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衛生委員会を有効活用
2021年8月25日 更新 / 2019年8月27日 公開

衛生管理者が選任後にする9つの業務とは? 不在の時の対応は?

衛生管理者が行う9つの業務

総務や人事の方が担当されることが多い衛生管理者ですが、どんな業務をするかご存じですか?衛生管理者の選任義務や不在時の対応、業務割合などご紹介いたします。

はじめに

衛生管理者のお話をする前に、労働衛生3管理をご存じでしょうか。これは、事業場の労働衛生管理を進めるためには、「健康管理」と「作業環境管理」と「作業管理」との3つの面から検討し、職場の改善並びにその防止対策を図り、作業者の健康を保持増進するというものです。

事業場で労働衛生対策を進めるためには、労働衛生管理体制をきちんと整備することも必要ですが、事業場内での労働衛生教育を徹底することや、労働衛生3管理を総合的に実施することが必要と言われています。これらは、専門的な知識を必要とする部分もありますので、事業場内の医療スタッフの力や衛生管理者の力が必要です。

衛生管理者の選任義務と国家資格

衛生管理者の選任

衛生管理者とは労働者の健康を守るために、専門的な資格の下で職場の衛生管理全般に関わる人のことで、事業場の安全衛生業務のうち、衛生に係る技術的事項を管理する人のことです。労働安全衛生法(以下、安衛法と言います)第12条第1項に規定があるのですが、事業主は一定の規模(※)の事業場の業務の区分ごとに衛生管理者を選任する義務があります。

そしてこの衛生管理者の選任は、衛生管理者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に行って、衛生管理者を選任したときは、遅滞なく選任報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければいけないことになっています。

事業場の規模に合わせた衛生管理者の数

上の表にもありますが、衛生管理者を選任しなければならない事業場は、常時50人以上の労働者を使用する事業場です。衛生管理者はその事業場に専属の者を選任しなければいけないのですが、2人以上の衛生管理者を選任する場合で、当該衛生管理者の中に労働衛生コンサルタントがいるときは、当該者のうち1人には、その事業場に専属でなくても構いません。

衛生管理者になるための資格

衛生管理者は国家資格で「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」と「衛生工学衛生管理者」の3つの種類があります。

第一種衛生管理者は全ての業種に対応することができますが、第二種衛生管理者は対応できない業種もあります。

第二種衛生管理者が対応できるのは有害業務と関連性の低い業種で、金融・保険業、卸売・小売業や情報通信業などがあります。

衛生工学衛生管理者は衛生管理者のステップアップ資格で、講習を受けて資格を取得することができます。

衛生管理者は誰でもなりたい人がなれるわけではなく、資格を持った人でなければなりませんが、その仕事は大きく分けて3つあります。

  1. 労働者の健康を確保すること
  2. 労働者に快適で衛生的な環境を用意すること
  3. 労働者の安全を守ること

先ほどの労働衛生3管理(「健康管理」と「作業環境管理」と「作業管理」)と重なる部分がありますね。もう少し具体的に、この衛生管理者は一体どんな仕事をする人なのかについて見ていきたいと思います。

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衛生管理者が行う9つの業務

【仕事1】 健康に異常がある者の発見及び処置

衛生管理者の仕事として非常に重要なのが、労働者の健康の管理です。労働者に健康面での異常がないかどうかを知るためにも、健康診断の日程を調整して受診率を向上させ、未受診者をどれだけ減らすことができるかも衛生管理者の腕の見せ所です。健康診断を受けなければいけないと分けってはいても、業務が忙しいとなかなか受けに行きにくいという人も多いと聞きますが、これは下にある厚生労働省の資料「(4)特定健診・保健指導の実施率向上について(PDF)」を見ても納得の調査結果が発表されています。

検診を受けなかった理由

厚生労働省 (4)特定健診・保健指導の実施率向上について(PDF)

健診などを受けなかった理由として「時間がとれなかったから」、「心配な時はいつでも医療機関を受診できるから」、「面倒だから」という理由が目立っていますね。衛生管理者の仕事は健診の受診率を向上させることも含まれています。例えば、時間がとれなかったという人に対しては業務時間中に健診を受診しやすい環境を整えることも有効です。健康診断の受診率を向上させるための啓発活動をするのもいいですね。労働者の健康状態に問題があれば、健康管理上のアドバイスなども行います。

【仕事2】 作業環境の衛生上の調査

労働者が心身共に健康で安全に、衛生的な環境の中で業務に取り組めるように作業環境の衛生上の調査もします。照明の明るさ作業場所の温度や湿度、換気の状態や、騒音や振動、あるいは有害な化学物質などの労働者の健康に悪影響のある環境になっていないかなどを調べます。

例えば、業務によっては照明の明るさが〇〇以上などと規定されている場合もありますね。労働安全衛生規則(以下、安衛則と言います)では、彩光や照明に関して以下のように規定しています。

