休職・復職にムリなく対応
2021年8月25日 更新 / 2020年6月30日 公開

休職中に人事は何をするのか?連絡のタイミングと産業医との役割分担

メンタルヘルス不調で休職中の社員がいるとき、人事は何をしたらよいのでしょうか?連絡は取るべきなのでしょうか、そもそも、連絡は取っていいのでしょうか?

会社が休職中になにをすればよいのかは、休職者の体調によって変わってきます。

時期によっては、会社からの連絡がストレスになってしまって休職が長引いてしまう可能性もあります。

ここでは、できるだけ休職期間を短くし、再休職を防ぐために、人事が行うべき休職中のなサポートをまとめました。コンタクトを取るときの注意点や復職可否の判断方法についてもご紹介します。

休職から復職までの流れ

休職から復職までの流れ イメージ図

メンタルヘルス不調者に対して、人事は先ずその不調を見つけ、休職が必要なのか判断するところから始まります。休職前に必要な手続きについては、前の記事をご覧ください。

この記事では、休職を開始して復職判断をするまで、人事がどのようなフォローをする必要があるのかについて解説します。

休職を始める時には、休職者に次の内容を伝えましょう。

  • 休職開始〜休職中〜職場復帰までの大まかな流れ
  • 休職中に本人が実施すべき事項(生活リズム表の記入等)
  • 休職中の会社とのコンタクト方法
  • 休職中の生活
  • 休職中の給与や傷病手当金
  • 休職時、復職時に必要な書類
  • 休職可能な期間

休職中は、体調の経過に合った対応をしていくことがポイントです。実際に休職が始まったらどんなケアが必要なのか、休職者の経過に合わせて説明していきます。

人事と産業医の役割分担

休職者の支援は、人事と産業医(産業保健スタッフ)が役割分担しながら進めます。人事はルールに則った対応を進めていき、産業医は医学的な立場から「就業可能な状態」かどうかを判断します。

「就業可能な状態」は、次の5つがそろっていることです。

  1. 就業意欲があること
  2. 生活リズムが整っていること
  3. 翌日までにその日の疲労が回復できること
  4. 通勤ができ業務が遂行できる
  5. 環境に適応できる

人事や上司は、月1回ほど、定期的に休職者と連絡を取ります。生活リズムは整ってきたか、病院に通っているかなどを聞きます。集めた情報を産業医に伝えて、産業医が復職の条件を満たしているか判断していきます。

人の体調には「安静が必要」、「日常生活が可能」、「就業が可能な状態」の3つに分けられます。業務を遂行できるのは「就業可能な状態」のみです。ここからは、休職者の体調ごとに人事が行うことを順番にまとめていきます。

人の体調3つの分類。安静が必要、日常生活が可能、就業が可能な状態

復職ルールに基づいた人事の休職者対応

休職者は基本的に「病状を改善→生活リズムを整える→仕事ができるか・復帰意欲を確認→復職可否判断」の経過をたどります。従業員の体調に合わせて、定期的にコンタクトを取り、会社とのつながり感を維持することが大切です。

休職から1~2カ月くらい経つと、症状が落ち着いて規則正しい生活パターンを取り戻していきます。病状の回復が確認できたら、就業可能な状態を目指して積極的にサポートを開始していきましょう。

休職復職マップ

ステップ1:休職前後:自宅安静が必要な期間

休職が必要になると、「就業可能な状態」から「自宅安静が必要な状態」に変わります。この「自宅安静が必要な状態」は体調がとても悪く、日常生活も崩れています。ここが休職のスタートです。

〇人事が行うこと

休職を開始する時にルールを明確にすることがとても重要です。次の点を伝えてください。

  • 休職の目的…休職は体調を改善して復職を目指すために行う
  • 休職の連絡方法…連絡する頻度、手段、会社側の窓口となる人
  • 休職後の給与、傷病手当金に関する情報
  • 休職のパンフレット(詳しくは休職前の手続きにて

ステップ2:休職後1~2カ月:心身の休息が最優先の期間

休職後1~2カ月目はまだ日常生活が安定しておらず、体調の波がある期間です。この期間は心身の休息が最優先です。休職者へ連絡を取るのは最小限にしましょう。

メンタルヘルス不調の場合、休職直後の連絡は休職者のプレッシャーとなる可能性があります。自宅療養に入り職場から一定の距離を置くことで、症状の落ち着きをみせることが多いです。

ただし、会社を休んでいることへの罪悪感や、復職ができるのかと不安を抱きやすい状況でもあります。連絡を取らないことが逆にストレスになっていないか、注意してください。

〇人事が行うこと

会社との「つながり」を持たせるために、最低限の定期的に連絡はします。しかし、迅速な返信は期待しないでください。また、通院の有無を確認します。この期間は病気を治すための通院が重要です。

ステップ3:休職後3~5カ月:復職の準備開始期間

個人差はありますが、3~5カ月目になると体調はある程度改善し、日常生活に問題はなくなります。この期間は復職に向けて、生活リズムを整えたり、復職の準備をします。

〇人事が行うこと

会社との「つながり」を持ち、復職の意欲を高めるために、定期的な連絡をします。復職するための目標を立てて、達成に向けプランを立てます(例:通勤訓練、リワークの利用)。

