この記事では、これから健康経営に取り組みたいと考えている企業の担当者の方に向けて、健康経営の基本となる知識をご紹介します。健康経営の意味や目的、取り組むメリット、認定制度など、企業の健康経営推進を始めるにあたって必要な情報をまとめておりますので、ぜひご参照ください。「健康経営」とは?健康経営とは、経済産業省によると「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」と定義されています。従業員への健康投資を行うことで、活力向上、生産性向上など組織の活性化を促し、業績向上など事業の成長につながると期待されています。2014年の日本再興戦略の閣議決定で健康経営の周知が明記されると、健康経営という言葉が企業に認識されるようになりました。その後、過労死問題が次々と取り沙汰され、先んじて働き方改革が大きく注目を集めたことで、社会的に健康的な働き方全般に対する関心が高まります。そして、2016年より「健康経営優良法人認定制度」がスタートしたことにより、一気に普及していきました。現在では、健康経営優良法人認定制度への申請企業数が17,570社(※令和4年度時点)に上るなど、多くの企業が健康経営に取り組んでいます。また、健康経営と近しい考え方として「ウェルビーイング経営」や「人的資本経営」にも同様に注目が集まり、取り組む企業が増加しています。ウェルビーイング経営とはウェルビーイング経営とは従業員が身体的・精神的・社会的に満たされる状態になるように企業が支援していくことを指します。基本的には自社の従業員を対象としていますが、企業活動に関わるあらゆる関係者の幸せを追求していく経営手法とされています。ウェルビーイングな状態には、健康などの身体的な幸福の他、精神的な幸福や、経済面や働きがいなど社会的な幸福も含まれており、健康経営以上に様々な取り組みが求められます。%3Cdiv%20class%3D%22iframely-embed%22%3E%3Cdiv%20class%3D%22iframely-responsive%22%20style%3D%22height%3A%20140px%3B%20padding-bottom%3A%200%3B%22%3E%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Fwww.carely.jp%2Fcompany-care%2Fdiff-wellbeing-and-kenkokeiei%2F%22%20data-iframely-url%3D%22%2F%2Fiframely.net%2Fa2lSa6V%3Fcard%3Dsmall%22%3E%3C%2Fa%3E%3C%2Fdiv%3E%3C%2Fdiv%3E%3Cscript%20async%20src%3D%22%2F%2Fiframely.net%2Fembed.js%22%3E%3C%2Fscript%3E人的資本経営とは人的資本経営とは、経済産業省によれば、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方とされています。従来の考えでは人材は資源として捉えられ、コストとして消費されるものと捉えられていましたが、人的資本経営では、人材を「価値を生み出すもの」として「資本」と捉え、育成・活用のための投資を行うことで事業成長につなげていくことを目的としています。金融庁により、上場企業4,000社を対象に、2023年3月期以降の有価証券報告書から人的資本に関する情報の開示が義務化され、さらに注目が高まっています。気になる方は、日本で人的資本経営が注目を集めるきっかけとなった「人材版伊藤レポート」や「人的資本可視化指針」などをご確認いただくとよいでしょう。いずれの考えも従業員の健康を目的としている点で、健康経営と大きく関係しているものです。健康経営を始めるにあたって、押さえておくべき情報と言えるでしょう。健康経営に取り組むメリット多くの企業が健康経営を実践していることは、単に社会的な義務を果たすという責任だけが理由ではありません。健康経営の目的はあくまで事業成長にあり、取り組むことで組織としてのメリットがあるからこそ多くの企業で取り組まれているのです。健康経営を実践することで得られる企業のメリットとして、以下が挙げられます。1:労働生産性の向上2:採用力の向上3:人材の定着4:企業イメージの向上5:認定制度によるインセンティブそれぞれのメリットについて詳しく解説していきます。