復職に必要な「業務遂行性」3つのチェックポイント

2020年5月18日 更新 / 2019年9月18日 公開
休職・復職にムリなく対応
復職の業務遂行性は産業医が判断

心の健康問題により休職となった従業員の職場復帰を図ることは、健康を維持することで生産性を向上するという健康経営においても重要なことです。しかし企業はボランティアではなくビジネスです。復職後、業務を遂行することができなければ、企業にとってはマイナスとなってしまいます。復職にあたり、重要な指標となる「業務遂行性」。今回はこのテーマを解説していきます。

業務遂行性とは

休職中の従業員が復職するためには、業務遂行性が求められます。では業務遂行性とはなんでしょうか。
一般的に業務遂行性とは「労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態のこと」を言い、業務起因性と合わせて、労災保険の業務上災害における基本的な認定基準の一つとして用いられます。

休職や復職の際に用いられる業務遂行性は少し意味合いが違います。復職時に業務遂行性を確認する際は、「仕事を行う上で、集中力が維持できるのか、判断力は従前と変わらないのか、内服薬での副作用による影響はどうか、病気の後遺症による影響はどうか」という意味で用います。この業務遂行性があるかないかが、復職できるかどうかを判断する際に重要となるのです。

他にも、復職の可否を判断する際は業務遂行性に加え、以下の5つの基準をクリアする必要があります。

業務遂行性は、5つ目の適応力があるかないかを見極めるときに指標とします。

社員の復職が可能と判断する5つの基準

人事が復職を判断する基準について、詳しくはこちらを参照してください。【産業医が教える】人事が復職を判断できる5つの基準

復職の業務遂行性は産業医が判断

職場復帰にあたり、業務遂行性の有無は医師が医学的な考え方をもとに判断する必要があります。ここで間違えやすいのが、「主治医が復職可と言っても復職決定ではない」ということです。

主治医と産業医による休職/復職の判断

主治医が判断するのは、あくまで睡眠障害の有無や食事欲の有無、外出意欲といった日常生活の部分です。そのため主治医が復職可能と判断しても、それがすぐに復職の判断に結びつくわけではありません。復職をするためには、日常生活に加え、コミュニケーション能力や業務遂行性を満たし、社会生活ができなければなりません。業務遂行性があるか、そして復職が可能かどうかは、主治医が復職可と判断した後、産業医が判断する必要があります。そして産業医の判断を参考にし、会社(=事業主)が復職を決定したら、初めて復職できるのです。

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復職の業務遂行性チェックポイント3つ

業務遂行性を判断するのは医師ですが、実際に復職を決定するのは会社側です。人事スタッフや管理職も、業務遂行性を判断するためのポイントを知っておくと、復職支援に生かせるでしょう。

ポイント1:業種、部署の特徴を踏まえて判断する

会社の業種や所属部署により、デスクワークの人もいれば、外勤が多い人もいる、また頭脳労働の人もいれば、肉体労働の人もいるでしょう。働き方は多岐にわたります。復帰後、職場でどのような業務の遂行を求められるかも加味して復職の判断を行わなければなりません。そのため、会社のことを知らない主治医ではなく、会社の業務も知っている産業医の判断が必要になるのです。つまり産業医は会社の特徴・業務内容を知ることで、職場で求められ業務遂行性も考慮して復職可否の判断をすることが職務内容に含まれるといえます。

基本的には、以前所属していた部署への復帰が原則です。新しい環境へ適応するには、ある程度の時間と心理的負担を要するため、そのことが原因で疾病が再燃しないとも限らないからです。しかし、休職の原因が以前所属していた部署内にある場合や疾病次第では、以前所属していた部署での業務が難しいと考えられるため、他の部署への配置転換や担当業務の変更も考慮していく必要があります。

ポイント2:復帰直後は70%くらいの仕事でよい

まずここで言う100%の業務とは、休職前に従事していた業務量、業務内容を指します。もちろん復帰直後から100%の業務を行えることがベストではありますが、体調が回復したとはいえ、治療しながら働く場合や、ブランクが長い場合は、なかなか難しいですよね。

復帰直後から従前の業務が遂行できないからといって、業務遂行性がないとは限りません。業務は行っていく中で、従前の業務が遂行できるようになれば問題ありません。そのために、復職後の業務計画(=復職支援プラン)を立てるのです。

復職支援プランは上司と本人(+人事)で話し合い、作りましょう。目安としては最初の1~2カ月はルーチン業務を中心に、休職前の業務の半分以下の業務密度にし、復職後3カ月目くらいでイレギュラー業務(電話や社内のお話し合い業務)を少しずつ増やし、半年~1年くらいで従前の業務遂行ができるような計画を立てましょう。

ポイント3:就業上の措置があれば働けるのか判断する

復職の可否判断の際は、業務遂行性を踏まえ以下の3つのどれに該当するかを検討します。

  1. 以前の条件のまま業務が可能なのか
  2. 何らかの就業上の措置(=就業制限)が必要
    例)時短勤務、残業禁止、外勤禁止、フレックスの使用
  3. 許容できる措置範囲内での業務遂行は難しい

1の場合はもちろん復職可能です。
2の場合は、始めから以前と同じようなペースでの仕事は難しいが、少しずつ行えばいずれ以前と同じように働けることが見込まれている場合に適応します。就業上の措置に少し条件をつけることで、復職は可能とみなされます。
3の場合は残念ながら復職が厳しくなります。後遺症が残る場合や、専門職や高度な技術を求められる職種の場合は、復職したくても会社側が求める業務を行うことが難しい場合もあります。そのような場合は、さらに休職を延長にした場合に推測される疾病性の改善度合い、業務起因性がなかったのか、他の出来る業務はないのか、自然退職を検討するのかといったことを事業主側と本人、専門家で判断することになります。

さいごに

業務を遂行できるかどうかは、「実際働いてもらわないと分からない」というのが本音かもしれません。しかしメンタルヘルス疾患は繰り返しやすく、無理な復職をすると再休職のリスクが格段に上がってしまいます。会社側にとっても、休職者にとっても無理なく復職するために、業務遂行性をしっかり見極めて復職を判断するようにしましょう。

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