さえておくことは重要です。「健康経営の基礎を再確認したい」という方は、以下の記事もご覧ください。【記事】【初心者向け】健康経営とは?始める前に押さえておきたい基本情報まとめ健康経営計画を作成する際に押さえるべき2つの時期健康経営の計画を作るにあたってポイントとなるのが、次の2つの時期です。健康経営優良法人の申請時期(8~10月)次年度の予算の策定時期(10~12月)詳しく解説します。健康経営優良法人の申請時期:8~10月健康経営優良法人の認定申請は毎年8〜10月に行われるため、10月までに申請を完了しなければ、当年度の認定を受けられません。申請内容は、前年度に実施した健康経営の取り組みが対象となります。たとえば、2024年度の認定を目指す場合、2023年度に実施した健康経営の取り組みや健康データの分析を2024年の10月までに完了させる必要があります。そのため、推進担当者は、8〜10月の認定申請がスムーズに完了できる年間計画を立てることが重要です。また、健康経営優良法人の申請にあたり、健康経営度調査票の変更点を把握しておくことも大切です。以下の記事では令和6年度の変更点について詳しく解説しています。ぜひご覧ください。【記事】最新!健康経営度調査票の変更点と知っておきたい情報3選次年度の予算策定時期:10~12月健康経営推進に対する施策の稟議案の社内調整は、10〜12月までに完了しておくことが望ましいです。たとえば、会社の決算が3月の場合、次年度の健康経営に関する稟議は遅くとも1月までに確定されます。この時期までに稟議案を社内で調整しておかなければ、次年度の施策に関わる人員配置や、外部委託サービスの発注などに関する予算が確保できず、十分な施策が難しくなります。健康経営の推進担当者は、12月までに稟議案の社内調整を完了させることを意識して準備しましょう。健康経営の年間計画の具体的な流れここでは、健康経営の年間計画における具体的な流れと、各時期に企業が行う準備や取り組みの内容について紹介します。▼健康経営における年間計画のモデルケース※上記図は、健康経営優良法人における申請で、3月決算企業を想定した年間計画のモデルケース健康施策の施行:4~12月企業における健康施策の実施期間は、主に4月~12月です。健康経営においては以下の2つをを組み合わせることが重要です。法令遵守のための施策従業員の健康意識を高めるための施策特に、健康経営優良法人の認定においては、法令遵守を目的とした施策が重要視されます。【法令遵守のための施策】法令遵守のための施策は、就労により従業員が健康を損なったり、生命の危険に晒されたりすることを防ぐため、企業は必ず策定・実施しなければなりません。企業が遵守するべき法令は、労働安全衛生法や労働契約法、労働施策総合推進法などが含まれます。以下は、法令を遵守した施策の一例です。▼法令を遵守した施策例健康診断やストレスチェックの施行(労働安全衛生法第66条)健康診断後の就業判定と保健指導(労働安全衛生法第66条の4・第66条の7)長時間労働者への面談(労働安全衛生法第66条の8)産業医による職場巡視の定期実施(労働安全衛生規則第15条)仕事と治療の両立支援(労働安全衛生法第62条)仕事と育児の両立支援(育児・介護休業法)健康経営優良法人認定において、法令遵守は必須項目です。法令に基づいた施策が適切に実施されているか、抜けや漏れがないかを早めに確認しておきましょう。【従業員の健康意識を高めるための施策】従業員の健康意識を高めるための施策は、従業員の健康維持やワークエンゲイジメントの向上を目的として実施されるものです。上記の法令遵守レベルの健康管理と連動させて実施することで、従業員の参加率の向上や健康意識の醸成にもつながります。具体的な施策例は次のとおりです。▼健康促進の施策例管理職を対象としたヘルスリテラシー研修運動習慣の促進、睡眠セミナーなど生産性向上のための施策更年期セミナーなど女性特有の健康課題への施策高齢者向けの健康管理サポートの提供など健康維持・増進の施策たとえば、管理職を対象としたヘルスリテラシー研修は、管理職が健康に関する知識や対応力を習得することで、従業員の不調にいち早く気づき、適切な対応ができるようになります。また、管理職が従業員の健康に配慮することは、従業員の仕事へのモチベーションやワークエンゲイジメントを向上させ、企業全体の健康や業績にもプラスの影響を与えます。このように、法令遵守の施策を基盤にしながら、従業員の健康意識を高めるための施策を組み合わせることで、効果的に健康経営を推進することが可能です。従業員のワークエンゲイジメントを高める施策は、企業の生産性の向上や職場の士気にも大きく影響するため、健康経営推進には欠かせません。以下の記事では、従業員のワークエンゲイジメントの高め方や評価方法について解説していますので、ぜひご覧ください。【記事】健康指標として見るワーク・エンゲイジメントとは?生産性・採用力強化のために健康施策の効果分析:10~翌年3月健康施策の効果を次年度の計画に反映させるには、10月頃からデータ集計や効果分析を開始することが重要です。