労働生産性の向上健康経営を推進することで、従業員が良好な心身の状態で業務に取り組めるようになり、労働生産性が向上します。休職や欠勤など問題が顕在化していなくても、労働生産性に問題を抱えている企業は多くあります。その原因として”出勤はしていても心身に不調を抱え、本来のパフォーマンスを発揮できない”状態(=プレゼンティーズム)に陥っている従業員の存在があります。プレゼンティーズムの状態では、出社したとしても健康な状態と比べ、生産性は著しく低下しており、その損失額は休職や欠勤と比べても突出していることが、ユナイテッド・ヘルスコミュニケーション株式会社の調査により算出されています。出典:ユナイテッド・ヘルスコミュニケーション株式会社『本邦初:ストレスによる企業のコスト損失額は、高ストレス者一人当たり 150 万円に達する可能性があることが判明 』健康経営を推進することで、従業員の心身のストレスを緩和・解消し、休職・欠勤を防止するとともに、プレゼンティーズムを解消することができます。採用力の向上自社が健康経営に取り組んでいることをPRすることで、採用活動でのアピールポイントとして活用することができます。職務内容や条件などに加えて、職場環境や働き方、福利厚生をチェックポイントとしている求職者は多いもの。中でもZ世代以降の若手人材は、ウェルビーイングや健康に対して非常に感度が高いことが知られています。健康経営の取り組みや、顕彰制度の認定などをアピールすることで、自社の従業員を大切にしていることを求職者に印象付けることができます。人材の定着※健康経営銘柄、健康経営優良法人における離職率 経済産業省「健康経営の推進について」より健康経営を推進することで、離職率を低下させ、人材の定着を促進することができます。上記の図のとおり、健康経営に取り組む企業では、その他の企業と比べ、離職率が最大で1/4ほどまで低下していることがわかります。病気や怪我、精神的不調などを原因とした離職は、従業員・企業双方にとって不幸なもの。健康経営に取り組み、従業員の心身の健康に気を配ることで、突然の離職を防ぐことができます。また、現在の日本は少子高齢化が進行しており、企業にとって人材不足が深刻な問題となっています。そのため、若手人材の確保と並んで今いる従業員に長く健康に働いてもらうことが重要になってきます。企業イメージの向上健康経営を推進していることを積極的にPRすることで、企業としてのブランドイメージを向上させることができます。従業員の健康維持・管理は社会的課題となっており、それらに取り組む企業であることをアピールすることは、求職者に対してはもちろん、投資家や取引先企業などのステークホルダーに対してもよい印象を与えることにつながります。後述する顕彰制度の認定を受けられれば、社会的な評価が上がるとともに、運営団体の公式サイトでも紹介してもらうことが可能です。認定制度によるインセンティブ健康経営は国を挙げて推進を支援しており、様々な支援制度があります。数ある支援制度の認定を得られれば、事業活動を行う上でも多くのメリットがあります。以下は健康経営の支援制度として得られるインセンティブの一例です。・金利や融資の優遇処置健康経営優良法人に認定されることで金融機関から金利や融資で優遇措置を受けられます。優遇内容は各種金融機関によって異なります。・保険料の割引健康経営優良法人に認定されることで、保険料の割引を行う保険会社もあります。詳しくは各保険会社の公式情報をご確認ください。・自治体サービス各自治体でも健康経営の認定制度があり、認定を受けることで様々なインセンティブを得られます。具体的には自治体施設の割引利用や、地方銀行などによる金利優遇などがあります。詳しくは自社の所属する各自治体の公式情報をご確認ください。※参考:ACTION!健康経営「地域の取り組み」・各種助成金健康経営の推進を行うにあたり、様々な助成金が利用できます。具体的にはストレスチェック助成金や働き方改革推進支援助成金、心の健康づくり計画助成金などがあります。※参考:ACTION!健康経営「国の取り組み」%3Cdiv%20class%3D%22iframely-embed%22%3E%3Cdiv%20class%3D%22iframely-responsive%22%20style%3D%22height%3A%20140px%3B%20padding-bottom%3A%200%3B%22%3E%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Fwww.carely.jp%2Fcompany-care%2Fhealth-management-subsidy%2F%22%20data-iframely-url%3D%22%2F%2Fiframely.net%2F0Uy3q01%3Fcard%3Dsmall%22%3E%3C%2Fa%3E%3C%2Fdiv%3E%3C%2Fdiv%3E%3Cscript%20async%20src%3D%22%2F%2Fiframely.net%2Fembed.js%22%3E%3C%2Fscript%3E健康経営の認定制度健康経営とは従業員の健康に積極的に投資し、事業活動を成長させるためのもの。