仕事ができない人に人事は?「大人の発達障害」が活躍する対応方法

2020.1.29 更新 / 2020.1.29 公開
ストレスチェックで組織改善

こんな社員いませんか?

仕事の期限を守らない、遅刻や無断欠勤が多い、一旦集中すると話しかけても反応しない、整理整頓ができない、場の空気を読めない…

最近、こういった問題行動を取る社員が増えてきており、そんな社員に困る同僚や上司がとても多くなっています。

その背景には、「大人の発達障害」というものがある場合があります。しかし、問題行動は社員の性格上の問題で、会社が対処するものではないのでは?と感じることもあるかもしれません。

困った社員に対して、どこから人事が動かないといけないのか、どうして人事が対処しないといけないのか、労務管理としての対応方法をまとめました。

1.困った社員の原因に沿った対処方法

原因① 個人の生活リズムや性格

遅刻や無断欠勤、職場でボーっとするなどの問題行動は、本人の生活リズムの乱れや仕事に対する意識の問題がある可能性があります。

生活リズムは本人の問題なので、人事が対応する必要はありません。上司や同僚など周囲の社員にサポートをお願いします。生活上の出来事が原因にありそうな場合は、カウンセラーに繋いでもいいでしょう。

遅刻や無断欠勤に対しては、就業規則や評価制度に対応方法の基準を示しておくのが大切です。職務怠慢の場合、労働契約の不履行による解雇もありえますが、解雇には訴訟リスクや金銭的リスクがあります。リスクを避けるために、事前にペナルティの基準を決めておきましょう。

原因② メンタルヘルス不調や身体の病気

仕事のストレスや職場の問題が原因で、精神的な病気になっていることもあります。職場のパワハラや長時間労働などのストレスで、うつ病や不安障害を発症しているかもしれません。あるいは、腰痛や頭痛などの身体疾患で生産性が落ちているかもしれません。

心身の病気が原因のときは、企業の安全衛生管理上、対処が必要です。産業保健師や産業医は、ストレスチェックや健康診断の結果を見ることができるので、対応をお願いすると良いでしょう。

原因③ 「大人の発達障害」

周りを困らせる問題行動の背景には、その人が「大人の発達障害」という精神的な特徴をもっている可能性があります。発達障害の傾向があるときは、人事が中心となり周囲の従業員を巻き込みながら解決していく必要があります。

大人の発達障害を持っていると思われる人の特徴は、例えば次のようなものがあります。

  • せっかちでイライラしやすい
  • 約束時間を守れない、忘れ物が多い
  • 人と共感しない
  • 冗談やたとえ話がわからず字義通りに理解する
  • 急な予定変更に混乱する
  • 読み書きが苦手
      出典 https://www.icare.jpn.com/ichannel/adhd/#3

大人の発達障害の種類と特徴は、こちらのサイトをご参照ください。

リタリコー大人の発達障害による困りごとって何?症状や特徴とともに説明します

大人の発達障害は、周囲の対応によって本人の能力が開花することがあります。具体的な大人の発達障害への対応方法を次にご紹介します。あなたの会社でできそうなことを、ぜひ試してみてください。

2.大人の発達障害への対応ポイントは3つ

大人の発達障害は、周囲の工夫したいでスムーズに仕事ができるようになります。本人の得意不得意を見つけて、周りの社員たちが仕事の伝え方や内容を変えていきましょう。

人事の業務範囲内で直ぐにできる工夫もありますので、ぜひ次の3つポイントを実行してみてください。

①困った社員の特性に合った対応方法を身につける

大人の発達障害の傾向がある社員には、その人自身の特性に適した接し方、仕事のお願いの仕方があります。仕事しやすくなる方法を、周囲の社員が身につけることがカギです。

会社側としては、上司や同僚などの周りの社員に対して、発達障害の可能性も考えながら、困った社員への対応方法を伝えていきます。

発達障害の方と働くときに気を付けるポイントは、京都府の出している「発達障害者と共に働くガイドブック」が、とても役に立ちます。社員に配布してみても良いでしょう。
http://www.pref.kyoto.jp/jobpark/documents/honbunall.pdf

ガイドブックでは、具体的に以下の工夫が上げられています(一部抜粋)

日頃の業務の中で周りの人が少し気を付けるだけで、作業がスムーズに進むことがあります。

いくつかの工夫を試してみて、あなたの職場にいる困った社員にはどう接するのがよいのかを探ってみてください。

しかし、発達障害と決まったわけではないことや、問題の社員が発達障害者だという偏見を生んでしまう危険もあることに、注意しなれけばなりません。

「あいつ発達障害らしいよ…」などという差別が生まれ、問題の社員が辛い思いをしないように、注意が必要です。

社員に接し方をアドバイスするときは、発達障害の社員だけへの対応方法ではなく、幅広い層に当てはまることだと説明しましょう。新入社員や高齢社員へも使える工夫です。

上で紹介した京都府のガイドブックは、最初に管理者のみに配り、部下の困った行動への対処方法の参考にしてもらうのも良いです。徐々に、社員全員に広まるようにしていきます。突然社員全員に配ると、社員が不思議がるかもしれないからです。

