【57.23.80項目】それぞれのストレスチェックの項目違いは?どれを選ぶのが良いのか

2021年3月25日 更新 / 2021年3月25日 公開
ストレスチェックで組織改善

労働者のメンタルヘルス不調を予防するため、50名以上が所属する事業所ではストレスチェックを実施するよう義務付けられています。このとき、ストレスチェックの調査票を使用しますが、57項目、23項目、80項目など、項目数に違いがあることをご存知でしょうか。

今回の記事では、ストレスチェックの項目の違いについて詳しく解説します。「ストレスチェックでどのような質問票を使えば良いのか」「項目数の追加や削除は可能なのか」ということに関しても説明しますので、ぜひご一読ください。

ストレスチェックの項目は3つに大別できる

ストレスチェックの項目に関しては、事業所でゼロから作成することも可能です。衛生委員会の調査審議や、実施者のアドバイスを参考にしながら、事業者が項目を決定していきます。

ストレスチェックの項目を作成する際には、以下の3つの領域を含めなくてはなりません。

  1. 仕事のストレス要因: 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
  2. 心身のストレス反応: 心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
  3. 周囲のサポート:職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目

参考:厚生労働省『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』

事業所で独自のストレスチェックを作成する際は、これらの3領域を含むことが前提であり、他の項目に関しても科学的な根拠をもとに選定する必要があります。

  • 職業性ストレス簡易調査票(57項目)
  • 職業性ストレス簡易調査票の簡略版(23項目)
  • 新職業性ストレス簡易調査票の短縮版(80項目)

ここでは、57項目、23項目、80項目のストレスチェックについて、それぞれの概要やメリット・デメリットを紹介します。

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ストレスチェック57項目

「ストレスチェック57項目」は、厚生労働省が推奨するベーシックな調査票です。5分程度ですぐに回答できるため、受検にかかる負担が少ないことがメリットといえます。

57項目中には、ストレスチェックに欠かせない3領域(仕事のストレス要因・心身のストレス反応・周囲のサポート)が含まれています。
ストレスチェック57項目を実施することで、事業所に関するネガティブな反応だけでなく、ポジティブな反応もくみ取ることができるでしょう。

ストレスチェックのなかでも特に大切な項目として、「仕事のストレス要因」が挙げられます。この項目にフォーカスして、部署比較・経年比較など、職場改善の有効な方法を見つけることが重要です。

労働者にとって働きやすい環境を作り上げるなら、単に高ストレス者を見つけ出すだけでなく、職場環境の改善に着手しなくてはなりません。そのような意味で、「仕事のストレス要因」は必ずチェックしておきたい項目といえるでしょう。

なお、さらに詳細な分析を行いたい場合は、基本となる57項目に加えて、独自の項目を追加する方法もあります。

ストレスチェック23項目

「ストレスチェック23項目」は、前述の57項目のものを簡略化した調査票です。もともとは中小企業向けに作られた簡易版ですが、ストレスチェックに必須の3領域を含んでおり、厚生労働省の定める基準は満たしています。
回答する項目数が少ないため、受検者の負担を抑えられることがメリットといえるでしょう。

ただし、ストレスチェック57項目・80項目よりも項目数が少ない分、調査から得られるデータは少なくなります。ストレス状態を細かく把握するには向いていないため、高ストレス者の面談指導に時間がかかるという点がデメリットです。
産業医との面談指導が長引けば、その分産業医への報酬が多くなることも理解しておきましょう。

また、ストレスチェックで収集するデータが少ないということは、集団分析の際に部署や年代など集団ごとの傾向が読み取りづらくなるということです。
そのため、ストレスチェックの結果を職場環境の改善につなげたいなら、23項目の簡易版だけでは不十分といえます。

労働者のストレス状態について詳細を調査・分析したい場合は、57項目・80項目の利用を検討してみてください。

なお、57項目と23項目のストレスチェックに関しては、「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」をダウンロードして利用することが可能です。

実施プログラムには、ストレスチェックに役立つ便利な機能がそろっています。機能の詳細は以下のとおりです。

  1. ストレスチェックを受検する機能(57項目と23項目の2種類)
  2. 労働者の受検状況を管理する機能
  3. 労働者の回答をもとに、自動で高ストレス者を判定する機能
  4. 個人のストレスチェック結果を出力する機能
  5. ストレスチェック結果を集団ごとに集計・分析する機能
  6. 集団ごとの集計・分析結果を出力する機能
  7. 労働基準監督署へ報告する情報を表示する機能
厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム『本プログラムについて