基本的には自社内だけで実施しても問題ありません。しかし、公共機関による認定制度を利用することで、施策を考える基準ができる、インセンティブを利用できる、PRに活用できる、といったメリットを享受することができます。以下にて代表的な健康経営の認定制度をご紹介します。健康経営優良法人認定制度健康経営優良法人認定制度は経済産業省が2016年よりはじめた認定制度で、最も広く知られている健康経営の認定制度です。スタートから8年が経ちますが、申請企業数は年々増加しており、今後ますます申請数は増えていくと思われます。2023年度より運営母体が民営化し、現在は日本経済新聞社が主管となっています。事業規模に応じて、大規模法人部門と中小規模法人部門に分かれており、それぞれ上位500社にはホワイト500・ブライト500という上位の顕彰制度もあります。その他、詳細情報については後述します。※参考:ACTION!健康経営健康宣言事業健康宣言事業は各協会けんぽや健康保険組合が実施する制度です。健康宣言に取り組む企業の健康づくりを支援し、従業員の健康増進を目的としています。健康経営優良法人認定制度の中小規模法人部門への申請は、この健康宣言事業への参加が必須になっています。※参考:健康宣言事業健康経営銘柄健康経営銘柄は健康経営優良法人に先んじて、2014年から経済産業省主導で始まった顕彰制度です。東京証券取引所に上場している企業を対象に「健康経営」に優れた取り組みをしている企業を選定し、長期的な視点からの企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業として紹介をすることを通じ、企業による「健康経営」の取り組みを促進することを目指しています。基本的には1業種に1企業までという制限があり、健康経営優良法人以上に狭き門となっていますが、投資家への大きなアピールとなり、資金調達に有利に働く可能性が高い認定制度です。もちろん、求職者や取引先へのアピールとしても効果が高くなります。※参考:健康経営銘柄健康経営優良法人認定制度※ステークホルダーとの関係における「健康経営」のメリット(令和4年6月 健康経営の推進についてより)経済産業省健康経営優良法人認定制度は、経済産業省が創設した顕彰制度です。すでに多くの企業が申請を行っており、今後もその申請数は増えていくことが予想されます。健康経営を実践する以上は必ず取り組んでおきたい顕彰制度となっています。認定の可否については、健康経営の取り組みを判断する調査項目をまとめた健康経営度調査票で行います。健康経営を取り組む上で必要なポイントがまとまっているため、健康経営をこれから始めたいと考えている企業にとっては、よい指標とすることができます。調査票の内容は年度が変わるごとに、そのときの社会課題に対応できるよう変更が加えられており、順位を上げていくためには新規項目をチェックし、押さえていくことが必要になります。例えば令和5年度の健康経営度調査票では、新たに以下の項目が追加されました。・特定健診、保健指導の実施率の開示・業務パフォーマンスの数値と測定方法の開示・労働安全衛生に関する情報の開示・仕事と育児、介護等両立支援に関する設問の追加・女性特有の健康問題への対応に関する設問の追加・生産性低下防止のための取組に関する設問の追加・新型コロナウイルスへの対応に関する設問の追加ただし、追加された項目が各年度に必ず導入されるとは限りません。あくまで一例であることに注意が必要です。基本的には健康に関する社会課題に基づいて変更が加えられていますが、人的資本経営の情報開示義務を受けての設問や、ワークライフバランスやウェルビーイングを意識した項目も追加されています。単なる健康管理にとどまらず、従業員の健康と働きやすさを真剣に考えなくてはならない認定制度になっており、認定取得、さらにホワイト500・ブライト500取得の難易度は今後さらに上がることが予想されます。