人事必見!!「休職の期間延長がしたい」と言われたらどうする?

2019.8.27 更新 / 2019.8.27 公開
休職・復職にムリなく対応
休職の期間延長は認める?

近年、ストレスや過労が原因で体調を崩し、休職となる労働者が増えています。会社は労働者が心身ともに健康な状態を保てるよう配慮する必要があり、健康管理は重要なテーマの一つです。体調不良にも関わらず働き続けると、重大な事態を引き起こしかねません。そのため復職を施行する場合は、仕事ができる状態まで回復しているかを見極めることが重要です。しかし中には、休職期間満了にもかかわらず、回復が十分ではない場合もあります。そのような場合、人事は休職期間の延長を検討すべきでしょうか。今回はこのテーマを解説していきます。

休職の期間延長は認める?

休職制度は、解雇により人材を失うリスクを避けるために、会社にとって重要な制度です。休職制度を用いることで、従業員の体調が回復して休職前と同じように勤務できる状態に戻すことが、会社にとっての休職の目的ですよね。しかし休職期間が長いケースほど、思うように復職にもっていくことは難しいものです。復職の条件として、「従前の職務を通常通りに行える健康状態に回復していること」が挙げられます。就業規程で定められていることが前提ですが、会社が定めた休職期間内で復職が難しい場合は、基本的には自然退職(もしくは解雇)になります。

休職者の中には、もう少しで回復できそうだからといった理由で、休職期間満了後に、休職期間の延長を求める人もいるのではないでしょうか。また「就業規程に特別な事項に該当する場合(もしくは会社が必要と判断した場合)は休職延長を検討すると定められているが、自分も延長できるのではないか」と、休職延長を申し出る人もいるかもしれません。このような場合、どのように対応するべきでしょう。

休職は法律で明確な決まりはなく、会社ごとに社内規程で定めて運用されています。そのため休職はさまざまな場面で、判断が難しくなることが多いのです。
休職期間は、就業規程で定められた日数で対応するのが原則であり、申し出をされたからといって、休職期間の延長を認める必要はありません。申し出を受理する義務はありませんが、例外として延長を認めるのは会社の自由です。しかし一度例外を認めてしまうと、「○○さんの時は、延長してもらえていた」という不満の原因になり得ます。後々公平な対応ができなくなることを避けるためにも、むやみな期間延長は避けましょう。

1 期間延長を認めないほうがいいケース

特に、「現時点では回復見込みが判断できないため、もう少し様子を見たい」という理由での期間延長は絶対に避けましょう。先ほどの例のように、「○○さんの時は、延長してもらえていた」といわれた際や、一度延長してしまった休職者に再度延長を申し入れられた場合に、なぜあのとき期間延長を施行したのか、明確に答えることができず、トラブルを引き起こしてしまう可能性があるからです。

2 期間延長を認めてもいいケース

メンタルヘルス疾患の場合は、あとどれくらいで回復するのかが判断しづらいため、期間延長を決断するにはリスクが高いといえます。しかしフィジカル疾患の場合、治療方針によっては回復にかかるおおよその期間がわかり、期間延長を認めやすいケースもあるでしょう。例えば、加療中であり、あと1、2カ月で復帰できることが主治医より明確に伝えられており、休職期間が満了のタイミングだと復職は難しいが、少しの延長で復職が可能なケースは、会社側が復職を検討してもいいと言えます。このようなケースが、いわゆる「特別な事項に該当する場合」です。会社として承認する理由が明確な場合のみ、期間延長を検討するようにしましょう。

休職期間延長の際は、文書を残そう

次に、期間延長を申し入れる場合、注意すべき点についてです。 
期間延長を申し入れる際は、文書になぜ特例として認めるのかを残すようにしましょう。口頭でのやり取りのみだと事実関係が曖昧になりやすく、後々なぜ期間を延長したのか、どのような約束になっていたのかを確認できないためです。

以下を休職者と確認して文書に残しましょう。

  • 休職期間延長の期間
  • 復職するための条件
  • 延長後、復職できなかった場合の対応(退職になるか否か)
  • 期間延長中の給与の有無

これらの事項を延長前に、休職者と確認して同意を得るようにしましょう。延長しても回復の兆しがない場合や、復職するための条件を満たすことができない場合は、延長期間が終了したら自然退職(もしくは解雇)になる旨を確実に説明することも必要です。

人事から休職期間を延長してもらうケース

ここまでの記述は、本人の回復状況や希望により、休職期間を延長するケースです。逆に、人事から期間の延長をさせることはできるのでしょうか。

結論から言うと、ポストがないなどの会社都合の理由で休職を延長することはできません。

休職は休職事由がある際に施行され、休職期間は解雇猶予期間としての意味を持ちます。休職期間が満了する前に病状が回復すれば休職事由は消滅するため、休職期間が満了していなくても、その時点で復職させなければなりません。病気が回復しているにも関わらず復職させないことや、会社の都合で勝手に延長することは、労働者の「労働する権利」を奪うことになってしまうため、休職事由が消滅したら復職できるよう体制を整える必要があるのです。

しかし会社の都合により、休職期間を延長するケースも少なからずあります。例えば以下のようなケースが挙げられます。

  1. 業規則で一般的に記載のある「特別条項」の適応: 会社にとってどうしても残って欲しいスキルの高い社員の場合、延長することがあります。
  2. 業務が原因で休職に入った場合への配慮: 業務起因性がある場合は、休職期間満了で退職とはならず、ある程度の配慮が必要とされています。どのくらいか、明確な基準はありません。
  3. 疾病性が明らかに改善傾向にあるものの休職期間が満了に近づいている場合:「期間延長を認めてもいいケース」で述べたこの場合も、配慮するように過去の裁判の判例では言われており、会社都合の延長として扱うことがあります。

さいごに

休職期間の延長は、あくまで特例の措置のため、企業側の判断に委ねられます。直近での回復が確実な場合は特例として延長を認めることも一つの手段ですが、回復の見通しが立たない場合は、安易な延長は避けましょう。休職や復職は労働契約に密接に関係しており、人事の対応や判断ミスですぐに訴訟沙汰になりやすい部分です。延長を施行する場合もしない場合も、規程にのっとって行うことでトラブルを引き起こさないように対応しましょう。

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