実施プログラムでは、57項目と23項目の2パターンを利用できますので、必要に応じてダウンロードしてみるとよいでしょう。

ストレスチェック80項目

「ストレスチェック80項目」は、3つのなかで最も新しい調査票です。前述した基本の57項目に加えて、新たな項目が追加されています。

80項目の設問により、ワークライフバランスが配慮されているか、人事評価が適切に行われているか、キャリア形成がしっかりと行われているかなど、より詳細な調査が可能です。

労働環境の改善だけでなく、「労働者の生産性を高めたい」「事業所のプラス面をさらに伸ばしたい」という場合には、80項目での調査が適しているでしょう。

ただし、57項目・23項目よりも設問が多いため、受検率の低さが課題となります。ストレスチェックの実施は事業所の義務とされますが、労働者に受検を強いることはできません。ストレスチェックは労働者の義務ではないことを理解したうえで、一人でも多くの労働者が受検できるように周知徹底することが大切です。

ストレスチェックの受検に抵抗がある労働者のなかには、「プライバシーが守られないかもしれない」「不利益な扱いをされるかもしれない」と不安を抱えている方もいるかもしれません。この場合、ストレスチェックの結果は実施者から本人に通知されること、労働者の同意がなければ事業者は結果を確認できないことを説明する必要があります。

離職率やワークエンゲージメントを集団分析によって計測するなら、80%以上の受検率が必要です。労働者の負担にも配慮しながら、安心して受検できる環境を整えていきましょう。

57項目、23項目、80項目どれがいい?

どのストレスチェックを選択すべきか迷う場合は、57項目から始めてみるとよいでしょう。57項目は多くの企業で採用されており、厚生労働省が推奨するベーシックな調査票です。そのため、まずは57項目からスタートして、ストレスチェックの結果をもとに集団分析を実施することをおすすめします。

ただし、事業所によっては57項目の設問ではデータ数が足りず、適切な分析が行えない可能性もあります。職場環境の可視化が足りない場合は、80項目の調査票を使用したり、独自の項目を増やしたりしてさらに詳しい分析を行ってください。

23項目は項目数が少ないため、中小企業であってもできれば避けたほうがよいでしょう。なぜなら、項目数を23項目から57問に途中で変更した場合、これまでの経年変化を追えなくなってしまうからです。

ストレスチェックをせっかく実施するなら、高ストレス者の判定を行うだけでなく、職場改善の具体策まで見出したいものです。一般的に事業所で使用されるのは57項目と80項目ですが、ストレスチェックの目的を正しく理解したうえで、事業所に適した項目数を選ぶことが重要だといえます。

ストレスチェック項目の追加で何か項目を追加(削除)できるのか

ここまで、ストレスチェックについて57項目、23項目、80項目の3種類を紹介しました。もし、「項目数を減らしたい」「独自の設問を追加したい」という場合には、事業所ごとの目的に合わせて、適宜項目の追加や削除が可能です。

ただし、一定の科学的根拠がなければ、ストレスチェックの設問として追加することはできません。実施者の意見を取り入れ、衛生委員会などで調査・審議を行うなど、設問として最適であるかを精査することも必要です。

また、ストレスチェックに「性格検査」や「適性検査」などを含めることはできません。
「希死念慮」や「自傷行為」などの項目に関しても、事業所で十分な対応を行うことが難しいため、チェック項目から外しておきましょう。

なお、項目の追加によって、以下のデメリットが想定されます。

  • ストレスチェックサービスを乗り換える際に、独自項目の経年変化を追うのが難しい
  • 項目のカスタマイズに追加費用がかかる

独自項目をどうしても設定したい場合は、別のサーベイサービスの利用を検討するとよいでしょう。

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まとめ

ストレスチェックの項目は3つに大別できますが、項目数が少ないほど収集できるデータも少なくなります。集団分析をしっかりと行い、職場環境の改善につなげるなら、23項目の調査票ではなく、57項目または80項目の調査票を利用するほうがよいでしょう。

ストレスチェックの設問が足りない場合は、事業所で追加も可能です。ただし、どのような設問でも追加できるわけではありません。追加に関するルールを事前に確認したうえで、適切に判断をしてください。

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