ホワイト500・ブライト500ホワイト500・ブライト500とはそれぞれ健康経営優良法人 大規模法人部門・中小規模法人部門の上位500社に与えられる顕彰です。基本的には優良法人と同じく、健康経営度調査票への回答を元に選定されますが、上位500社に入るためには、優良法人よりも多くの項目に適合する必要があります。認定基準としては、評価基準となる5つの大項目のうち、4つを抑える必要があります。※健康経営度の評価モデル及びフレームワーク必須で抑えるべき項目としては「経営理念・方針」「組織体制」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」。さらに、上位500社に入るためには「制度・施策実行」の細かい小項目において13項目の要件を満たす必要があります。また、近年の傾向として「他社への普及」が重視されるようになっており、サプライチェーンを含む取引先にどれだけ影響力を持てるかという点が求められています。その他、「社会課題への対応」として、女性活躍推進や両立支援などの制度の充実も求められるようになりました。%3Cdiv%20class%3D%22iframely-embed%22%3E%3Cdiv%20class%3D%22iframely-responsive%22%20style%3D%22height%3A%20140px%3B%20padding-bottom%3A%200%3B%22%3E%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Fwww.carely.jp%2Fcompany-care%2Fabout-bright500%22%20data-iframely-url%3D%22%2F%2Fiframely.net%2FIyyat85%3Fcard%3Dsmall%22%3E%3C%2Fa%3E%3C%2Fdiv%3E%3C%2Fdiv%3E%3Cscript%20async%20src%3D%22%2F%2Fiframely.net%2Fembed.js%22%3E%3C%2Fscript%3E%3Cdiv%20class%3D%22iframely-embed%22%3E%3Cdiv%20class%3D%22iframely-responsive%22%20style%3D%22height%3A%20140px%3B%20padding-bottom%3A%200%3B%22%3E%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Fwww.carely.jp%2Fcompany-care%2Fabout-white500%22%20data-iframely-url%3D%22%2F%2Fiframely.net%2FJvzet1C%3Fcard%3Dsmall%22%3E%3C%2Fa%3E%3C%2Fdiv%3E%3C%2Fdiv%3E%3Cscript%20async%20src%3D%22%2F%2Fiframely.net%2Fembed.js%22%3E%3C%2Fscript%3E健康経営優良法人の申請スケジュール健康経営優良法人の取り組み時期と表彰時期は、2年間のズレが生じます。たとえば2023年申請の「健康経営2024」では、2022年4月-2023年3月までの取り組み実績を2023年8月-10月に回答し、2024年3月に表彰される流れとなります。申請から認定までの流れは、以下の図(ACTION!健康経営ー申請について)をご参照ください。※申請について過去に申請したことがある場合は登録メールアドレス宛に受付開始時に案内が送付されてきますが、新規の場合はWebサイトでIDを発行する必要があります。また、中小規模法人部門に関しては、健康宣言事業への参加が必須となっています。健康経営の始め方健康経営を始めるためになにを行えばよいのか、その基本的な流れについて整理してご紹介します。ステップ1:健康経営を明文化する健康経営を始めると決めたのであれば、まずは企業として健康経営を行うことをWebサイトなどで明文化し、社内外に知らせるようにしましょう。この健康経営の明文化を、健康宣言といい、健康経営の方針を明確にする意味としても非常に重要です。ステップ2:健康経営の運営体制を整える健康経営の実務は多岐に渡ります。企業によっては人事労務の担当者が兼任する形を取っている場合も見られますが、本格的な運営を考えると専門の部署・担当者を立てることをおすすめします。