衛生委員会のネタにお困りではないですか?

2019.8.27 更新 / 2019.8.27 公開
衛生委員会を有効活用
衛生委員会を活性化させるコツ

毎回毎回、衛生委員会の議題やネタに悩まされる、衛生委員会の議題やネタがないせいで衛生委員会がマンネリ化してしまう……。そんな担当者が実はたくさんいます。衛生委員会を活性化させるコツをお伝えしていきます。

衛生委員会とは

そもそも衛生委員会とはどのようなものなのでしょうか。

衛生委員会というのは、労働安全衛生法(以下、安衛法と言います)に基づいて一定の基準に該当する事業場で設置を義務付けられているもので、事業者は常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、衛生に関することを調査審議し、事業者に対して述べるために衛生委員会を設置しなければならないとされているものです。衛生委員会は労働安全衛生規則(以下、安衛則と言います。)第23条第1項の規定に従って毎月1回以上開催しなければならないという決まりがあります。
法律上は、衛生委員会は常時50上の労働者を使用する事業場ごとに必要とされていますが、もちろん、常時使用する労働者の人数がそれに満たない場合でも安全衛生に対する意識づけのために自主的に開催するのは構いません。

衛生委員会で調査審議すること

  1. 労働者の健康障害を防止するための基本になる対策に関すること
  2. 労働者の健康の保持増進を図るための基本となる対策に関すること
  3. 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に関すること
  4. 上記の3つに掲げるもののほかに、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

というのが、衛生委員会での調査審議が必要なもので、これが法的に決められている衛生委員会の議題やテーマに関連してきます。

衛生委員会のメンバー

  1. 総括安全衛生管理者かそれ以外の者で、その事業場で事業の実施を統括管理する者か、それに準ずる者 1名(議長)
  2. 衛生管理者 1名以上
  3. 産業医 1名以上
  4. 当該事業場の労働者で衛生に関し経験を有する者 1名以上

上記のうち1. 以外のメンバーの半数に関しては、その事業場の過半数労働組合(ない場合には労働者の過半数代表)の推薦に基づいて指名しなければならないことになっています。

衛生委員会の現状

衛生委員会を毎月1回以上開催しなければいけないと言われても、同じような議題を毎月続けているとどうしてもマンネリ化してきてしまいます。衛生委員会の議題やテーマがうまく決まらず、マンネリ化に悩んでいる担当者もたくさんいます。よく、衛生委員会の議題やテーマに迷ったら季節ネタを使うと良いという意見もありますが、最初の1年はそれで通用しても、翌年以降はそうはいきません。夏が来るたびに熱中症や脱水症状対策を衛生委員会のテーマにし、冬になるとインフルエンザやウイルス性胃腸炎……。たしかに季節には合っているかもしれませんが、繰り返していたら衛生委員会のマンネリ化の原因になりかねません。衛生委員会のマンネリ化は各所で起こっているようですが、どのような原因があるのでしょうか。

衛生委員会がマンネリ化する例

多くの企業では、衛生委員会がマンネリ化していると聞きます。そもそも衛生委員会自体が実施されていなかったり、情報や連絡事項の共有だけにとどまっていたりするために、衛生委員会が本来の役目を果たせていない状況に陥っているようです。

衛生委員会がマンネリ化する原因として挙げられるのは、組織的な要素としては事業場の規模に合った構成になっていないことが挙げられます。あまりにも大きすぎる衛生委員会では個々の出席者は発言の機会が得にくくなってしまいます。どうしても巨大な組織になってしまう場合には、テーマごとに下部組織を作っても良いでしょう。

次に人材が適正かどうかということが挙げられます。衛生委員会をマンネリ化させないためにも、衛生委員会の活動に積極的な人材であることは必須条件です。事業場の衛生に関して消極的な考えの人や、発言する気のない人がいては衛生委員会の雰囲気も望ましくないものになってしまいます。全体の士気を落とすことになってしまいますので、時には思い切って人材の見直しをしたり、衛生委員会のメンバーとしての辞令を出すなども一つの方法として挙げられます。

また、安全委員会と一緒になっている安全衛生委員会の場合にはどうしても安全面中心の会議になることが多く衛生面が軽視されがちになってしまいます。実際には、安全面と衛生面のどちらかだけが重要というわけではないことは分かっているにも関わらず、労災への危機感などはもちろん必要ですが労働者が心身ともに健康であることは企業としての生産性の向上にもつながります。

その1)毎年、同じような時期に同じようなテーマの季節ネタを扱っている

それが通用するのは最初の1年、良くてもせいぜい2年程度です。毎月定例的に1回以上開催することが目的になってしまっていると、本来の衛生委員会の役目は果たせませんよね。資料を作って、参加者はその報告を聞くだけでは何も改善はありません。

