【法改正あり】健康診断結果の保存期間、取扱方法を見直そう

2019.8.29 更新 / 2019.8.27 公開
健康診断の効率化
【法改正あり】健康診断結果の保存期間、取扱方法を見直そう

健康診断はどの会社でも行われており、疾病の早期発見だけではなく、労働者が作業に従事して良いかを判断するための指標となります。この健康診断結果の取扱いに悩む人事スタッフも少なくはないでしょう。今回は健康診断結果の保存や取扱い方法に関して解説していきます。

健康診断は実施義務がある

会社での健康診断。何気なく受けている人も多いのではないでしょうか。健康診断は会社ごとに実施の有無が委ねられているのではなく、きちんと労働安全衛生法で実施義務が定められているのです。

  1. 既往歴及び業務歴の調査
  2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査及び喀痰検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査
  7. 肝機能検査(GOT、GPT及びγ-GTPの検査)
  8. 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査
  11. 心電図検査

定期健康診断で実施義務が定められているのは上記1~11のため、最低これを年1回実施すれば問題ありません。しかしこれ以外にも、血液検査の項目数が多かったり、ガン検査を会社負担で実施するなど、健康診断に力を入れている会社も多くみられます。

労働者の一般的な健康状態を把握するための健康診断である「定期健康診断」の他に、労働衛生対策上、特に有害であるといわれている業務に従事する労働者を対象として実施する「特殊健康診断」の実施も労働安全衛生法で定められています。有害業務に起因する健康障害の状況を調べるために重要です。該当する従業員がいる場合は、見落とさず実施するようにしましょう。

【特殊健康診断】

  • じん肺健康診断
  • 高気圧家業務健康診断
  • 除染等電離放射能健康診断
  • 四アルキル鉛健康診断
  • 特定科学物質健康診断
  • 鉛健康診断
  • 有機溶剤健康診断
  • 石綿健康診断
  • 歯科健康診断

健康診断結果の取扱いはどうするの?

健康診断に実施義務があるように、健康診断結果の取扱いにも決まりがあります。

労働者にとっての、健康診断実施義務

会社に健康診断の実施義務があるように、労働者は健康診断を受け、結果を会社に提出しなければなりません。受けることや結果の提出を拒み続けると、解雇の理由になり得ません。しかし、人間ドックやがん検診など、法定項目以外のデータに関しては、会社への結果報告義務はありません。情報をどこまで開示するかは、個々に委ねられているのです。

また、再検査に関しても報告義務は法的に定められていないため、本人の同意を得た上で、情報を得るようにしましょう。

結果の保存期間

健康診断結果の保存は、いざという時に健診データを使用することで効果的かつ効率的な健康診断、保健指導を実施することが可能となるという理由から定められており、会社が保管します。定期健康診断の場合、結果の保存期間は実施後5年間です。これは労働基準法第109条の中で、労働者の監督業務として定められています。

特殊健康診断の保存期間も5年間が多いですが、一部異なるため注意が必要です。

  • じん肺健康診断…7年
  • 電離放射線健康診断、特定化学物質健康診断の一部…30年
  • 石綿(アスベスト)健康診断…40年

従業員への通知

健康診断実施後は、所見の有無にかかわらず受診者全員に健康診断の結果を文書で通知する必要があります。所見ありの人はもちろん、「問題なし」の人にも、きちんと健康診断結果を通知するようにしましょう。

監督署への結果報告

従業員規模が50人以上の事業場は、所轄監督署へ結果報告の義務があるため、忘れずに実施しましょう。

健康診断の法改正をチェック!

近年、過重労働や成果主義の導入により厳しい環境での労働が増え、メンタルヘルス対策が事業場における重要な課題となる等、産業保健を取り巻く状況は変化してきています。それに伴い、産業医制度の充実を図ることを目的に法律も少しずつ変わってきています。法改正により、健康診断結果の取扱いも変わってくるため、確認しておきましょう。

【1】労働安全衛生法令の改正

まずは、平成29 年3月に労働安全衛生規則の改正により、変更となった産業医制度の中から、健康診断および事後措置に関するものを紹介します。(適用は平成29年6月から)。

『事業者は、各種健康診断の有所見者について医師・歯科医師が就業上の措置等に関する意見聴取を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を当該医師等から求められたときは、これを提供しなければならない』

つまり、医師への情報提供が義務化されたということです。健康管理や介入を行う上で今までも実施していた会社も多いかとは思いますが、今回の改正で義務化されたため情報提供を拒否できなくなったということを覚えておきましょう。

【2】個人情報保護法が改定

2つ目は個人情報保護の改定により、健康診断結果を情報管理する上で関係することを紹介します。

『「人種・信条・社会的身分・病歴・犯罪の経歴・犯罪被害の事実」が要配慮個人情報として改めて定義され、配慮して取り扱うよう定められた』

健康診断の結果や保健指導の内容など健康に関する情報は、いずれも要配慮個人情報として改めて定義されました。

またこの要配慮個人情報は、本人の同意なく取得したり、第三者へ提供することをしてはいけないと義務化されたため、情報の取扱いに今まで以上に注意が必要です。

基本的に要配慮個人情報の取得には本人の同意が必要ですが、健康診断においては、労働安全衛生法に基づいた法定項目の健診結果のみ本人の同意なく得ることが認められています。しかしそれ以外の項目や人間ドックに関しては、同意が必要なため気をつけましょう。

平成20年に変更となった「健康診断項目の改正」に関しては、こちらを参照下さい。→従業員の健康診断制度新設時必見!! 健康診断の項目って?

さいごに

近年の法改正により、健康情報はより重要な情報であると認識され、厳密な管理が求められています。
また健康診断は実施するだけではなく、労働者が健康な状態で働けるよう、作業管理や作業環境管理に活かしていく必要があります。有効な健康診断を実施するためにも、正しい保管・取扱いを実施するようにしましょう。

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