ステップ4:休職後5~6カ月目:復職の手続き期間

社会生活が可能になる期間です(あくまで目安であり、個人差はあります)。復職に向けて手続きを進めていきます。しかしまだ疲れやすいため、慎重に進めてきましょう。

〇人事が行うこと

  • 主治医の復職可の診断書を提出してもらう
  • 生活リズム表(=生活記録表)と復職願を提出してもらう
  • 産業医の復職面談を設定する
  • 産業医の判断を元に、復職可否を判定する
  • 復職判定委員会にて、復職を決定する

復職に必要な書類とその作り方は以下の記事をお読みください。

ステップ5:復職:再休職を予防する期間

ついに復職です。まだ社会生活を営むには不安定な部分があり、復職後2~8週間は体調が悪くなりやすい期間です。再休職にならないよう、人事と上司で引き続きフォローを続けていきましょう。

〇人事が行うこと

  • 復職支援プランを作成する(基本的には上司が作成し、共有する)
  • 再休職のルールを本人と確認する(復職支援プランに入れると良い)
  • 定期的に上司、人事、産業医との面談を行う

休職中の対応 3つの注意点

注意点1 休職者が安心感をもって休める対応を

休職に入ることや、休職後の生活に対して安心感を得られる対応をすることが大切です。傷病手当金など経済面や、復職のルールを説明して、休職に対する不安を軽減させましょう。休職に入るときにパンフレットや資料を渡して説明するようにしましょう。

休職中に、状況確認のための連絡をすることを伝えておくと、心構えができるだけでなく、会社のサポートが得られる安心感につながります。

注意点2 定期的に連絡を取り、信頼感を築く

休職中も会社と繋がっていて、サポートを受けていると実感できるような関係性を築きましょう。社会とのつながり感によって就業意欲が増し、復職の後押しになります。

療養中は、2週間~1カ月に1回の頻度で、上司か人事から連絡を取り、事務手続きや状況の確認を行いましょう。病状が安定してからは定期的に面談をすることで、復職への意識を高めることができます。

連絡を取る際は、以下の点に注意してください。会社からの連絡が、休職者のプレッシャーやストレスにならないように注意していきましょう。

  • 連絡を取り始める目安は休職後1~2カ月頃から。
  • 事前にルールを決めておき、初回は本人からの連絡を待つ。
  • 連絡頻度や連絡手段は本人の病状に合わせて、2カ月に1回→1カ月に1回、メール→対面と変えていくと有効。
  • 連絡を取るのは基本的に上司がおすすめ。しかし上司との関係性に問題がある場合は人事や産業衛生スタッフが連絡を取る。
  • 休職中は原則仕事のことについて話をしない。(社内報などを渡し、会社の情報を提供するのはOK)
  • 体調や通院状況については必ず本人から聞く。(難しい場合は家族から聞くことを検討)

会社側の窓口となる人は複数人にせず1人に絞ってください。休職中の対応や説明の違いが発生した場合、休職者本人のストレスになる恐れがあるためです。

連絡の例には、「月に1回、メールで治療状況・起床時間などの生活リズムを直属上司あてに連絡する」などがあります。

注意点3 復職可否の判断は慎重に行う

就業が可能な状態に回復し、復職がみえてきたら、復帰前の事前面談を行います。事前面談は、検討している復職時期の約1カ月前に実施します。

事前面談では、産業医が「本人の体調」と、「復職可能な状態かどうか(主治医の意見をもとにする)」の2点を判断します。産業医の判断を基に、会社が復職の最終決定を行います。

「復職可能な状態かどうか」を判断するポイント

「今回の不調の原因について考え、今後の対応を取り組み始めているか」が復職の判断基準の1つです。

体調がもとに戻っていても、本人が病気への理解を十分にできていなかったり、病気に対する対応を主体的にできていなかったりします。その場合、休職を繰り返してしまう原因になります。

また、休職後にも関わらず、「私は病気じゃないから薬を飲まない」「よくなったから勝手に通院をやめた」のように病気への意識が薄いこともあります。復帰後にトラブルが生じる原因にもなるので注意が必要です。

厳しい言い方をすると、自身の病気に目を向けることは最低限のレベルであり、これすらできない場合は、復職は問題外なのです。

復職時は生活リズムや業務遂行性を見極め、必要時はリワーク施設(復帰支援を目的とした就労施設)に通うことを条件とするなど、復職の判断は慎重に行うことが大切です。

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さいごに

休職者に定期的なコンタクトを取ることは、会社にとっても本人にとっても良いことです。「休職者には連絡を取らない方がよいのでは?」という声をよく耳にしますが、そうではありません。

休職者にコンタクトを取ると、会社側が休職者の生活状況が把握できるだけではなく、休職者にもメリットがあります。経済的・将来的不安が軽減されたり、スムーズな職場復帰に繋がります。

本人から得た情報は産業衛生スタッフに共有するのが良いです。会社側が持たない個人情報(健康情報)をふまえて、適切な対応アドバイスを得ることができます。また、人事が相手だと休職者がハードルを感じてしまうときには、産業保健スタッフにコンタクトをお願いすることもできます。

休職者に過度なストレスにならないよう適切なコンタクトを取り、再休職のない復職を実現しましょう。

執筆・監修

  • Carely編集部
    この記事を書いた人
    Carely編集部
    「働くひとの健康を世界中に創る」を存在意義(パーパス)に掲げ、日々企業の現場で従業員の健康を守る担当者向けに、実務ノウハウを伝える。Carely編集部の中の人はマーケティング部所属。

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