また、健康経営アドバイザーなどの有資格者や、産業医・産業保健職など専門知識を有する人材の確保、または研修などによる担当者の育成を進めるとよいでしょうステップ3:従業員の健康意識や、自社課題の把握健康経営を効果的に行うためには、自社の抱える健康課題や、従業員の健康への意識調査を行う必要があります。健康経営は従業員の健康を向上させることが大切なので、自社の課題に沿った施策を行う必要があります。チェックすべき内容としては以下が考えられます。・健康診断や特定健診、再検査の受診率・有所見者の把握と所見内容の傾向・ストレスチェックなど、従業員のメンタルヘルスの傾向・残業時間や有給取得率・喫煙率 などステップ4:具体的な施策に取り組む健康課題を把握したら、それを改善するために必要な施策やロードマップを策定します。施策に関しては健康診断の受診率やストレスチェックの実施など、法令遵守をできていないものがあればそれを最優先で取り組みましょう。それと並行して、自社独自の課題に対応できる施策を検討します。また、施策を実施する場合は、必ず目標を設定します。目標を設定する際は実現可能性をしっかりと検討した上で適切な目標を立てるようにしましょう。ステップ5:取り組みを評価する健康経営の施策が一回りしたら、必ず施策の結果を評価しましょう。評価に関しては数値的な目標を振り返って、達成率を測っていくとともに、施策の参加者である従業員の反応をしっかり振り返りましょう。健康施策は一度やって終わりではなく、結果を分析し、改善していくことが大切です。良かった点と悪かった点を把握し、次の施策に活かしていきましょう。健康経営の推進体制始め方でも紹介したように、健康経営を推進していくためにはそのための組織体制の構築が必要不可欠です。では、具体的にどのような人員を集め、どのくらいの人数を用意すればよいのでしょうか。健康経営の推進に最低限必要な体制についてご紹介していきます。必要な人員健康経営を推進するために必要な人員を紹介します。・責任者健康経営を推進していくための最終意思決定権者のこと。企業によってはCHO(ChiefHealthOfficer=健康管理最高責任者)を立てるところもあります。通常は健康経営推進室の室長となります。役割としては、健康経営の方針策定や施策の最終決定、成果の管理など、健康経営推進を取り仕切る立場です。・担当者健康経営推進室など、健康経営専門部署の専任担当者です。健康経営の推進に関わる業務全般を専門的に担当することになります。施策の企画・実行に加え、産業医や保健師との連携や、有所見者への再検査の受診勧奨、面談管理など業務は多岐に渡ります。また、健康データや残業時間などの就業データなどのやり取りも行うため、他部署との連携も必要になります。・産業医法令の観点から見ても、企業は産業医を選任しなければなりません。産業医とは医療の専門家の立場から、企業での健康管理を行う医師のこと。また、健康を扱う以上、専門的な知見が必ず必要になってきます。施策を推進するためにも専門職である産業医の存在は欠かせません。役割としては従業員との面談や、従業員の就業判断などがあります。・産業保健師産業保健師とは健康診断や保健指導、健康相談など従業員の健康管理に関する業務を行う職業のことです。保健師としては産業保健師の他、行政保健師、学校保健師などがあり、いずれも病気になる前の予防を目的とした仕事を行う専門家です。看護師の資格を有しているため、健康経営の推進役としても力を発揮してくれる存在です。担当者については、健康経営に関する知識を有している人材であるとよりよい成果を上げることができるでしょう。人材を確保できない場合は担当者への研修を行い、育成することも必要です。また、保健師が健康経営推進担当者となる場合も多く見られます。健康経営推進の課題とポイント健康経営を推進していく上で、課題となる点や、それを克服するためのポイントについてご紹介していきます。健康データの管理が煩雑健康経営をはじめるに当たって、まずはじめにつまずくポイントの一つが健康データの管理です。健康診断結果などはいまだに紙やエクセルなどのアナログデータでの保存を行っている企業も多く、検索性が悪くデータを分析・活用する上で課題となることがあります。また、産業医に健康データを共有する際にも、共有データを集めることに時間が掛かってしまいます。ポイント健康経営は自社の課題の把握と、施策結果の分析が大切です。健康データを一元管理できる健康管理システムの導入などで、工数を削減し、施策の充実に時間を当てられるようにしましょう。専門的知見の不足推進の方針を決める、データから課題を抽出する、課題から有効な対応策を考える。