【質問数1位!】産業医が答える「ストレスチェック後のストレス者の対応どうする?」

2019.9.17 更新 / 2019.9.17 公開
ストレスチェックで組織改善
ストレスチェック後のストレス者対応

前回から空いてしまいましたが、私が産業医としてストレスチェック実施後に人事担当者とお話しする際に、必ずうかがう質問をご紹介しましょう。

「ストレスチェックを実施したものの、その後の対応をどうしてよいかわからない。」

従業員がストレスチェック結果の開示に同意しないなど、ストレスチェック後の対応にあたってさまざまな企業で混乱が発生しています。そんな人事総務の方のために、どのような対応方法があるのかいくつかピックアップしていきます。

ストレスチェック後に発生する混乱:ストレス者の対応

ストレスチェック後に発生する人事総務や産業衛生スタッフの悩み事のひとつに「ストレス者の対応」があります。57項目の質問票でストレスチェックを行うことで、ストレスの高い従業員とそうでない従業員にわかれます。ストレスの高い従業員に対して、どのように対応を実施すればよいのでしょうか。

対応方針の策定にあたり、ストレスチェック結果の開示に同意する場合としない場合、さらには産業医面接を希望する場合としない場合とで、ストレスの高い従業員は大きく4つに分類されます。それぞれのパターンごとに、対応方法を考える必要があります。

ストレス者の対応

人事総務は、どのようなケースだった場合に産業医の面接指導対象者とするのかを、事前に衛生委員会でしっかりと審議して決めておく必要があります。それでは4つのケースの対応方法を順番に見ていきましょう。

ストレスチェック後のストレス者対応
【1】結果開示に同意・面接を希望する場合

このカテゴリーは、従業員が結果開示に同意し、さらに面接指導を希望する場合です。一番対応が容易そうなこのケースであっても、そう簡単にはいきません。特に問題になるのが次の2つのケースです。

1. 結果開示に同意して面接を希望するものの、上長に知られたくないケース

上司にストレスが高い状態であることを知られたくないパターンです。どうしても感情的に上司に知られたくないということが多く、かなりの頻度で相談を受けます。このような場合、その企業で健康診断後や過重労働者、勤怠不良者に対する産業医面接指導がどのように実施されているのかによって対応方法が異なります。

日常的な産業医による面接指導が自然に実施されている企業では、対象者を他の理由で面談する「別件面談」をしたり、昼休憩や就業後に実施するなどの対応を行うことができます。上司に知られることなく、本人と相談しながら産業医面接をうまくセッティングしましょう。

一方、上長に面談理由を伝えて情報共有も行っている企業では、少し工夫が必要です。営業のように外出していても不審に思われないような部署であれば、対象者と人事総務で日時をすりあわせて面談を実施するなどの対応策が考えられます。その他の方法として、対象者と産業衛生スタッフでメールや社内SNSを用いて、コミュニケーションを取るのが良いでしょう。そして、産業医との面接指導が当たり前にできる環境にしていき、面接指導に繋げていくのがよいでしょう。

2. 面接指導を希望する対象者が多発しているケース

もう一つのケースは、高ストレス者の面談希望者が多発したケースです。産業医が、月1回の訪問だけだと面接時間にも限りがあるため、対応する時間がないという課題が発生します。面談希望者が多発した場合は、ストレスチェック後の2〜3カ月は産業医の先生に訪問時間を増やすことを相談してみるなどの対策を検討しましょう。

ストレスの高い従業員が多くいる場合、必然的に優先順位を決めて面接を実施していくしかありません。対象者が面接指導を希望しているため、何らかのアクションを人事総務・産業衛生スタッフとして実施する必要があります。対象者の優先順位を評価するような仕組みを、衛生委員会で事前に作っておきましょう。優先順位をつける方法として、人事総務(衛生管理者や労務担当者)や保健師が面接の事前に対象者とやり取りを行う、CES-Dなどのうつ病のスクリーニングチェックシートを対象者に実施するなどの方法があります。外部のストレスチェックサポート企業の中には、高ストレス者のスクリーニングの委託まで行ってくれるサービスもあります。