最適な照度

このように労働者の作業する場所の環境に関して調査するのも衛生管理者の仕事です。後程お話しする事業場の定期的な巡視をしたり、衛生日誌をつけていると日々の小さな変化にも気付くことができます。また、労働者から作業環境に関して不衛生な状態に関して衛生管理者に相談し指示を仰ぐのも良いですね。

【仕事3】 作業条件、施設等の衛生上の改善

労働者が就業する作業の条件やその施設などに関して衛生面での問題がないか調査し、その改善を行います。衛生上の問題があった場合には、その対策を講じて状況を改善させます。労働者が気持ちよく就業できるようにすることで業務効率や生産性があがることもあります。

この何年かで喫煙に関する社会の意識も変わってきました。吸わない人にとっては休憩室が喫煙できる状況だと、心にも体にも負担がかかってしまいます。休憩室を禁煙化し、代わりに喫煙コーナーを設けるなど直接の業務には関係ないところでも衛生管理者への期待は大きなものになっています。

【仕事4】労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備

誰にでも万が一はあります。事故や急病などで就業中に具合が悪くなってしまった場合などに必要な労働衛生保護具(※)、救急用具などは、普段からきちんと整備された状態で用意されていなければいざというときに困ってしまいますね。そのようなものを点検し、整備しておくのも衛生管理者の仕事の一つです。

※ 労働衛生保護具とは

労働衛生保護具とは、呼吸用保護具、化学防護手袋、化学防護服、保護めがねを指します。これらの労働衛生保護具を正しく使用するためには、作業場で使用しているものについて正しく理解していることが必要です。また、単に事業場にこれらが用意されているだけで良しとするのではなくフィットチェッカーを使ったり除圧法などを用いたりして不具合がないかなどを定期的に確認しておいてください。

【仕事5】 衛生教育、健康相談その他の労働者の健康保持に関する必要な事項

労働者に対する衛生教育や健康に関する相談など、労働者が自分自身の健康を保持するために必要な手助けも行います。専門的な知識の下でのアドバイスは、心強いですよね。

【仕事6】労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び移動に関する統計の作成

労働者のケガや病気、それらを基にした死亡なども含めて統計の作成も衛生管理者が行う仕事です。業務を理由としたケガや病気は本来はあってはならないものですが、不幸にしてそのような事態になってしまった場合にも対応しなければなりません。

【仕事7】その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における衛生に関し、必要な措置

衛生管理者の仕事は、その事業場内で就労する労働者だけに対して安全で衛生的に就労できるようにすることではありません。事業場内には雇用形態が違うさまざまな人や派遣や出向できている人もいます。それから、一つの場所に複数の事業から労働者が出向いてきているケースもありますね。多くの人が就労する場所での衛生に関する事項も衛生管理者の仕事です。

【仕事8】衛生日誌の記載等職務上の記録の整備等

衛生管理者が仕事として行う衛生日誌ヘの記載というのは、労働者の健康や安全、衛生に関わる出来事に関しての日記とお考え下さい。病欠者(氏名や人数、理由など)や労働時間中の事故や急病、健康診断の計画や実施に関することなどを記録します。日誌を記載していると、その事業場に特有の問題が見えたり、解決方法が発見しやすくなったりします。衛生日誌の気になる部分は衛生委員会での審議にかけるなどすると、周りの人の意見も反映できるかもしれませんね。

【仕事9】事業場の定期的な巡視

衛生管理者の仕事として忘れてはいけないのが事業場の巡視です。これは、毎週1回事業場を巡視して、事業場内の設備や労働者の作業の方法などに関して衛生状態の問題や危険性がないかなどを確認するものです。問題があれば、直ちに改善のための措置をとります。これに関連しますが、事業主は労働者の健康障害を防止するために、衛生管理者にそのような措置を行う権限を与えることが義務になっています。

実はこの衛生管理者の仕事の一つでもある事業場の巡視は産業医制度とも関わりがあります。事業主から産業医に対して月1回以上定期的に一定の情報(※)が提供される場合に限定されるのですが、事業主の同意がある場合には産業医の事業場の巡視の頻度を「毎月1回以上」から「2月以内ごとに1回以上」へ変更できるようになりました。

※ 事業主が産業医に提供する一定の情報とは

事業主が産業医に提供する一定の情報とは、以下のものを指します。

  1. 事業者が月1回以上把握する長時間労働者に対する面接指導の基準(労働時間の部分)に該当する労働者及びその労働時間数
  2. 作業環境、作業方法等の問題点の把握等にとって有用な、週1回以上の衛生管理者の職場巡視の結果
  3. 上記1)及び2)のほか、産業医に提供すべき情報として、各事業場の状況に応じて衛生委員会等において 調査審議の上、定める事項

