健康保険組合って知ってる? 知ってるようで意外と知らない健康保険の仕組み

2019.9.5 更新 / 2019.9.5 公開
健康診断の効率化
健康保険組合とは?

普段からお世話になっている保険診療ですが、日本の健康保険の仕組みについて深く考えたことはありますか?今では一人一枚の保険証を持っていますが、実はこれ、昔の日本では当たり前ではなかったんです。

日本の健康保険組合と医療保険制度

WHO(世界保健機関)が「世界一」とまで言った日本の医療制度。その日本の医療の現場では、健康保険組合の役割が非常に大きなものになっています。この健康保険組合を知るために、日本の医療保険制度が現在のようになるまでの道のりを軽くおさらいしておきます。

健康保険の誕生

現在の日本では国民皆保険となっていますが、最初から国民皆保険だったわけではありません。

日本で最初の健康保険は、下記のように特定の人だけを対象にしたものでした。
1922年(大正11年):工場などの労働者を対象とした健康保険法が制定される。
1927年(昭和 2年):上記のブルーカラーの労働者「本人」向けの健康保険が施行される。

昭和になってからは大企業や役人などを対象にしたものはありましたが、その一方で多くの国民は無保険という状態でした。

1958年(昭和33年)になって現行の国民健康保険法が制定され、その後、1961年(昭和36年)4月に国民皆保険の体制が整いました。これによって、みんなが健康保険料を納め、誰もが健康保険を享受できる体制となりました。

現代の健康保険

現代の日本は、ご存じのように国民皆保険の社会です。相互扶助の精神で、みんなが収入などに応じた保険料を出し合い、医療が必要になったときに高額な自己負担をせずに医療保険を享受できるようになっています。実際に医療を受けた時には、保険から病院などに医療費が支払われる仕組みになっています。

世界最高レベルの日本の医療保険、その特徴は4つ!

2000年にはWHOから日本の医療制度は世界一と評価されました。世界最高レベルとも言われる日本の医療水準を享受している私たちですが、海外旅行をして医療費の違いにがく然としたことはありませんか。(注1、これに関しては海外療養費制度があります。)海外での突発的な医療費の支払時などに、みなさんも健康保険証のありがたさを痛感したことと思います。

さて、日本の医療制度が世界一といわれるのには理由があるのですが、日本の医療制度の大きな4つの特徴はご存じでしょうか。

特徴その1 国民皆保険

「国民全員を公的な医療保険で保障している」のは今では当たり前のことですが、昔は違いましたよね。この、誰でも医療保険で保障されているということは、安定した生活にもつながっています。

特徴その2 フリーアクセス

これは、日本が世界に誇れるものだと思います。誰でも自由に好きな医療機関を選べるフリーアクセスは、日本ならではの制度でしょう。自分や家族が医療機関を受診するときに、その医療機関の評判を調べる人も多いようですが、これはフリーアクセスならではの特徴です。

特徴その3 高度な医療を手軽な医療費で受けられる

相互扶助の精神の下で普段から保険料を支払っているので、いざという時に高額の出費を必要としません。健康保険組合に毎月支払っている保険料に助けられていることは日常生活ではあまり実感できていないかもしれませんが、心身の不調の時に高額な支払いをしなくて済むことはとてもありがたいことです。

特徴その4 財源は社会保険方式 + 公費で成り立っている

日本の社会保障の財源となっているのは、保険料のみではありません。基本は、社会保険方式ですが国民皆保険を維持するために公費も投入されています。

このような4つの特徴の下、日本は世界でも有数のレベルの平均寿命を誇り、高度な医療水準を保っているのです。

日本の医療制度には大きな4つの特徴があることをお話ししましたが、これらの特徴を活かすのは国の政策だけではなく、健康保険組合の力による部分も大きいのです。

注1:海外療養費制度とは

海外旅行中や海外赴任中に、現地で急な体調不良やケガなどでやむを得ず現地の医療機関で医療行為を受けた場合に、申請により一部医療費の払い戻しを受けられる制度です。海外療養費の支給の対象になるのは、日本国内で保険診療とされている医療行為に限定されます。日本で自由診療の扱いになっているものに関しては対象となりません。また、日本国内で保険が適用されない薬剤の使用に関しても対象外です。