その2)発言者が限定的になっている

例えば、いつも同じ人が同じような発言をしていて、他の人の興味をひかないような状況になっていませんか。衛生委員会は参加することに意義があるというものではありません。積極的に発言し、参加していけるような状況を作ることが非常に大切です。

その3)現場の声が届かない

机上の会議だけでは分からないことがたくさんあるように、現場で作業をする一般の労働者の声を反映していないような状況ではマンネリ化が進行していく一方です。職場の衛生上必要なことに関しては、雇用形態や役職などに関係なく現場の労働者の意見も積極的に収集できるようにしていきましょう。衛生委員会の議題やテーマは、労使のどちらか一方だけが用意するという状況を作ってはいけません。衛生委員会は労使で意見を出し合い、協調することが必要不可欠です。

その4)情報の共有の場にしかなっていない

せっかく衛生委員会を開催しても、それが単なる情報の共有の場としてしか機能していないのであれば、その衛生委員会はマンネリ化に直結してしまいます。労使で誠実に話し合ってこそ、衛生委員会が適正に機能します。ですから、形式的な報告だけに終始してしまうような場として衛生委員会を利用することのないようにしてください。

その5)開催することが目的になってしまっている

たしかに衛生委員会は毎月1回以上の開催が必要です。でも、だからといって規定の回数を実施することを目的に開催する者ではありませんよね。衛生委員会の開催目的を考え直してみるのも良いですね。

その6)産業医に丸投げする

産業医は、衛生委員会のメンバーとして専門的な立場から意見やアドバイスを述べてくれる人です。ですから、産業医に衛生委員会の諸々を丸投げするのはやめましょう。衛生委員会は労使が調査・審議するものですから、あくまでもメインは労使であると再認識しておくと良いですね。もちろん、衛生講話の内容について、産業医に相談するのは構いません。ただし、主体的に動かなければならないのは労使ですから、希望のテーマがあれば産業医に伝えるようにしてください。

衛生委員会の議題やテーマの決め方

では、衛生委員会がマンネリ化しないように議題やテーマはどのようにして決めれば良いのかについてお話を進めていきたいと思います。

衛生委員会の議題やテーマで調査・審議しやすいもの

衛生委員会の議題やテーマに迷ったら、まずは健康診断の結果の分析やストレスチェックの結果の活用から始めてみてはいかがでしょうか。健康診断はどの企業でも行っていますから、その結果を確認することは社内の健康状態の確認や、長時間労働の是正にもつなげられます。例えば特定の部署の労働者に心身の過度な疲れが見られた場合には、その部署に業務が偏っている可能性もありますから、作業手順の見直しやマニュアル化して個人の負荷を軽減できるケースもあります。他にも、健康診断の項目やオプションを見直すことで、健康状態の改善につなげることもできるかもしれませんね。

ニュースの時事ネタ

衛生委員会の議題やテーマは社内のものに限定して考えると、いずれ底を尽きてしまいます。そのようなことになる前に、社会的なニュースなども利用してみましょう。例えば、電通の過労自殺の件から長時間労働や過重労働、あるいは勤怠管理について衛生委員会の議題やテーマとするのも良いでしょう。過労自殺一つをとってみても、長時間労働や過重労働、あるいは勤怠管理だけではなく年次有給休暇の取得推進や勤務間インターバルの促進など衛生委員会で扱える議題やテーマは広がっていきます。

社内で「限定的に」起きていることについて

例えば、社内で特定の事柄に対して困っている場合などに衛生委員会の議題やテーマとなり得るかどうかについて検討してみましょう。例えば、特定の時期にだけ労災が多発している、特定の場所でだけ負傷者が出る、特定の時期に病欠者が急増するなど、何年間かを通して確認すると見えてくることもあります。同じ時期にだけ労災が多発するのであれば何が原因となっているのかとその解決策、同じ場所で負傷者が相次ぐのであれば環境や設備などと作業の関連性に問題がないか、同じ時期にだけ病欠者が急増するのであればその疾病の内容などに関して衛生委員会で調査委・審議してみると良いですね。身近な問題は、その事業場で就業する人にとって早期の解決が必要なこともあります。

社内に何も問題がない時には……

社内の安全や衛生に関する法律の改正事項の周知、社内外のヒヤリハット事案や事故事例を使って予防活動を行う、リスクアセスメント(危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置等)に関する研修を行うなど、社内の安全や衛生に関する知識の底上げなどを行うこともできます。他にも、職場巡視のチェックシートを定期的に見直して作成し直したり、社内の危険個所やダイバーシティ(※)に対応できていない場所などへの安全策の計画と実行、LGBTの方を考慮したトイレや更衣室、再雇用などによって恒例の労働者が増えた職場では高齢者も使いやすいトイレやスロープなどについて調べて対応を前向きに考えるなどしてみるのも良いのではないでしょうか。