健康施策の分析を10月頃から開始する理由は、次の2つがあります。施策の分析時間の確保経営層への社内報告の準備データの集計や効果分析には多くの工程や時間を費やすため、余裕を持った準備が大切です。健康経営に関する効果分析を経営層に社内報告する流れは、以下のとおりです。①健康管理の実務者が、健康診断結果や休職要因などの健康データを集計し、匿名化②健康経営の推進担当者が、集計した健康データをもとに効果指標やスコアとして計算③経営層の会議で施策の成果を評価▼健康経営に関する効果分析を社内報告する流れ令和6年度の健康経営度調査票からは、施策の成果や従業員の健康状態を具体的な数値で開示することが求められるようになり、効果測定がより複雑化しています。正確で詳細な効果検証を行うためにも、分析作業は余裕を持って取り組みましょう。また、健康経営の分析結果は、実施した健康施策がどのようなリターン(生産性向上、従業員確保率の改善、医療費削減など)をもたらしたかを確認するための重要な指標です。この分析結果をもとに、次年度の健康経営に必要な予算や計画が決定されます。したがって、次年度の健康経営の質をさらに高めるには、計画的な準備がカギといえます。年度内のうちに健康施策の効果測定と分析を完了させ、経営層への報告をスムーズに行えるよう準備しましょう。なお、健康経営の効果測定を行うには、数値目標(KPI)の設定が必要不可欠です。以下の記事では健康経営の数値目標について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。【記事】効果が実感できない健康経営。指標の建て方を優良法人事例から学ぶ次年度の健康経営方針策定:(翌年1~3月)1~3月は次年度の健康経営の年間方針策定や、重要施策の予算稟議を提出する時期です。そのため、健康経営の推進担当者はこの期間中に社内調整を済ませておくことが重要です。このタイミングを逃すと例年どおりの予算で施策を進めることになるため、新たな施策や人員補充が困難になります。たとえば、次年度から従業員のメンタルヘルス支援に関する新たな施策を計画していても、予算不足で施策が見送りになったり、カウンセラーの増員ができなかったりすることも考えられます。健康経営の推進担当者は、1〜3月のうちに必要な社内調整を行い、次年度の健康経営に向けた準備を万全に整えておきましょう。 外部委託・サービスの発注:(翌年1~3月)1月~3月は健康経営施策の推進に必要な外部委託・サービスを発注する時期でもあります。先述のとおり、この時期に経営方針を策定し翌年度の予算が確定するため、それに基づいて発注を行います。健康経営の施策や運用管理、効果計測などを社内だけで行うのは困難です。外部委託や専門サービスを活用すると、専門的な知見を取り入れつつ、社内の負担も軽減し、効率よく健康経営を推進できます。健康経営を計画的に推進するには外部サービスの活用が有効効果的な健康経営を実現するには、単に年間計画を立てるだけでは不十分です。最も重要なのは、経営層と推進者担当者が計画の進捗状況を確認し、目線を合わせて施策に取り組むことです。しかし、企業によっては健康施策を実施しても、期待する成果が現れないことも少なくありません。たとえば、3年以上健康経営に取り組んでいても成果が現れない場合、健康施策以前の現状把握や課題整理を誤っている可能性があります。この問題を解消するには、外部の専門的なサービスの活用が効果的です。たとえば、Carelyの導入は健康経営の課題解決に役立ちます。実際にCarelyを導入した田村駒株式会社では、導入から約1年半で健康経営優良法人を取得することに成功しました。▼Carelyを導入した田村駒株式会社の取り組み一例【Carelyの導入前】健康診断のデータを紙で管理していた自分たちだけではどのように健康経営を推進したらよいかわからなかった【Carely導入後の取り組み】健康データを一元管理専門職サポート支援を通じて、業務整備を実施健康経営コンサルティングの助言を受け、健康セミナーや動画セミナーを開催保健師と仕事環境や働き方に関するアンケートを実施し、リフレッシュコーナーを設置関連記事:【導入事例】取り組み開始から1年半で健康経営優良法人を取得。 Carelyと作り上げた持続可能な健康経営の土台づくり外部サービスを取り入れることで、専門家の正確な現状分析や適切な課題設定が可能となり、効果的な健康経営推進が期待できます。Carelyは健康管理クラウドと専門家サービスの両方から、企業の体制構築やコンサルティングなどを通じて、健康経営を伴走支援します。Carelyの支援が可能な領域は以下のとおりです。▼Carelyのコンサルティングで支援可能な領域また、ホワイト500を目指す企業向けに、中期年間計画の策定や戦略マップの作成補助などの支援も行っています。▼ホワイト500取得に向けた3カ年計画のモデルケース健康経営を計画的に推進させるために、外部サービスの活用も検討してみてはいかがでしょうか。Carelyの詳細は以下よりご確認ください。