衛生委員会を有効活用
2021年8月25日 更新 / 2019年11月14日 公開

労働安全衛生法の改正(2019年)で重要点は?基礎知識や成立した背景について

労働安全衛生法の改正(2019年)

働き方改革関連法の施行に伴い、2019年4月に改正された労働安全衛生法に対して、成立の背景や目的といった基礎知識を知らない方は意外に多いのではないかと思います。しかし、労務管理を担当する人事としては最新の改正内容を把握することは事業貢献に必要な業務です。

そこで今回は、労働安全衛生法の基礎知識と、2019年4月に改正された2つの重要ポイントについて、わかりやすく解説していきたいと思います。

労働安全衛生法とは?

労働安全衛生法とは、次の2つの目的を軸に、労働災害の防止につながる総合的かつ計画的な対策の推進を定めた法律です。

  • 職場における労働者の健康と安全を確保すること
  • 快適な職場環境を形成すること

事業者自身がこの法律を理解し、適切な体制構築ができると、社内に従業員のモチベーションや生産性の向上、人手不足の解消といった好循環が生まれます。従業員の過労死や過労自殺などの社会問題や企業のコンプライアンス意識が叫ばれる現代では、法令遵守を通して職場の安全衛生管理に向けた取り組みをすることが、事業者の責務となっているのです。

具体的な取り組み内容は、ひとつの事業所で働く従業員の人数や業種などによって異なります。例えば、50人以上の従業員が働く工場などの製造現場では、次のような項目にしたがって、社内環境の整備や活動推進をしていきます。

  • 安全衛生担当者の選任
  • 安全委員会、衛生委員会の設置
  • ストレスチェックの実施
  • 定期健康診断結果報告書の提出
  • 安全衛生教育  など

労働安全衛生法が成立した背景

労働安全衛生法は、1960年代の戦後復興や高度経済成長によって増大する労働災害にブレーキをかける目的で誕生した法律です。機械設備の大型化や新しい化学物質の開発などにより作業員の負担が増大した当時の日本では、労働災害で亡くなる人が相次ぎました。そして1961年には年間6,700人もの死亡者を出した危機的状況を踏まえ、労働災害から労働者を守る目的で制定されたのが、労働安全衛生法という法律になるのです。

労働基準法の労働安全衛生規定を見直し、その内容を独立させる形で生まれた労働安全衛生法には、労働基準法との間に密接な関係があります。この法律の制定・施行により、1972年から1975年までの3年間だけでも約2,000人もの死亡者数が減少したと言われています。

労働安全衛生法は適宜改正が行なわれている

労働安全衛生法は、時代の流れや社会の要請に応えて適宜改正が入る法律です。2019年4月1日施行の改正では、長時間労働による過労死や過労自殺の労災認定増加、労働者の健康管理に係る問題の解消に向けて、次の2つの機能が強化されることとなりました。

産業医・産業保健機能の強化

産業医の活動環境整備によって、果たすべき役割が大きくなりました。産業医とは、事業場で働く労働者が快適かつ健康な環境で仕事に従事できるように、専門的立場から指導や助言をする医師のことです。今回の改正では、産業医が辞任や解任に至ったときに、安全衛生委員会・衛生委員会への報告を事業者に義務付けたことで、従来と比べて医師の中立性や独立性が強化される形となりました。

また、労働者の健康管理必要な情報の提供を事業者に義務付けることで、産業医は産業医学の専門的立場から、労働者の健康確保に向けて一層効果的な活動を行えるようになったのです。

長時間労働者に対する面接指導の強化

こちらの改正は、長時間労働などによる健康リスクの高い労働者の見逃しを防ぎ、医師による面接指導の確実性を高めることを目的としています。面接時の大事な参考情報となる労働時間については、パソコンのログイン・ログアウト時間やタイムカードなどを使った状況把握と、3年間の記録保存が義務付けられるようになりました。

1ヶ月あたりの時間外・休日労働時間が80時間を超えた労働者に対しては、速やかにその情報を通知することにより、本人からの面接申し出や自己管理などをしやすくしています。面接指導の対象は、時間外・休日労働時間が1ヶ月あたり80時間を超え、労働の蓄積が認められる者へと範囲の拡大をしています。研究開発業務従事者や高度プロフェッショナル制度対象労働者に対する面接指導のルールも明確化することで、同時期に始まった働き方改革法案に沿った内容で労働者の健康管理を進めやすくしています。

まとめ

労働安全衛生法は、高度経済成長によって増大した労働災害を防ぐために生まれた法律です。制定・施行から45年以上経つこの法律は、時代の流れや社会の要請に合った度重なる改正により、現状の日本が抱える問題に沿った内容へと成長を遂げています。2019年4月の改正で重要となるのは、産業医・産業保健機能の強化と、長時間労働者に対する面接指導の強化の2つです。

この法律に基づく適切な安全衛生管理は、従業員満足度や体外的な信頼度の向上、人員不足の解消といった多くのメリットを企業にもたらします。事業者の方はぜひ最新の改正内容に目を向け、早めに職場環境の改善に取り組むようにしてください。

執筆・監修

  • Carely編集部
    この記事を書いた人
    Carely編集部
    「働くひとの健康を世界中に創る」を存在意義(パーパス)に掲げ、日々企業の現場で従業員の健康を守る担当者向けに、実務ノウハウを伝える。Carely編集部の中の人はマーケティング部所属。

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