これらを実施していくには少なからず、健康経営や健康管理、メンタルヘルス管理に関する知見が必要になってきます。もちろん、トライ&エラーを繰り返して最適な施策を行えるようになることは可能ですが、時間がかかりますし、従業員の理解も得られにくくなります。また、上層部が協力的でない場合は、施策そのものに了承が得られなくなる場合もあります。ポイント成果を可視化し、より精度の高い施策を行っていくために、外部の力を借りることも手段として考えておきましょう。健康経営の専門的な知見を持つコンサルタントなどを迎え、方針策定やデータ分析を行ってもらうこともプロジェクトを動かすために必要な措置です。専門職人材の不足産業医は全国に10万人以上いると言われていますが、そのほとんどが本業を持つ傍ら産業医の業務をこなす兼任の産業医です。そのため、産業医を見つけることは難しいことが多いです。また、見つかったとしても自社に合わなかったり、仕事が忙しく、ほとんど稼働してもらえない、報酬が高い、といった問題がある場合も。産業保健師に関しては、産業医ほど人材を確保することは難しくありませんが、通常の採用活動では医療職の採用を行うことはないので、なにを基準に選んでよいのか正しい判断を下すことが難しくなります。ポイント自社の目的に沿い、社内風土にもあった専門職人材を得るためには、専門職を中心に取り扱う専門の人材仲介サービスなどを利用するとよいでしょう。当社が提供するCarelyは、健康経営のトータルソリューションサービスです。Carely健康管理クラウドをはじめ、健康経営コンサルティング、産業医・産業保健師紹介など、複数のサービスを提供し、健康経営を推進する上でのあらゆる課題に対応することが可能です。ご興味のある方はぜひ下記のサービス資料をダウンロードしてください。健康経営の成功事例ここでは、実際に健康経営に取り組み、高い評価を得ている企業の事例を健康経営優良法人2023の先進事例集から抜粋して紹介します。先進企業がどのような課題を抱え、どのような取り組みを行ってきたのかを確認し、自社の取り組みに役立ててください。事例1:ベネフィット・ワン株式会社福利厚生サービスを展開しているベネフィット・ワン株式会社では、福利厚生サービスを提供する企業として、「社員が安心して働ける環境を整備し、社業に邁進できるよう健康づくりを会社がサポートすること」を目的として、健康経営に取り組んでいます。重点課題1:従業員のワークエンゲージメント向上に関する課題職務へのやりがいや達成感についてアンケートを実施したところ、現状「高い」と答えた社員が65%となっていた。80%以上を目指すために、自社サービスの活用や、働きやすい社内環境の整備に取り組み、従業員のワークエンゲージメント向上に努める。具体的施策・自社サービスであるベネフィット・ステーションを活用し、従業員の仕事だけでなく生活・余暇の部分も充実させることで、メリハリのある働き方をしてもらい、生産性向上につなげる。・サステナビリティ委員会を創設。従業員自身がサステナビリティの課題や健康経営、人的資本経営に関する議論を行い、全社的な施策を推進してもらうことで、ワークエンゲージメントの向上につなげる。・創立記念イベントを創設。従業員が一同に会する機会を創ることで、社内コミュニケーションの活性化につなげる。重点課題2:健康状態に関わらず全従業員に対する疾病の発生予防2015年度の健診結果において、肥満者は全体の30%を占めるに至った。生活習慣病の主たる原因であり、かつ、わかりやすい指標となるメタボリックシンドローム及び肥満者を20%まで減少させるために、自社サービスの活用と共に、健康状態に関わらず全従業員 に対する疾病の発生予防に努める。具体的施策・自社サービスである健診予約サービス「ハピルス健診」を活用し、健康診断の受診率向上につなげる・自社サービスである従業員データ管理ツール「ベネワンプラットフォーム」を活用し、勤怠情報や健康データを一元管理、適切な評価・管理を行っていく。・自社サービスの「健康ポイントプログラム」を活用し、ポイントによる商品交換を可能にすることで、運動のモチベーションを高める。▶ベネフィット・ワン株式会社の事例詳細はこちら事例2:凸版印刷(現・TOPPAN)株式会社日本を代表する総合印刷会社である凸版印刷株式会社では、社員および家族の健康を保持・増進すると共に、「Well-being」すなわち、「幸せに生きる」ことを、働きがいの向上を通じて実現し、業績や企業価値の向上を目指すとして、健康経営に取り組んでいます。重点課題1:女性特有の健康関連課題等の健康保持・増進に関する課題女性従業員比率、勤続年数も伸びており、女性特有の健康関連課題にも関心が高まっている。