ストレスチェック

【2】結果開示に同意・面接を希望しない場合

次は、結果開示に同意するが、面接指導を希望しないというケースです。このようなケースは極めて少ないのですが、間違って結果開示に同意するをチェックしてしまった、産業医がどのような仕事のことをしているのかわからなかったので希望しないにチェックしたという方がこのケースのほとんどです。

このケースでは、実施事務従事者から「結果開示に同意してある」のが正しいかを確認をした後に、面接指導を希望しない理由を本人に確認すると良いでしょう。かなりの確率で「そこにチェックしていましたっけ? 間違えました」という答えが返ってきます。

産業医の役割がわからず面談を躊躇している対象者に対しては、しっかりと役割を説明し、面談が必要な対象者には面談実施の勧奨を行いましょう。

【3】結果開示に同意しない・面接を希望する場合

結果の開示はしないが、面接指導を希望するというケースがこれです。厚生労働省のマニュアルに従えば、原則このようなケースはないことになっています。それは、面接指導を希望した段階で、結果開示にも同意するとみなすことになるとなっているからです。

しかし、現実にはこのようなケースは発生します。ストレスチェック結果が人事総務部に共有されることで不利益になると受検者が考えている場合です。ですので、この場合も【2】と同じように、実施事務従事者が本人と連絡を取りましょう。保健師やカウンセラーが社内にいる場合や、外部サポート企業を利用しているのであれば、彼らから連絡してもらうのがよいかもしれません。

本人に説明しても結果開示にどうしても同意しない場合は、対象者の希望通りストレスチェック結果を開示せず、産業衛生スタッフと実施事務従事者だけで共有し、産業医の面接指導の日程調整を行うように対応しましょう。

【4】結果開示に同意しない・面接を希望しない場合

最後は、結果開示もしないし、面接指導も希望しないというケースです。このケースが、ストレスチェックで最も多いです。対象者が面接指導を希望していないため、そのまま様子を見るケースが多いのですが、一部の人事総務からすると不安になるわけです。

「ストレスが高いということがわかっているのに、それをそのままにしていて良いのか?」

実際に、面談を希望していない高ストレス者が、経過観察しているうちにうつ病を発症して自殺してしまうなど、最悪のケースに至ってしまった場合、企業としての責任は免れません。ですので、まずは大原則として面接指導を受けるように勧奨しましょう。企業の安全配慮義務を履行したといえるためには、少なくとも1回は面接指導の勧奨を行う必要があります。必要な対象者に対しては1週間おきに2回にわけてメールや社内SNS、電話を用いて意思表示の再確認を行うのがよいでしょう。私の実感値では、それでも返事しない方が約半数います。対象者への注意喚起を行ってくれる外部サポート企業と契約をしていれば、実施事務従事者や人事総務としてもかなり楽になります。

そして、【1】で示した方法と重複しますが、別件面談を行うのもひとつの方法です。ストレスチェックとは異なる過重労働や健康診断結果といった理由で、産業医の面接指導を行うことができればそちらに誘導しましょう。

ストレスチェック後のストレス者対応:産業医がいない地方拠点のストレス者対応

東京に本社あるが、地方(海外)にも数名従業員がいて、その従業員のストレス高い場合は、どうするかという問題も、多くの企業でいただく質問です。

最も効率的なのは、遠隔で高ストレス者の対応を実施する方法です。ストレスの高い従業員に、人事総務部もしくは保健師やカウンセラー、外部サポート企業から連絡をとり、状態を把握します。その後、フォローの必要性が高い対象者に対して、医療機関に行く必要性があるかを判断するために産業医の電話面接指導を行うよう手配しましょう。もちろん対面での面接指導が望ましいですが、50名未満の事業所であれば必ずしも対面で面接を実施する必要はありません。

さいごに

ストレスチェック後のストレス者の対応方法はいかがだったでしょうか。私が産業医としてストレスチェックの企画・運用をしている中で、ストレスチェックを実施した多くの企業でストレスチェック実施後に直面する課題についてお話しました。ストレスチェック後のストレス者対応方法について貴社内の人事総務、産業衛生スタッフですりあわせる際にご活用下さい。

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参考:ストレスチェック関連の要チェック記事

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