この3つの条件の中の2つ目にある「週1回以上の衛生管理者の職場巡視の結果」が産業医の事業場巡視の回数も産業医の事業場巡視の頻度に関わってきます。

また、衛生管理者が事業場を巡視することで避難経路の不備などの発見もできますし、労働者の普段の作業環境の変化などにも気付くことができます。

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衛生管理者が不在時の対応

衛生管理者が病欠してしまったら、どうすれば良いのでしょう。数年前には全国的にインフルエンザが大流行しましたね。衛生管理者の中には自らインフルエンザに罹患して仕事を休んでしまった人もいることでしょう。他にも、急に退職してしまうこともあるかもしれませんね。いきなり衛生管理者が不在になったら、どうしたら良いのか…という疑問にお答えしたいと思います。

先ほどお話ししましたように、衛生管理者は国家資格です。近年では過重労働対策やメンタルヘルスマネジメント、それからストレスチェック制度などで国も労働者の健康をより真剣に考えるようになってきました。そのような流れの中で、事業主の権利責任は日増しに大きなものになってきています。衛生管理者は労働者の健康などに関する大きな責任を伴う仕事をしていますが、もし、衛生管理者が不在になってしまった場合にはその仕事はどうすれば良いのでしょうか。

衛生管理者の代理を選任

例えば、病欠した場合にはインフルエンザや胃腸炎などが大流行して病欠することもありますが、入院しなければならない場合などは長期に渡っての病欠があり得ますし、病欠以外にも何らかの事情で退職してしまった場合など衛生管理者が不在になる可能性はどの事業場にもありますね。そのような場合には、事業主はその衛生管理者の代理を選任することになります。ただし、衛生管理者の代理になる人は以前に保健衛生の業務に従事した経験を持っている人であれば、必ずしも衛生管理者の資格を保有している必要はありません。少しだけ気が楽になりましたね。

特定の人を衛生管理の業務に従事

それから、衛生管理者を選任することができないやむを得ない事由がある場合に、所轄都道府県労働局長の許可を受けた場合には衛生管理者の選任が免除されます。おおむね一年以内の期間に限定されますが、衛生管理者の突然の死亡や、退職などの特殊な事情で急に衛生管理者が不在になってしまった場合で、次の衛生管理者を選出するのに時間がかかることがやむを得ないと認められるときには、特定の人を衛生管理の業務に従事させることが条件になります。

複数の労働者に資格を取得させて備える

衛生管理者の不測の事態に備えて、複数の労働者に衛生管理者の資格を取得させておいたり、事業場内に代理になる人を予め選出して体制を整えておいたりすると、より安心です。衛生管理者が不在の状態を続けてしまうと事業者には安衛法によって罰則が課されますのでご注意いただければと思います。

ちなみに、衛生管理者の資格を取得するためには、公益財団法人安全衛生技術試験協会の行う国家試験(全国7カ所の安全衛生技術センターで毎月1~5回くらい実施されます。)に合格する必要があります。

衛生管理者の業務割合

衛生管理者には大きな責任を伴う仕事が任されていますが、その業務量はどのくらいのものなのでしょうか。他の業務の片手間に出来るのか、そうでないのか気になりますね。

独立行政法人労働者健康安全機構埼玉産業保健総合支援センターの資料「埼玉県下における衛生管理者の現状とその活性化に関する調査研究」によると、衛生管理者の仕事に関して「専任である」が5.3%、「兼務だが主として衛生管理の仕事をしている」が20.6%で、これらを併せた職務専従割合は25.9%だったそうです。ただし「兼務なので仕事が十分できない」が55.4%、「仕事に全く関与していない・不明」が18.7%で、衛生管理者としての仕事が十分にできていない事業場割合は74.1%もあったそうです。

衛生管理者の職務遂行

埼玉県下における衛生管理者の現状とその活性化に関する調査研究

また、衛生管理者としての月間での仕事時間は作業環境管理と健康管理は平均6.5~5.2時間と他業務よりも多いことも併せて発表されています。それから小規模事業場ほど作業環境管理と作業管理に時間をかけ、大規模事業場ほど健康管理と総括管理に時間をかけていることも分かったそうです。地域や業種、規模の違いもありますが非常に参考になるデータですね。衛生管理者に求められる役割とそれ以外の仕事とのバランスをとりながら何とかやりくりをしている様子が推測できます。

作業環境管理と健康管理に企業が注力しているのは、過重労働対策などに国が本気で乗り出していることと関係があるのでしょか。事業主の安全配慮義務などもあり、より快適な作業環境が整備されることになることを期待したいところです。

さいごに

衛生管理者の仕事は、労働者の健康や安全を考える上で非常に重要なものであることが分かりました。まずは、健康診断の受診を衛生管理者を中心に推進して健康的で快適な職場作りにみんなで協力していけたらと思います。

執筆・監修

  • Carely編集部
    この記事を書いた人
    Carely編集部
    「働くひとの健康を世界中に創る」を存在意義(パーパス)に掲げ、日々企業の現場で従業員の健康を守る担当者向けに、実務ノウハウを伝える。Carely編集部の中の人はマーケティング部所属。

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