メンタルヘルス不調の従業員が休職を拒否! 人事はどう対応する?

2019.9.2 更新 / 2019.9.2 公開
休職・復職にムリなく対応
メンタルヘルス不調の従業員が休職を拒否! 人事はどう対応する?

人事や産業衛生に関わった方は、一度は休職を拒否する従業員に出会ったことがあるのではないでしょうか。フィジカル、メンタルヘルス、どちらにおいても十分に労働ができない状態になった場合は、就業規則にのっとり、休職が必要です。休職を拒否する従業員への対応は難しいですが、間違えてしまうとトラブルになりかねないため、しっかり押さえたいところです。今回は、従業員が休職や診断書の提出を拒否した場合の対応方法を解説していきます。

休職は拒否できる?

事業主は労働契約法(第5条)の安全配慮義務で、職場における労働者の安全と健康を確保することが義務付けられています。同時に従業員は自己保健義務の範囲内で与えられた業務を遂行するために、自身の身体を健康に保つことが義務付けられています。従業員は自身の健康を維持し、良質な労働力を提供することで、事業主から給与を受け取ることができるのです。

もし体調不良にも関わらず無理をして働き、病状が悪化した場合、会社側の安全配慮義務違反となりかねません。そのため必要時は、やや強制的にでも休職を命令する必要があります。従業員は自己保健義務(事業者の安全衛生指導における義務)があることからも、休職を拒否することはできません。事業主にとって、従業員の健康面を把握し、不調時には指示を出すことも、労務管理の一環なのです。

ここで忘れてはいけないのが、「体調の悪化により、業務に支障が出ているかどうか」です。体調に変化をきたしていても、自身で治療を受け問題なく業務を行っていれば、自己保健義務を果たしているため、休職の適応とはなりません。しかし体調の悪化が理由で業務を十分に施行できていない場合は、上司や産業衛生スタッフの指示に従う必要があります。人事スタッフや産業衛生スタッフは、その人の症状が、業務を遂行できるレベルなのか、できないレベルなのかを見極め、専門医につなぐ必要があるのです。

そもそも休職は解雇猶予措置であり、福利厚生の一環です。法律上必ずしも定めなくてはならない制度ではありません。会社によっては休職制度をもっていない会社もあります。そのため、体調悪化による勤務不良は解雇になり得る可能性もあるのです。しかし多くの会社が休職制度を設けているため、今回は休職制度があることを前提として説明を続けていきます。

なぜ休職を拒否するのか? 拒否されたらどうするのか?

病状を回復させるために休みをもらう事ができるのに、なぜ休職を拒否するのでしょうか。仕事を休みたくないという気持ちがある、転職時に不利になりそう、休職という言葉自体に抵抗がある、さまざまな理由がありますが、1番多いのは、リストラされるのではないかという不安から休職を拒むケースです。両親や妻も同じように考えて、休職に反対するケースも多くあります。

しかし、病気を治療しながら仕事をすることは、望ましいとはいえません。治療に専念できず治癒までに時間がかかる、仕事のパフォーマンスが下がるといった、マイナス面が多くなります。症状がでたら早めに休職に入り、自宅でゆっくり休息を取りながら、治療に専念する方が回復は早いのです。

職場に復帰できなくなるのでは、と悩んでいる従業員に対しては、休職=リストラではないこと、休職しても病状が改善したら復職できることを伝え、不安を解消するような関わりが必要です。職場復帰を目指すための休職制度であることを上司や人事スタッフから粘り強く伝えることが必要です。

重要なのは、休職は会社の就業規則にのっとって判断をするため、明確な規則を設けておく必要があります。就業規則には、欠勤が何日以上で休職になるのか、休職期間はどれくらいか、休職中の賃金について定めます。休職を何度も繰り返したり、病状が十分に改善していないのに復職を希望するケースもあります。そのような場合にどのように対応していくのかを、会社としてしっかり考えておく必要があるのです。休職は法律で定められた決まりではないため、会社の実情に合わせて、できる範囲の内容で定めましょう。

休職のための診断書の提出を拒否されたらどうする?

従業員が休職する際、病状を確認するために診断書の提出を求める場合が多いですが、従業員に診断書の提出を拒否される場合もあるでしょう。診断書の提出を拒否された場合はどのように対応しますか?

診断書の提出を義務付けられるかどうかは、就業規則の中で診断書に関してどのように定めているのかが鍵になります。就業規則の中に診断書の提出に関する記述がある場合は、就業するための業務命令として診断書の提出を義務付けることができます。しかし、診断書に関して記載がない場合は、診断書の提出は本人の任意となるため、提出の強制はできません。本人と話し合い、納得した上で提出してもらう必要があります。

そのため、就業制限の中に診断書の提出に関するきまりを定めておくことをおすすめします。定める内容としては、どういう場合に診断書の提出が必要か、診断書の提出を行わない場合どのような対応を会社側が取るのかを、記載しておくといいでしょう。メンタルヘルス不調の場合は、自身の病気を認めたくないという理由や、病気が確定したら解雇されてしまうのではないかという不安から、受診や診断書の提出を拒否する場合も少なくはありません。安全配慮義務を反さないと共に、従業員とのトラブルを避けるために、就業規則の規定をしっかり行いましょう。

さいごに

休職に関する就業規則が欠けていると、従業員が休職を拒否した場合に、対応が難しくなってしまいます。就業規則をしっかり定めておくことで、一貫した対応ができるようにしていきましょう。実際に、従業員へ休職や診断書の提出を促す際、お互いが納得した上で進めていくためにも、日頃からのコミュニケーションが重要です。相談をしやすい職場環境を作ることで、信頼関係を築くと共に、従業員同士がお互いの健康状態を気にかけることができる職場環境を目指しましょう。

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