高ストレス者への面談で、人事が間違う3つの失敗

2019.8.21 更新 / 2019.7.31 公開
ストレスチェックで組織改善
高ストレス者への面談で、人事が間違う3つの失敗

高ストレス者を産業医の先生にお願いする際に、人事労務担当者が知っておくと苦労しないで済むことがあります。どんな場面でどんなことをやっておくと良いのでしょうか。

高ストレス者への面談、よくある3つの失敗

高ストレス者の面接指導は、ストレスチェックでは必須の出来事。高ストレス者のうち約6%が、産業医の面談(面接指導)を希望すると言われています。決して多くない人数ではありますが、ちょっとした注意するポイントがあります。

高ストレス者の面接指導で人事労務が失敗するあるあるは3つです。

  1. 高ストレスで産業医の面談調整が難航する
  2. 高ストレス者への過剰な心配をしてしまう
  3. 高ストレス者対応専用の医師を契約する

最初に、高ストレス者の面接指導を簡単に説明します。
高ストレス者の面接指導は、本人が医師による面接指導を希望する場合は1ヶ月以内に受けさせないといけません(労働安全衛生法第66条の10の3)。人事側の面談調整の運用上の必要性から労働者が面接指導を希望すると自動的に人事側に結果を共有される仕組みとなります。

労働者への産業医の面接指導は、ストレスチェック実施後の1−2ヶ月で嘱託産業医であれば月1回にあわせて面談調整します。通常の訪問時間よりも延長することを事前に産業医の先生と承諾をとっておきましょう。

面談実施直前になると人事労務は、後述する様々な種類の健康情報を引っ張り出ってきましょう。産業医の面談当日に個人ごとにファイリングしたり、PC上のフォルダで管理しています。

産業医の面接指導後に、報告書や意見書を人事労務内で共有し、人事として就業上の措置(配慮)をする必要があるかどうかを検討して終了となります。面接指導の結果は、仕事をする上で必要なものに限定して労働者の上長や管理監督者へ共有することが望ましいとされています。

それでは人事労務が失敗しやすいあるあるを具体的に見ていきましょう。

失敗その1:産業医の面談調整が難航する

高ストレス者の産業医面談では、準備と調整が一手間かかります。
人事労務の準備として、産業医の面接指導実施前に産業医と共有しておかないといけないものが4つあります。

  • 労働者情報と業務環境(口頭での共有 or メール or システム)
  • ストレスチェック結果(システム or 紙)
  • 過去面談記録、健康診断結果、労働時間結果、前回ストレスチェック結果
  • 面接指導の記録を記載する用紙 or システム(様式例 Word

これらの健康情報と高ストレス者との面談内容とをあわせて、就業判定含めた意見書作成をするため、準備が意外と大変です。

調整で発生する手間とは、制度上の問題と物理的な問題の2つが発生します。

制度上の問題として高ストレス者自身、産業医の面接指導を受けたいと思っても面談のために離席をするために上長や周囲へ知られてしまう、変な目で見られることを気にします。従って事前連絡の中で高ストレス者が気になるといったコメントがあった場合は、上長へは「健康診断結果」や「過重労働」での産業医の面接指導ということで対応しましょう。

また消防法の関係で会議室自体が完全にクローズドになっていない企業も多くあります。ストレスチェックで行われる面談は特別なことではありませんが、多くが上司との関係を含めた人間関係や仕事のことであるため、過重労働や健康診断後の面接指導と比べて機微な情報と考えた方が良いでしょう。

このような場合は、面談場所を社外のコワーキングスペースやカフェで実施する企業が多いです。またあえて、高ストレス者自身に社外から産業医とテレビ会議や電話だけで対応することも良いでしょう。

失敗その2:高ストレス者への過剰な心配をしてしまう

高ストレス者に対して人事労務としても早く状況を把握して、早く対応しないといけないと焦る方がいます。また高ストレス者の対応方法の不備であったり、高ストレス者で面接指導の対象とならなかった労働者から訴訟をされるのではないかと心配になられる方もいます。

概ねストレスチェック実施後1ヶ月以内に、高ストレス者で対応の必要な労働者を選別、その後1ヶ月で産業医による対応をすれば良いので、十分な時間があります。他業務が忙しく高ストレス者対応方法が不十分になってしまったのであれば、来年以降の課題としてとらえて、PDCAをまわしていくことにフォーカスして下さい。

心配しなくて良いとは言うものの、ストレスチェックの実施自体で訴訟になる可能性は限りなく低いものの、ストレスチェックとは無関係に訴訟となる可能性は当然あります。

「ストレスチェックを実施して、高ストレス者に該当したが、労働者自身が産業医の面接指導を希望されなかったので、本人が具合悪くなっていても判断出来ない。従って企業の安全配慮義務は履行されている 」

この人事労務の考え方は間違っているので注意して下さい。
ストレスチェックはあくまでも健康であることを確認しているチェックであり、健康ではない労働者の就労判定及び就業上の配慮を行うものです。

ストレスチェック運用の中で、労働者が産業医との面接指導を含めた企業側への配慮を求めなかったというだけです。従ってストレスチェックとは関係なく、労働者の勤怠不良や体調不良が顕在化しているのであれば、それに人事労務として管理監督者とともに対応する必要があります。対応が不十分であれば、安全配慮義務違反となるわけです。

失敗その3:高ストレス者対応専用の医師を契約する

契約中の産業医の先生が、ストレスチェック対応が出来ない、消極的な関与の場合に発生するものです。

このような場合、人事労務は高ストレス者の対応が出来ないため「高ストレス者対応専用の医師」と契約することがあります。特に、精神科を専門診療科とするようなクリニックと契約して、高ストレス者を直接クリニックに行かせて、結果報告だけをもらう場合があります。