健康保険組合は日本における国民皆保険制度の重要な役割を担っているのですが、国からの認可を受けた健康保険組合は単一の企業による単一健康保険組合、同じ業界内の複数の企業による総合健康保険組合に分かれます。

ちなみに、健康保険法国民健康保険法では名前は似ていますが違う法律で、健康保険組合と国民健康保険組合も別ものです。

健康保険組合とは

企業に勤めている労働者が加入できます。
社員数が700人以上なら国の認可を受けてその会社単独で健康保険組合を設立できることになっていて、このような健康保険組合を単一健康保険組合と呼びます。社員数が合計して3,000人以上になるなら、同業種のいくつかの企業が一緒に健康保険組合を作ることもできます。このような健康保険組合は総合健康保険組合と呼びます。

健康保険組合が独自に行っているもの

その1. 付加給付

法律で決められた給付(法定給付)に追加する形で、健康保険組合では独自の給付(付加給付)を行うことができます。健康保険組合ごとに財政の状況や考え方が違うので、健康保険組合が行う付加給付の内容は実にさまざまなものがあります。

その2. 独自の運営

健康保険組合には適正とされる人数に決まりがあるので、その組合にあった細やかな対応をすることが可能です。例えば、制限はありますが、法律の範囲内であればそれぞれの健康保険組合が保険料を決めることもできます。また、健康保険組合では、その組合にあった健康づくりへの事業などを積極的に推進できます。企業と協同で行うコラボヘルスなどもこれに該当します。話題の健康経営にも関連する部分がありますので、押さえておきたいポイントです。

健康保険組合の目的とは

企業に勤める労働者と事業者の相互扶助で成立している健康保険組合ですが、業務内容で分けると主なものは2つあります。

保険給付事業

その健康保険組合に加入している被保険者やその被保険者の扶養している家族に対して、病院などで保険診療を受けた時に医療費を負担、給付金を支給するものです。

保健事業

その健康保険組合に加入している被保険者やその被保険者の扶養している家族に対して、健康の保持と増進をはかるものです。

この2つのメイン業務からもわかるように、健康保険組合は「加入している被保険者とその家族」に対しての事業を行っています。

健康保険組合の運営

健康保険組合は組織として保健事業を行っていますが、この組織には労働者の代表と事業者の代表の両方が含まれています。彼らが健康保険組合の組織の運営に参加することで、実態に合わせたきめ細かいサービスの提供ができているのです。

健康保険組合の数

平成26年の厚生労働省の発表によると、健康保険組合に加入しているのは大きな企業のサラリーマンを中心に全国で3,000万人ほどいます。保険者数は約1,410ありそれぞれが独自の運営をしています。

健康保険組合の保険料

健康保険組合は、それぞれの健康保険組合ごとに独自に運営されているのですが、保険料に関しても法律の範囲内であれば独自に保険料率を決めることができます。厚生労働省の発表によると、平成26年度の平均で健康保険組合の保険料率は8.86パーセントです。同時に発表された健康保険組合の保険料率の最低は4.8パーセント、最高は12.1パーセントでしたから、それぞれの健康保険組合の財政状況によって被用者の負担が大きく違うことが分かります。

ちなみに、協会けんぽの場合は、都道府県の支部別に保険料率を決めることになっていますが、平成22年度9.34パーセント、平成23年度9.50パーセント、平成24年度10.0パーセントで保険料率が大幅に上がっていることが分かります。平成25年度、26年度に関しては据え置きになっています。

健康保険組合の財政

先ほどお話ししたように、健康保険組合の運営はその健康保険組合ごとに独自で行われていますが、法律の規定が及ばないわけではありません。ここまでのお話しの中ですと、保険料率は健康保険組合ごとに「法律の範囲内」で独自に決められているとお伝えしました。(健康保険組合の保険料率は1,000分の30から1,000分の130の範囲で、それぞれの健康保険組合が独自に決められます。保険料率の詳細については、健康保険法第160条をご確認ください。詳細な規定が分かります。)