指標として婦人科健診の受診率を75%まで引き上げるために、課題抽出と施策を継続実施している。具体的施策・トッパングループ健康保険組合の健康運動指導士によるストレッチ講座と女性産業医による女性特有の健康に関する講義を組み合わせた独自のセミナーを実施。女性の健康課題へのリテラシー向上につなげる・定期健診時に婦人科検診も実施するよう事前に計画し、できない事業所は、代行機関を利用し希望する健診施設での受診手配や窓口負担した費用の事後精算を実施。婦人科健診の受診勧奨を行い、75%の受診率を達成。重点課題2:生活習慣病等の疾病リスクを持つ従業員への重症化予防の課題定年年齢の引き上げや、スピード感を持った事業展開の必要性等から、健康に働き続けられる、生産性の高い職場の実現を目指し、受診勧奨等、健診フォローを実施している。具体的施策・外部サービスのウォーキングアプリを導入し、社内ウォーキングイベントを実施。運動に対するモチベーション向上につなげる。・自社サービスを活用し、オンライン服薬指導、処方薬配送を実現。コロナ禍の外出禁止の中でも治療者のフォローを実現。・健診結果よりハイリスク者を抽出し、重点的に通院確認や各種保健指導、栄養指導等を行う。▶凸版印刷株式会社の事例詳細はこちらまた、当社のサービスの導入事例については下記のリンクからご確認いただけます。合わせてご参照ください。%3Cdiv%20class%3D%22iframely-embed%22%3E%3Cdiv%20class%3D%22iframely-responsive%22%20style%3D%22height%3A%20140px%3B%20padding-bottom%3A%200%3B%22%3E%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Fwww.carely.jp%2Fcase%22%20data-iframely-url%3D%22%2F%2Fiframely.net%2FnS560TT%3Fcard%3Dsmall%22%3E%3C%2Fa%3E%3C%2Fdiv%3E%3C%2Fdiv%3E%3Cscript%20async%20src%3D%22%2F%2Fiframely.net%2Fembed.js%22%3E%3C%2Fscript%3E健康経営の始め方にお悩みなら、ご相談を。健康経営は顕彰制度の創設から10年の節目を迎え、社会情勢の変化もあり、多くの企業に浸透してきました。今後は健康経営に取り組むことが、組織として当たり前のこととして社会から求められていくでしょう。組織としての社会的評価のためにも、まだ取り組んでいない企業は、早い段階で参入することをおすすめします。とはいえ、健康という価値観に依存する概念を取り扱う健康経営は、組織によって課題もバラバラで、自社の課題を正確に把握するだけでも様々な課題があるもの。さらに、推進していくとなればより多くの悩みが出てきます。試行錯誤を繰り返して、推進していくことも可能ですが、外部の協力を持って、健康経営に取り組んでいくこともひとつの方法です。iCAREでは健康データを一元管理できる健康管理システムのご提供をはじめ、課題の抽出から施策の立案まで、健康経営の専門家が伴走支援を行うコンサルティングサービス、専門職人材の紹介など、健康経営をはじめる上で必要な支援を総合的に行っています。健康経営をはじめる上で不安がある、自社の健康経営がうまくいっているのかわからない、などお悩みを抱えている方はぜひ一度ご相談ください。%3Cdiv%20class%3D%22iframely-embed%22%3E%3Cdiv%20class%3D%22iframely-responsive%22%20style%3D%22height%3A%20140px%3B%20padding-bottom%3A%200%3B%22%3E%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Fwww.carely.jp%2F%22%20data-iframely-url%3D%22%2F%2Fiframely.net%2FEj22szh%3Fcard%3Dsmall%22%3E%3C%2Fa%3E%3C%2Fdiv%3E%3C%2Fdiv%3E%3Cscript%20async%20src%3D%22%2F%2Fiframely.net%2Fembed.js%22%3E%3C%2Fscript%3E%0A