②本人の得意な業務を見つけて、配置転換をする

困った社員が得意な作業を見つけて、力を発揮できるような仕事を割り振ります。発達障害の社員にも、得意な作業や仕事があります。本人に合った仕事をお願いすることで、本人もイキイキ働けますし、会社への貢献も生まれます。

職場で起こりそうな問題や苦手なことに対して、どのような仕事が得意なことが多いかを、次の表にまとめました。

あくまでこれは一例で、個人によって何が得意かは変わってきます。本人や上司、同僚に話を聞きながら、本人の能力を最大限に活かせる作業をお願いしてみてください。

表1.個人の特性を踏まえた配置転換の例

苦手な作業得意な仕事
・相手の意図を察するのが苦手
・場の空気を読めない
・対人交渉が重要でない仕事 
・例) プログラミング、データ解析など
・興味・関心が限定している
・1つのことに集中すると他のことができない
・ルーティンな作業をする仕事
・例) 軽作業や在庫管理、点検など
・複数の業務を並行できない
・関係者間の調整が苦手
・新しいことにチャレンジできる仕事
・例) 営業など

③産業保健スタッフに相談し、必要であれば受診を促す

発達障害かもしれないと迷ったときや、その社員への医学的・心理的支援が必要だと感じた時には、会社の保健師や産業医に相談してみてください。

社員の特性や対応方法について、医学的な面からアドバイスをもらえるかもしれません。専門家の意見を取り入れることで、現場の社員との連携もスムーズになります。

病院の受診を勧めるかどうかは、障害という診断をもらうメリットがあるのかどうかを判断する必要があります。本人の意向も確認しながら、医療機関の活用も検討してみましょう。

3.社員の多様性は今後ますます問題に

大人の発達障害だけでなく、対応に配慮が必要な社員は今後増えていきます。外国人労働者や高齢な従業員など、社員の多様化が進むからです。

個別に対応していくだけでは人事が対応しきれなくなりパンクしてしまいます。戦略的に個別対応を進めていくにはどうしたらいいか。大人の発達障害に限らず、いろんなタイプの社員に対応できる職場を作っていく、攻めの戦略が有効です。

①管理職・社員の柔軟性や対応力を上げる

管理監督者研修や新人研修などの機会を活用して、配慮が必要な社員に対してどう接すればよいのかを、幅広く教育していきます。発達障害傾向のある社員を含めて、様々なタイプの社員を想定します。

従業員の多様性は、「ダイバーシティ」や「インクルージョン」などのキーワードで多くの企業が注目しており、経団連もその重要性をアピールしています。(こちら)

管理職は、産業保健の流れだけでも

  • メンタルヘルス不調者へのラインケア
  • セクハラ・パワハラ防止
  • 治療と仕事の両立

など、いろいろな対応力が求められています。

すべてまとめて部下への柔軟な対応力を伸ばすことで、問題社員となる社員が減り、人事の負担が軽減されます。労働人口減少に負けない組織づくりのために、管理職の柔軟性を上げることが重要になってきます。

研修サービスやITシステムの導入を経営者に訴えるときは、これから従業員の多様性がどう変化するか、他の会社でのダイバーシティへの取り組み例を使っていくのも良いです。

東京商工会議所が出している「中小企業のためのダイバーシティ推進ガイドブック(こちら)」も参考にしてみてください。

②データから気になる社員を早く見つける

既存のデータを使って、発達障害の傾向や生産性の低下などの問題社員のサインを見つけます。早く見つけて対処することで、問題が大きくなるのを防ぎます。

ストレスチェックで高ストレス者の割合が高いところがあれば、パワハラや対人関係など、何か原因があるかもしれません。配慮の必要な社員は、ストレスを感じることも多く、メンタルヘルス不調になる可能性も高いです。

勤怠が乱れていたり成績が急に落ち込んだ従業員がいる場合、発達障害や健康問題など、何かのトラブルが起きている可能性があります。本人や部署の社員に様子を聞き、必要に応じて産業保健スタッフに繋ぎましょう。

③産業保健スタッフと連携する

発達障害やうつ病の雰囲気がある社員には、産業保健スタッフに声をかけてもらいましょう。医学的な面からアドバイスできますし、従業員としても情報保護の安心感があります。

企業側は健康データやプライベートな情報が見られませんが、保健師や産業医などの産業保健スタッフは詳しい情報を使ってアドバイスできます。

産業保健スタッフから気になる社員を報告してもらう基準や、報告後の対応方法も明確にします。①で挙げた管理者向けの研修を、産業保健スタッフに研修をしてもらうこともできます。

連携が上手くいかないときは、産業保健スタッフが対応方法について不安を感じているかもしれません。どのタイミングで気になる社員のことを人事に上げていいか分からない、伝えてしまうと社員に不利になるのではないか、などです。社内での連携環境を整えていきましょう。

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