高ストレス者対応専用の医師は非常時の手段と考えるのが得策です。
高ストレス者対応専用の医師を利用する場合、人事労務として逆に対応に困ってしまう場合が散見されるからです。理由として、職場(環境やルール)を知っている産業医ではなく、臨床医が就業に関する意見書を記載しているため会社のルールに沿っていない可能性が高いからです。

復職時の主治医からの診断書の理解に苦しむ場面に遭遇された人事労務も多くいらっしゃるのではないでしょうか。同じことがこのストレスチェック後の高ストレス者対応でも発生しえます。

臨床医は臨床医の役割があり、産業医には産業医の役割、メリットがあります。これを間違えると高い報酬を支払って何のために高ストレス者の面接指導をしたのかがわからなくなります。

回避する方法として一番良いのは、ストレスチェックに消極的な産業医を変更することですが、産業医を中心に活動されている先生の中で、高ストレス者の面接指導のみを担ってくれる先生もいますのでそちらに頼みましょう。

そのような産業医の先生も見つからず、クリニックで働いているような先生の場合には下記のような文章を用意して共有しておきましょう。

  • 時短勤務や隔日出勤を制度上認めていない
    ※必要な場合、就業規則上の休職となる
  • 部署異動や在宅勤務を簡単に実施は出来ない
    ※必要な場合、実施の可能性について検討する
  • 休職復職のルールや規程がある(休職期間等)
    ※メンタルヘルス規程や休職復職規程があれば共有する

これによって主治医側と会社側との制度におけるすれ違いを避けることが可能となります。
高ストレス者の面接指導後にどんな面接だったのか対応医師と共有し、人事労務が実施する就業上の配慮へと活かす必要があります。

高ストレス者の面接指導で困らないCarelyの特徴とは?

これまで見てきたように、高ストレス者の面接指導で人事労務が困るポイントは、産業医の面談調整が出来ない、高ストレス者への過剰な心配、高ストレス者の状況確認がすれ違うというところでした。

高ストレス者の面接指導でCarelyを使うとこんなに楽に出来ます。
Carelyのストレスチェック機能としてはその実施だけではなく、高ストレス者の状況把握および面接指導における効率性と迅速な共有が特徴です。

1.Carelyで産業医の面接指導の事前準備を楽にする

産業医の面談調整で人事労務が面倒と思うのは事前準備でしょう。ばらついている健康情報を面談前に準備をするわけですから。

Carelyを使うと高ストレス者の面接指導を行う際の事前準備が圧倒的に楽になります。
ストレスチェック結果、労働者の就労環境状況、健康診断結果、労働時間結果など労働者の一元化された健康情報をCarelyの中で見ることが可能です。さらにCarelyで意見書を作成してしまえば、人事労務の負担はゼロです。

ストレスチェック結果
ストレスチェック結果
健康診断結果
健康診断結果
労働時間結果
労働時間結果
診断書など
診断書など

2.Carelyで面接指導を記録、保管、実施

Carelyでは、高ストレス者で産業医の面接指導を希望する労働者は、面談候補者として一覧化されています。
そのため産業医の面談調整を人事労務が実施したあとは、その一覧にある高ストレス者で面談開始ボタンをクリックすれば面接指導の記録が入力出来る画面となります。

高ストレス者の面接指導では、就労上の問題がストレスの原因になっているだけでなく、プライベートのことも原因になっている場合が多くあります。そのようなプライベートな情報(個人情報)は、人事労務と共有することは出来ないため、入力する場所をわけて保管することが可能です。

過去の面談記録や部署名などの情報確認とともに面接指導を記録
過去の面談記録や部署名などの情報確認とともに面接指導を記録

3.Carelyで面接指導後の迅速な共有

高ストレス者の面接指導を産業医が実施しても、その後の人事労務の就業上の配慮が迅速に行わなければ意味がありません。
人事労務側からCarelyにログインすれば、職場のことを理解した産業医の面接指導の記録と意見書を見ることが可能です。またその意見書を踏まえた人事労務の配慮もメモとして記録すれば完璧です。

個人情報の共有
申し伝え・メモの共有

最後に

過重労働対応において人事労務から産業医への業務上の必要な情報提供を積極的に行うことや産業医の意見を事後措置としない場合の人事労務の妥当な理由を明示することといった産業医の権限強化がされていく中で、高ストレス者の面接指導後の事後措置は今後益々重視されます。

高ストレス者を産業医の先生にみてもらうだけでも人事労務の抱える負担は大きなものです。少ない人事労務の人数で効率的かつ失敗しないためには、健康管理システムを使うだけで煩雑で複雑な健康管理業務が簡単なものとなります。

これを機会にストレスチェックの運用自体を見直してみてはいかがでしょうか。

参考文献・資料

  • 外部機関にストレスチェック及び面接指導の実施を委託する場合のチェックリスト例(PDFファイル
  • 長時間労働者、高ストレス者の 面接指導に関する 報告書・意見書作成マニュアル. 厚生労働省(PDFファイル
  • 医師が作成する報告書・意見書の様式(例)(Wordファイル
  • 心身の健康状況、生活状況の把握のためのチェックリスト (Wordファイル
  • 抑うつ症状に関する質問(例)(Wordファイル
  • 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書様式. 厚生労働省(PDFファイル
  • 心理的な負担の程度を把握するための検査等第六十六条の十(労働安全衛生法 e-Gov
  • ストレスチェック制度実施マニュアル. 厚生労働省(PDFァイル
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