健康保険組合は独自に運営されているわけですが、その会計年度に関しては法律(健康保険法施行令)に規定があり、基本的に4月1日から3月31日までの1年間を一の会計年度として扱います。

健康保険組合連合会が発表した「平成 27 年度健保組合予算早期集計結果の概要(PDF)」によると、財政が赤字状態の健康保険組合が約7割もあるそうですが、赤字を黒字に転換するために保険料率をあげた健康保険組合もありますので、この数字だけで結論を出すのは早計かもしれません。
健康保険組合連合会が平成27年4月に発表した資料によると、保険料率を上げた組合は全組合数の約2割あったそうです。また、高齢者医療制度創設以降の8年間での累計赤字額は2兆5,000億円以上あったとのことでした。ちなみに、財政状況が赤字の健康保険組合は945組合で、健康保険組合全体の約7割が赤字に陥っているそうです。

では、健康保険組合はどこも似たようなものなのか?と思ってしまいますが、もちろん評判の良い健康保険組合もあります。

では、次に評判の良い健康保険組合についてお話ししたいと思います。

健康保険には何種類かの保険者があります。
下の図にもありますが、市町村国保、協会けんぽ、組合健保、共済組合、後期高齢者医療制度などです。その中でも、今回注目したいのは健康保険組合です。

各保険者の比較
厚生労働省 我が国の医療制度の概要(PDF)より (一部加筆)

評判の良い健康保険組合

健康保険組合の財政の状況を考えるには、その収入だけではなく支出も考えなければなりません。健康保険組合の財政に関連していそうな支出にはどのようなものがあるのか?というのが気になりますので、少々古い資料ですが、厚生労働省の資料をご覧ください。

財政状況
厚生労働省保険局 健康保険組合について(PDF) より (一部加筆)

近年の高齢化を考えると、黄緑色でマークした高齢者拠出金の割合が大幅に減ってきているとは思えませんので、十分参考になるのではないでしょうか。

このグラフと最近の急速な高齢化の流れから考えると、健康保険組合の財政の状況が年々苦しいものになってきていることが想像できます。

そんな中でも評判が良いのが、関東ITソフトウェア健康保険組合です。
関東ITソフトウェア健康保険組合は、評判も良いのですがその理由は下記のものと考えられます。

その1. 安い保険料

一般保険・介護保険料が協会けんぽと比べて安くなります。これは、事業主・被保険者共に安くなるので大きなメリットです。

保険料率
関東ITソフトウェア健康保険組合サイトデータより作成

その2. 独自の保険事業

健康診断はもちろんのことですが、内容が充実した保養施設やイベントなど盛りだくさんです。

その3. 付加金の給付

法定給付以上の給付、つまり政府管掌保健である協会けんぽにはない健康保険組合ならではの独自の給付が追加でされます。

事業主やその企業で雇用される人にとって健康保険料が下がるのは非常に魅力的ですよね。

企業は健康保険組合を選べる

一般的に企業の設立当初は協会けんぽへの加入が非常に多いのですが、一定の条件をクリアすれば企業は加入する健康保険組合を選ぶことができます。

先ほどお話しした関東ITソフトウェア健康保険組合では、一定の基準をクリアした企業であれば加入できる制度が用意されています。詳細な加入基準や加入の申し出に関する最新の情報は関東ITソフトウェア健康保険組合のサイトをご確認いただきたいのですが、探してみると他にも法人加入できる健康保険組合があることが分かります。いくつか組合名を挙げておきますので、内容をご確認ください。

もちろん他にもいくつもありますが、総合型健康保険組合であれば似たような制度があるとお考えいただければと思います。

さいごに

企業の設立時に加入した健康保険でも、十分な役目を果たしてくれることでしょう。しかし、必要に応じて、企業として加入する健康保険組合を検討してみてください。その際にはメリットだけではなく、財務状況なども必ずご確認ください。

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