予算はいくら?健康診断制度新設時に気になる費用のはなし

会社で健康診断制度を作る時、費用に関して気になりますよね。労働者が受診する健康診断の費用は誰が支払うのか? 人数が多ければ多いほど、金額も大きくなりますよね。今回は、そんな健康診断の費用のお話をします。
健康診断のさまざまな呼び方
労働安全衛生法(以下、安衛法)で定められた「事業者による健康診断」は、法定健診、企業健診、事業者健診という呼ばれ方もします。
健康診断にかかる費用とは
健康診断で必要な費用とは、医療機関に支払う健康診断の費用です。これは、保険が使えないので全額が実費になります。
安衛法には健康診断に関する規定があり、事業者には健康診断の実施義務がありますが、費用はどのようになっているのでしょうか。ここでは、説明の便宜上、健康診断を2つのグループに分けてお話しします。
- 赤い枠で囲んだもの → 一般健康診断
- 緑の枠で囲んだもの → 有害業務の健康診断

健康診断の費用は誰が負担するものか?
都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達(労働安全衛生法および同法施行令の施行について、昭和47年9月18日、基発第602号)に健康診断の費用を誰が負担するかについて書かれていました。
(2) 第六六条関係
・労働安全衛生法および同法施行令の施行について(◆昭和47年09月18日基発第602号)
イ 第一項から第四項までの規定により実施される健康診断の費用については、法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものであること。
これは、会社に医師を呼んだ場合も、外部の医療機関で受診した場合も同じです。全額が会社の負担になります。赤い枠で囲んだ一般健康診断も、緑の枠で囲んだ有害業務の健康診断も会社が費用を負担します。
健康診断の基本の費用はどのくらいかかるか
健康診断は、ご存じのように保険が使えない自由診療です。ですから、その金額は地域性や医療機関によっても違いますし、組合の有無によっても変わります。もちろん、受診者の年齢や性別などによって変わる部分もあります。
インターネット上で健康診断にかかる費用を公開している病院などの金額を100件ほど確認してみましたが、費用は基本料が5,000円~15,000円くらいまで幅広く設定されていました。会社に医師が来る場合と、労働者が医療機関に出向く場合では状況が違いますし、全国にはたくさんの医療機関がありますから、費用だけではなく予約のとりやすさなどを勘案した上で、自社に向いている方法をとるのが良いと思います。
健康診断のオプション検査の費用
法定の11項目は会社が費用を負担しますが、その他の項目についてはどのように取り扱うのか、労使で事前に取り決めておくとスマートです。就業規則や、健康管理規則など、会社によって呼び方や規程は異なりますが、健康診断の制度に関する詳細な規定をぜひ決めておいてください。

また、医療機関によって健康診断に追加できる項目やその金額は異なりますので、実際に受診する医療機関で個別に確認することをお勧めします。

最近では、医療機関に出向いての健康診断の場合、より目新しい追加オプションが増えてきているようです。検査項目も費用も多岐に渡っていますが、労働者の健康、ひいては労災の防止にもつながりますので必要な項目に関しては会社が費用を負担してでも受診させておくと安心かもしれませんね。
健康診断のコストについてお話しましたが、健康診断業務は業務コストもかかっています。他部署になかなかりかいしてもらえない煩雑な業務がたくさんありますよね。煩雑化した業務をシステム化して、業務コストを削減しませんか。詳しくは以下セミナーにて解説していますので、ご確認ください。
さいごに
事業者に課せられた健康診断の実施義務。自社にあったプランを立て、実行することが何よりも重要です。費用もかかりますが、健康な就労環境を作り、生産性を向上させるためにも、ぜひ費用だけにとらわれずにより良い方法を見つけていただきたいと思います。