※ダイバーシティとは 
ダイバーシティとは、いろいろな人材を積極的に活用しようという考え方。人種、性別、国籍、年齢、信条に偏見やこだわりを持たずに、さまざまな人材を活かして最大限のパフォーマンスを発揮させようとするものです。

社内のコミュニケーションの促進も

厚生労働省の発表によると、仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者が「相談できる人がいる」場合の相談相手は以下の通りです。

相談できる相手がいることで、労働者の心の負担が軽減することを考えれば、社内のコミュニケーションを促進し、より相談しやすい環境を作りための対策をとることも衛生委員会に期待されているのではないでしょうか。事業場内でのいじめや嫌がらせなど、対人関係の悩みもありますが、社内のコミュニケーションが上手に活用できていればより円滑に業務が遂行できるようになりますね。

季節ネタは結果の報告も

衛生委員会の議題やテーマで季節ネタ(熱中症対策やインフルエンザ対策など)に関しては、予防法や対応策を事前に協議し、その結果がどうだったのかを報告と反省を兼ねて行うことで次年度以降につなげられます。また、現場からの実績の報告だけではなく、産業医などから専門的な立場に立ったアドバイスをもらうとより良いものになります。翌年度は、産業医のアドバイスも含めたもので新たな対策をたてて実行するのもお勧めです。

衛生委員会を活性化させるポイント

衛生委員会がマンネリ化してしまって困った状況から活性化させるにはどうすれば良いのでしょうか。

そのような状況の改善には議題やテーマ選びももちろん重要ですが、衛生活動は労使双方が自発的に考える機会を作ることで大きな効果が見られます。衛生委員会は事業場の産業保健活動や衛生状況の軸を決める部分です。この重要な衛生委員会のマンネリ化は深刻な事態とも言えます。

衛生委員会を活性化させるポイント その1)トップがやる気を見せる

衛生委員会は、安衛則第23条第1項の規定に従って毎月1回以上開催しなければなりません。しかし、この開催頻度にばかり目がいってしまうと、どうしても内容が形骸化してマンネリ化するきっかけになってしまいます。

事業場の衛生委員会を活性化させるためには、まずはトップが積極的に関わり、やる気を見せてください。トップのやる気は全体の士気をあげますから、ぜひご検討いただきたいと思います。

衛生委員会を活性化させるポイント その2)風通しの良い職場作りをする

風通しの良い職場で職務上の役職などに関係なく必要な意見を言うためには、職場の風通しのよさが必要です。机上の議論だけよりも、現場で実際の業務にあたっている若手から有意義な意見が出ることもあります。普段から、年齢や役職などの立場に関係なく意見が言えるような職場作りを心掛けてください。コミュニケーションをとりやすい職場を作ることで、自然と風通しも良くなります。そのためには、衛生委員会に直接的には関係ないと思われてしまうのですが、出退勤時の挨拶運動などを行っても良いですね。事業場の安全面を左右することもある人間関係を良好なものにするためにも、風通しの良い職場・コミュニケーションをとりやすい職場作りを行っていただきたいと思います。

衛生委員会を活性化させるポイント その3)衛生委員会の議題やテーマは計画的に

毎月、全く関連性のない議題やテーマを繰り返していては参加者からは思い付き程度の議事と思われてしまいます。先ほどの季節ネタではありませんが、衛生委員会の議題やテーマは計画的に考えてください。1年を通しての計画が難しければ上期・下期、あるいは四半期ごとの計画でも構いません。もし、衛生委員会での議題やテーマを関連性のあるもので考えにくければ、単月での議題やテーマを肉付けして広げてみてください。

衛生委員会を活性化させるポイント その4)衛生委員会の議題やテーマは社内からの募集も視野に

労使のどちらか一方だけ、あるいは特定の部署からだけの議題やテーマではなく社内にアンケートボックスなどを用意し、誰でも衛生委員会に議題やテーマを提案できるようにしても構いません。必要に応じて、雇用形態に関係なくアルバイト労働者やパートタイム労働者も衛生委員会などに参加してもらうこともできます。そのような方々の衛生委員会への出席が難しければ事前に意見を聴いてみると良いですね。

さいごに

衛生委員会の議題やテーマはできる限り計画的に決めるようにしてください。あまりにも専門性が高すぎる内容は、素人にも分かるような簡単な言葉に置き換えるなどして積極的に発言できる環境を用意すると良いですね。

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